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「キングコング」はラブストーリー

キングスとドルフィンズの激闘を見終わった後、興奮冷めやらぬまま何故かダウンロードしていた映画。

キングコング

飲酒後と試合観戦後は何をしでかすか分からん。

1933年に公開された怪物映画の最高傑作と言われている。
タイトルだってみんな一度は耳にしているだろう。だが、内容は?と言われるとみんな案外ちゃんと知らない。

ティム・バートンの名作「ナイトメアビフォアクリスマス」も、キャラクターが一人歩きしている状態で「ジャック好き!」と言いながらグッズを身に付けている人をよく見かけるが、実際の映画を見ている人は少ない。
1993年に公開されている古い映画だから仕方ない!
それで言うと、
キングコングだって1933年に公開されているもっと古い映画だから仕方ない!

ある日森の中キングコングに出会った。
探検隊のおてんば担当である女性隊員がコングに誘拐され、何やかんやで奪い返して国に逃げ帰ったら、怒り狂ったコングが女を追いかけてきて町中で大暴れ、そして有名なあのシーンに至る。

私が勝手に思っていた内容

よくある流れではあるし、大体そんなもんだろうとタカを括っていた。だってそんなもんやないですか?

なんて舐めた真似を繰り返すのはよそう。

このビックタイトルを見逃したまま映画好きキャラを貫くのは正直にダサい。


ジャングル系の映画の監督と女優が、新作映画の撮影のために探検隊と共に幻の島に辿り着く。
ここまでの船路で硬派な雰囲気の乗組員と女優は早々に恋に落ちる。

なんてことだ。
ロマンスの展開が爆速だ。


まだ始まって15分といったところだろうか。
主人公のキングコングすら登場していないのに、2人は船上でキスを交わしている。
私がキングコングなら、こんな舞台最高に出辛い。

だってデカいゴリラやもん、出オチになるやん。

だが、このキングコングの住む島の先住民、謎の部族がクッションになることで開始24分と言う粘りに粘った我慢の初登場シーンを無事に乗り越える事が出来た。

コング、よく堪えた。

勢い余って「見てられへん!兄さん、わいもういきますわ!」と舞台に走り出ていたら大惨事だった、やれやれだ。


どうやらコングはこの島の神様的な存在。大きな門の奥に広がるジャングルで住んでいる。

生贄として部族に捕らえられた女優のアンは、コングに捕まりジャングルの奥へ連れ去られる。

コング、思い切った顔してるな


それを追いかける監督一同。

緊迫のシーンに突如現れるステゴザウルス。

ステゴザウルス?

意外と取り上げられない衝撃映像

どうやら、このジャングルは恐竜も生き残っているらしい。
演出の思い切りが良すぎて、立ち上がる程に現実に帰ってしまった。
どうしようこの気持ち。

だが腰を落ち着けたとて、この後も首長竜、プテラノドンと名だたる有名恐竜が現れては倒されていく、大丈夫か?コングのキャラがどんどん薄れていくよ?
古の恐竜に絵面で勝てるはずがない。

だって、君はゴリラだもの!


だが、この演出が功を奏したのか、どんどんコングがこちら側(人間側)にも思えてくる。親近感だろうか?なんだかんだと言っても二足歩行する哺乳類。
大きく括れば親戚だもんな。

表情の演出。

コングはアンを片手で掴んで移動しているが、その手付きは優しく、ときおり大写しになる表情は微笑んでいるようにも見える。
アンを捕食しようと現れるデカい蛇を倒した後は、更に安全な場所を探して移動しているように捉えれてくる。

コングは女優のアンを自分の棲家に持ち帰り食べようとしていたのではなく、恐竜達から守っていたのだ(⚠️ゴリラの主食はタンパク質の多い植物や木の実、肉食ではありません)

これはもしや恋?

そうなってくると、どんどんこちら側に見えてくるコング。
Tレックスが出てきた頃には怒涛の恐竜展開にも慣れ「コング頑張れ!」と拳を握り始めた自分がいた。
相手は恐竜人気ランキングで殿堂入りしてもおかしくないキングオブ恐竜Tレックス。負けるなコング!
ゴリラは悪口によく使われるが、私は知っている。ゴリラがどれだけ優しく争いを嫌うジェントルな動物であるかを!

そしてこの時、コングから「かけ手」からの「足取り」というまぁまぁ見ない決まり手が繰り出される。

日本相撲協会様より拝借しました


マニアックだ、なんてマニアックな決まりてを繰り出すんだコングよ!
相撲ファンまで唸らせるなんて、どうかしてるぜお前ってやつは!!

最初は敵に思えたコングも、次第に可愛く見えてきたところで不幸な展開に発展する。
アンの奪還に成功し、怒り狂うコングをどうにかこうにかガス爆弾で気絶させた探検隊。
そのまま帰ればいいのに、私利私欲のためにコングを捕獲して見せ物にしようとニューヨークに連れ帰る。

何を根拠にこの程度の拘束でどうにかなると思ったのか。

案の定逃げ出したコングが街に出てアンを誘拐し、あの有名なシーンに至るのだ。

この辺りから、敵は一気に人間になる。
哀れなコングの最後の足掻きは、荒々しさの中に戸惑いがあった。

コングはずっとアンに片思いをしていたのだ。

硬派な船乗りが開始早々恋に落ちるほどの美人の設定にはそんな裏が始めからあったのかもしれない。
ピーチ姫くらい誘拐され続け、最後は叫んでばかりのアンは一才コングに惹かれることのない一方通行の悲しい映画だった。
劇中に映画監督が、美女と野獣、美女と野獣とやたらと言うからなんやねん?と思っていたら伏線だったのか。

「コングの息の根を止めたのはアンだ」と呟き映画は幕を引く。
ルパンの「カリオストロの城」の銭形のとっつぁんみたいなことを言うな、と思ったが、宮崎駿監督の映画はしばしば、このキングコング的な演出が見える。

「天空の城ラピュタ」のロボットさんとシータのシーンもそうだし、

あとは・・・・

もう思ったより出てこなかったけど、2つあれば充分だと思う。

B級映画にカテゴリーとしては入る作品だが、遠近法を駆使した巧みな演出を世に広げ、ここから沢山の特撮映画が生まれた。
日本代表のゴジラよりコングが秀でているのは「表情の演出」だろう。

学年に1人はいる顔


ゴジラは笑わないけど、コングは惚れた女に微笑みかける。
この辺りが海外ならではの憎い演出だなぁ、と私は思う。


映画の見方はそれぞれ↓

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