地域で本をつくる③「そもそもジモトブックスって何?」
ここまではジモトブックスの思いや経緯について、おもにお伝えしてきました。今回は、「そもそもジモトブックスって何?」をもっと掘り下げて書いてみたいと思います。
ジモトブックスをひと言でいうと?
ジモトブックスを説明するために使っている言葉があります。
それは、
全国各地で、地域の特色ある地元本が主体的に生まれていくしくみ
です。
いくつかポイントがあるので順に説明していきます。
ポイント①「全国各地で」
地元の兵庫県加東市で創刊号(一冊まるごと加東市特集)の準備をしていますが、ジモトブックスはこれで終わりではありません。「全国各地で」と銘打っているように、我こそはという全国のプレーヤーの皆さんと一緒に「各地の特色ある地元本」をシリーズでつくっていきたいと思っています。書店の棚に「ジモトブックスシリーズ」というコーナーができて、特色ある地元本が並んでいく姿を妄想しています。地球の歩き方のような感じですね。
ポイント②「地元本」
ただし、旅行雑誌や自治体の冊子で紹介しそうな観光スポットやモノやコトを安易に切り抜くようなつくり方は考えていません。その地域で暮らす人たちの営みや日常の風景を大切にします。地域の本質的な価値とは何かを考えながら本づくりをします。
ポイント③「主体的に」
地域のみんなと知恵を絞りながら一緒に本をつくるという意味での「主体性」です。ジモトブックスの制作では、出版社主導で地域の表面をなぞるような本づくりをするのではなく、地元主導で地域の人たちが自分たちの地域のことを深く考え本づくりに主体的にかかわっていく、そんなスタンスを取ります。
ポイント④「しくみ」
しくみって何でしょうか……。詳しくは後述するのですが、ここでは簡潔にお伝えすると、スタブロブックスが本づくりの伴走から完成後の全国書店流通までサポートさせていただく、という感じです。
以上をまとめて、「全国各地で、地域の特色ある地元本が主体的に生まれていくしくみ」としています。
……とまあ、こんな感じで説明したものの、いまいちピンとこないかもしれません。さらに詳しくお伝えしていきます。
装丁イメージとタイトル候補
視覚的な情報があったほうが伝わりやすいと思いますので、現状の表紙のイメージを添付しましょう。あくまでもラフです。今後どんどん変わっていく可能性大です。
「ジモトブックス」はタイトルではなく、シリーズ名称として検討しています。ではタイトルは何かというと、
『地域を編む本 ジモトで、』
です。
「で、」という格助詞で終わる変則的なタイトルにした理由は後述します。
ジモトブックスの詳細説明
「全国各地で、地域の特色ある地元本が主体的に生まれていくしくみ」というのは先ほどお伝えしたとおり。
具体的には、全国各地のプレーヤーの皆さんが本づくりチームを立ち上げ、そのチームが主体となって本の企画から編集、制作までをおこないます。そして完成した一冊を、スタブロブックスの流通に乗せて全国の書店に届け、利益と人を地域に引き込むことをめざします。
特徴①地域が主体となって進める本づくり
◎地域の人たちで本づくりチームを結成
◎地域のチームが主体的に企画・編集・制作
→全国の書店に並べていただき、読者の皆さんに興味深く読んでいただけるクオリティに引き上げるために、スタブロブックスが企画から編集、制作に至るまで本づくりのサポートをおこないます。表紙デザインほか、デザインフォーマットも提供します
特徴②発行元は、地域チーム
◎「発行人・発行所」は地域チームに。つまりその地域(たとえば地域で立ち上げた団体や組織)が発行した本として出版
◎そのうえで「発売元」をスタブロブックスに
→スタブロブックスが「発売元」となることで、完成した本をスタブロブックスの流通機能で全国の書店に配本できます。その結果、利益・人を地元に引き込み、地域のブランディングが可能となります
例)
特徴③完成本をふるさと納税返礼品に
◎完成した本を所属自治体のふるさと納税返礼品に
(自治体の加東市に確認済み)
→ふるさと納税返礼品には、NFTによる「第二のジモト認証=デジタル住民票」の付与も検討しています。デジタル技術を活用した関係人口の創出をめざします
特徴④所属自治体の学校の教材としても検討中
◎ジモトブックスの本づくりには、地元の学校の生徒さんも参加。地域の将来を担う次世代の目線で加東市を見つめ、その学びの成果を地域の学校教材として活用していただける方法を検討中。
※ ジモトブックスをシリーズ化し、全国の書店でフェア展開
※ ジモトブックスのWebサイトを立ち上げ物販も(将来的に)
※ ジモトブックス発行地域で連携し地域を盛り上げるフェスも
格助詞で終わるタイトル案に込めた思い
タイトルはまだ変わる可能性があるのですが、現状は前述のように『ジモトで、』という変わった案です。
まず、「地元」ではなく「ジモト」にした理由。それはいわゆる「地元」という言葉がもつ意味をもう少し拡張したいからです。
手元の新明解国語辞典で「地元」を引くと、
その事に直接関係のある地方(土地)。自分の住んでいる土地。
とあります。シンプルですね。辞書的にはシンプルだけど、「地元」という言葉には、もっとさまざまな意味が付着していると思うんです。いい思い出が乗っかっている人もいるでしょうし、閉鎖的で内向きな田舎といったマイナスのイメージを抱いている人もいるかもしれません。田舎が嫌いで出た人にとっての地元のイメージはどんなものでしょう。
いずれにしてもいえるのは、辞書にあるように、「自分の住んでいる土地」や「出身地」のように〝直接関係のある土地〟というとらえ方がベースにあると思います。
ですが、ジモトブックスではもうちょっと解放的な雰囲気を漂わせたいのです。
生まれ故郷であるかどうかや今住んでいるかどうかにかかわらず、今の自分が心地よくかかわっている地域を広い意味で「地元」とみなしていいのではないか。
将来住み続けるかわからないけど大好きだから今住んでいる、このまちが好きでずっと通っている、このまちの人たちが好きなので一緒に地域で何かしたい――そうやって自分が主体的に碇(いかり)をおろしている地域、自分からかかわろうとしている地域、そんな地域をひっくるめて「地元」とよんでいいのではないか。
そうして「地元」のとらえ方を拡大解釈するために、あえて「ジモト」としています。大切にしたいのは、「自分が主体的に選んでいる地域」であるという点です。
「ジモト」の説明が思った以上に長くなりました……ようやく本題のタイトル案の説明です。
「で、」という格助詞で終わらせている理由は、地域と意味をつなぐためです。「その地域で、〇〇する。」というように、それぞれの地域の名称と、その地域の特色を表す述語を組み合わせることでシリーズ展開していきたいという企図がベースにあります。
創刊号のあいさつにそのあたりのことを書こうと思っているので、現状案をそのまま転載します。
ジモトブックスの狙い
ジモトブックス、なんとなく理解してもらえてきたでしょうか……。私自身も手探りで進めているので、ジモトブックスとは何かの説明の仕方は今後、まだまだ変わっていくと思います。
いちばん手っ取り早いのは、かたち(実際の本)として見せることだと思っています。まずは加東市をテーマとした創刊号でジモトブックスのモデルをつくり、全国各地にシリーズとして広めていけたらと思っています。
最後に、このジモトブックスで何をしたいのか、その狙いについてお伝えしておきます。
*
このマガジンでは、ジモトブックスシリーズを立ち上げるまでのプロセスをできる限り可視化し、みなさんと共有していきます。少しでもご興味があればフォローしていただけると嬉しいです。
「私の地元でも地域の人たちと組んで本づくりをしてみたい!」そんな熱い思いをもつ方はぜひ気軽にお声がけください。全国各地のプレーヤーの皆さんと組んで、各地の特色ある地元本を一緒につくっていけたらと願っています。
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