海野裕(株式会社インターテクスト代表取締役)

▷1989年博報堂入社▷2001年、株式会社インターテクスト設立、代表取締役▷野良猫教…

海野裕(株式会社インターテクスト代表取締役)

▷1989年博報堂入社▷2001年、株式会社インターテクスト設立、代表取締役▷野良猫教授のマーケティング幸福学▷数多くのブランドをプロデュース▷2017年グッドデザイン賞受賞▷野良猫教授としてYouTube|BIKE&WORDS も配信中。▷ピアニスト、バイカー、書家、猫派。

最近の記事

ポストコロナ時代、みんなはどこに住む?

通勤、それはぼくが最も忌み嫌う時間のひとつでした。それだけでも会社員を辞める理由になるくらい嫌いでした。ちなみに高層ビルも大嫌い。あのエレベーターを待つ時間も、乗っている時間も大嫌いです。だから独立して小さくても自分の好きな空間でストレスなく暮らしている、いまの状況はぼくにとってとても好ましいものです。 2020年初頭から現在までのわずか数か月。世界は新型感染症のパンデミックによって、大きく変わってしまいました。会社員の多くはリモートワークに移行しています。つまり、会社員時

    • 『運気を磨く』(田坂広志)を読んだら心が整えられたよ。

      意識を疲れ果てさせる現代COVID-19による不安の再生産、NYストックマーケットの暴落、欧州(特にイタリア、フランス、スペインなど)での感染の拡大。2020年3月の世界は、ぼくが見てきた50年超の歴史の中でもかなり混乱している。大混乱と言ってもいいかも知れない。見えない恐怖に脅かされた人々は恐慌に陥ってしまいそうだ。いやもう陥っているのかも知れない。 学校は休校になり、企業はテレワークを推進している。麻布十番で職住近接のライフスタイルを確立しているぼくには大きな生活の変化

      • ネコの日記念。我が家の猫さんたちを紹介します。

         ぼくの家には現在、4匹の猫さんがいて、奥様の絶対君主エカテリーナ2世様とぼくと4匹の家族で暮らしています。もともとは和歌山で拾ってきたヨッシー吉宗、オフィスに訪ねてきた果敢な女の子ももの2匹で、この子たちはとってもなかよく暮らしていたのでした。ヨッシー吉宗はぼくが和歌山市に活性化案件で出張した際、和歌山城の天守閣公園で保健所に捕獲されていた仔猫でした。その場に居合わせたぼくはその光景が忘れられず、和歌山市役所や保健所に電話をし、捕獲された場所の特殊性もあったのでしょう、なん

        • 幸福感に繋がる17の知見~大阪大学社会経済研究所のレポートを読む~

           大阪大学社会経済研究所の筒井義郎氏をはじめとするチームによる非常に興味深いレポートを発見しました。テーマは「なぜあなたは不幸なのか」です。調査概要を見ると、有効回答数4,423サンプルで日本全国から抽出。そのサンプルに対して10段階で「幸福度」の自己評価を取得して、これを目的変数とし、その他さまざまな属性項目を説明変数にして幸福感あるいは不幸感につながる要因を特定する試みです。調査は2004年に行われているので、若干古いですが、とっても興味深くないですか? 幸福論にはいろ

        ポストコロナ時代、みんなはどこに住む?

          最高のアイデアを創るためのクルマの活用法。

           ぼくは麻布十番にオフィスと自宅をまとめた職住近接のライフスタイルです。職住近接だから成り立つ部分もあるとは思いますが、自宅にクルマを保有しており、それを主に仕事で使用しています。麻布十番のオフィスのほか、クライアントや取引先との打ち合わせはほぼ都心で行われます。丸の内、神田、渋谷、恵比寿、新宿、虎ノ門、霞が関、永田町、麹町といったエリアが中心でしょうか。その際の移動はほぼすべてクルマです。  ときおり「都心で暮らすならクルマは要らないんじゃないですか?」と言われることがあ

          最高のアイデアを創るためのクルマの活用法。

          Landscape of Marketing Strategy マーケティングを俯瞰するために必要な15のキーワード

          マーケティングを俯瞰する視点 私が「マーケティング」という概念と出会ったのは1989年。株式会社博報堂のマーケティング局に配属されたときでした。それまではほぼ何の知識もなかった。そもそも音楽や文学が好きだった私は、出版や放送に隣接した領域に就職すれば自分が大好きな音楽や文学の近くで仕事ができるのではないか、という幻想に囚われていたに過ぎませんでした。まさか55歳を迎える今、こうした「マーケティング」の専門家になっているとは、その時は想像もしませんでした。そんな私自身の歴史語り

          Landscape of Marketing Strategy マーケティングを俯瞰するために必要な15のキーワード

          マーケティングの定義を巡って、ちょっと冒険的なことを書いてみた。

           「マーケティングの定義」はとてもポピュラーなテーマです。というのも「マーケティング」という言葉は極めて適当に使われている言葉でもあるからです。いまだに「マーケティングリサーチ」が「マーケティング」のように言われることも多いですし、「営業」と「マーケティング」の区別がついていない企業や人に、私自身もよく出会います。今日は「マーケティング」っていったい何だっけ?という素朴な疑問に答えられるように、これまで作った資料などを紐解いて説明していきたいと思います。 「マーケティング」

          マーケティングの定義を巡って、ちょっと冒険的なことを書いてみた。

          倫理観を数量化するための「24の倫理コンセプト」を編集した話

           「倫理観」という言葉聞いたことがありますよね。「倫理」は「道徳」などと近接した概念として語られることも多く、この二つを峻別するのは結構難しいことです。これまでの私の分析と研究から定義すれば「倫理」の方がやや抽象度の高い、別の言い方をすれば内省的な概念で「道徳」はもう少し制度的、あるいは外部への拘束力を伴うもの、と言えると思います。  昨今いえむしろずっと以前から、社会の荒廃あるいは劣化を代表する事象として「(特に若い世代における)倫理観の崩壊」などがメディアや学識経験者か

          倫理観を数量化するための「24の倫理コンセプト」を編集した話

          外資系企業就業人口比率、日本と香港を比較してみたら。

          香港の外資系企業就業率は23.6% 昨年9月と12月に香港で市場調査を実施しました。日本産の食材を世界市場に導入していくキャンペーンの効果測定の調査です。キャンペーンのカロリーが9月から11月に集中投下されたため、その事前事後での調査となりました。皆さんご存じのとおり、香港は社会的に混乱しています。それへの考察はまた別の機会に送るとして、このような混乱期の定量調査は前提条件の安定性を欠いているとも言えます。事前事後の調査結果をどう見ていくか、分析の質が問われます。 そのレポ

          外資系企業就業人口比率、日本と香港を比較してみたら。

          自由と権威はどちらが尊いのかな、香港で考えた。

          香港での市場調査 今年ぼくが手掛けたプロジェクトのひとつは日本の食料品の海外広報。具体的には日本酒を香港に浸透させるというのがそれです。日本酒を香港で、と聞くと不思議に思う向きもあるかと思いますが、日本酒の輸出額は対北米が最も多く、それに次ぐ市場が香港なのです。結構、意外でしょ。 そんな仕事に取り組まねばならないタイミングで香港では当局と市民との激しい対立と衝突が勃発。中国政府当局、警察と学生を中心とした市民の激しい対立は周知の通りだと思います。ぼくはこの数か月で数回香港を

          自由と権威はどちらが尊いのかな、香港で考えた。

          人間には光が必要なんだ。光がないなら、自らが光になればいい。

          民主主義を擬態している社会 2019年10月19日読了。15歳を対象とした本ですが、日本人の大半は読むべきだと思います。マッカーサーは日本人のことを12歳の子供に譬えたと言われるが、まさに戦後70年を経過しても、それは変わっていないのかも知れない。幼稚な大人と稚拙な自治。多くの近代国家が血を流して獲得した民主主義を理解できず、それを模倣し擬態している社会が日本なのです。 現状は若者にとってより酷薄です。しかし、それは酷薄な時間がより多いという意味であり、日本人の大半にとって

          人間には光が必要なんだ。光がないなら、自らが光になればいい。

          手の届く範囲つまり「生活」を見つめていくことが重要だと思う。

          この文章を書いたのはたぶん2000年くらい。すべてを他人のせい、環境のせい、政治のせい、景気が悪いせい、と言わずに生きていこう。自分のために自分の人生を生きていこう。そんな気持ちで書いたことを思い出します。東京港区のおへそのような「麻布十番」という街を選んで、ここでの小さなセーフティネットを創りながら、人と社会を見つめる「マーケットインサイト」と「アナリティクス」を仕事にして、常に自分を育て、家族を愛し、猫を愛して生きていければと、ぼくは心から思っているわけです。 そんな思

          手の届く範囲つまり「生活」を見つめていくことが重要だと思う。

          コミュニケーションに関わる人は「言霊」を信じた方がいい。

          昨日2019年5月1日を以て改元、平成が終わり令和となった。元号は中国の皇帝の在位期間を表すことに起源がある。今も元号を用いている国がいくつあるのか、私は知悉しない。だが多くの国がキリスト暦を用いているであろうことは想像がつく。つまり天皇が代わり新たな時代を迎えたのは我が国日本だけであり、地球上のだいたいの世界にとっては同じ時間軸の延長線上にあるということである。 改元を話題にするかどうか、少し迷った。比較的ユニバーサルな価値観の強い私は改元そのものに強い思い入れはない。そ

          コミュニケーションに関わる人は「言霊」を信じた方がいい。

          ビジネスマンとしてのコアを形成する仕事が30代前半までに必要だと思う理由。

          イチローの現役引退会見 イチローが現役を引退宣言しました。ぼくと野球は何の関係もないし、野球にも何の興味もないのですが、実は今日記しておくべき大事なことがあると思い、こうしてブログを書いています。ぼくは1989年、平成元年に社会人になりました。翻ってイチローのプロ野球人生は1991年に始まっています。そのイチローは昨日45歳で現役引退を宣言し、たくさんの報道陣を前に今までのイチローとは異なる印象を伴って会見をしました。 ぼくは繰り返しますがプロ野球に何の興味もありません。イ

          ビジネスマンとしてのコアを形成する仕事が30代前半までに必要だと思う理由。

          普通の時計はもう要らない。アップルウォッチさえあればいい。

          シリーズ2からアップルウォッチを使い始めて、機械式時計をまったく使わなくなってしまったことは既に書きました。 その後、書いたとおりにシリーズ4でステンレスケースを手に入れてから、ほぼ毎日アップルウォッチシリーズ4を使用しています。なぜこれほどまでドラスティックにアップルウォッチにシフトしたのでしょうか? 理由は生体モニタリング機能の充実によって、自分の身体と健康状態の見える化がほぼ可能になったことです。自分の身体と健康状態を数値で把握することは、適切な体重の維持をはじめとす

          普通の時計はもう要らない。アップルウォッチさえあればいい。

          通勤時間は無駄。ナレッジワーカーは都心に住むべきである。

           都市生活というキーワードに反応する人にぜひ読んでもらいたい一冊が「都市の快適居住学」という本です。著者の宮脇檀(みやわきまゆみ)氏は建築家。この本以外にももちろんたくさんの著作があります。賛否はいろいろあるとは思いますが「農村型居住形態を離れよう」「都市生活を望もう」というのが通底しているメッセージです。  実際、日本の都市は寺社や御城を核とした「拡散型」がほとんどだとぼくも思っていました。それに対して、欧州の諸都市は城壁で囲われた都市国家。城壁の中に住む「市民」はそれに

          通勤時間は無駄。ナレッジワーカーは都心に住むべきである。