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外資系企業就業人口比率、日本と香港を比較してみたら。

香港の外資系企業就業率は23.6%

 昨年9月と12月に香港で市場調査を実施しました。日本産の食材を世界市場に導入していくキャンペーンの効果測定の調査です。キャンペーンのカロリーが9月から11月に集中投下されたため、その事前事後での調査となりました。皆さんご存じのとおり、香港は社会的に混乱しています。それへの考察はまた別の機会に送るとして、このような混乱期の定量調査は前提条件の安定性を欠いているとも言えます。事前事後の調査結果をどう見ていくか、分析の質が問われます。

そのレポート中に改めて面白い気づきがあったので、ここに記しておこうと思います。社会全般を対象とした調査ではありませんが、30~40代という香港社会の真ん中を構成している人たちがどのようなプロファイルなのか、興味がわきませんか?今回は、その中で勤めている企業がどんな構成なのか、という点にフォーカスしてみたいと思います。

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上記のグラフは香港の30代~40代の方々がどんな企業に勤めているか、の構成比です。当然のことながら香港企業に勤務している方が最も多く70.2%を占めています。続いてアメリカ企業が7.2%、ヨーロッパ企業が6.1%、日本企業が3.3%、韓国企業が0.3%、中国企業が4.2%、その他外資系企業が2.5%と続きます。

もうお気づきになりましたか?香港における外資系企業に勤める人の割合は、日系企業も含めて23.6%に上ります。これって、すごいことだと思いませんか?

対して日本は0.74%

 ちなみに日本はどうかと思い調べてみました。経済産業省が「外資系企業動向調査」という調査を実施しています。2018年が最新のようなので、その内容を見てみます。

上記の調査レポートによると日本の外資系企業就業人口は49.5万人だそうです。日本の就業人口はトータルで約6720万人というのが常識なので、これを母数として外資系企業就業者のシェアを計算すると、0.74%となります。

日本のデータは年代がより広いので単純比較はできないかと思いますが、香港では日本の30倍以上の比率で外資系企業に勤務している人が存在することがわかります。香港の人口は約740万人なので、これに乱暴に23.6%を掛けてしまうと174万人です。先のMETIのレポートで日本では外資系企業に勤める人は49.5万人だったので、香港には単純に考えて、日本の3倍以上の外資系就業者がいることになります。さらに人口は日本の10数分の1なわけです。

ビジネスはグローバル化、ボーダレス化し、日本のビジネスマン層がリーチできる情報もかなり広がってきているでしょう。しかしその実、海外とのリアルな接点を持っている人はまだまだ少ないことが、この分析からは見て取れると言えます。日本の場合、外資系企業が参入するには特に流通などで障壁が多いのも事実。日本企業がグローバル化していくのもひとつの方向性とは思いますが、外資系企業に就業する人の数が増えていくかどうか、この点も注目すべきポイントなのではないかと思います。

海野裕の本宅、公式ブログbeyondtextはこちら。


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