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中教審素案に思うこと(その2)

中教審素案を見て思ったことの続きです。

③全中学校に生徒指導担当教員を配置
→条件付きの賛成です。
その条件とは,その担当に授業をさせないでフットワークを軽くさせることです。
そして,警察などの関係機関と連携して素早く動ける立ち位置にすることです。
生徒指導は初動が重要になることが多いからです。


④教員調整額を10%以上に引き上げ
→現状よりはいいので,まあ,賛成です。
給特法を廃止しなければ,定額で働かせるだけ働かせるという意識は変わりません。調整額が上ったから,もっと働けという管理職が出てくるかもしれません。調整額が上ったから,部活動指導を半強制させる管理職が出てくるかもしれません。
確かに,教員は残業の線引きが難しいです。
放課後,パソコンをながめているだけで残業をしているという教員が出てくるかもしれません。
しかし,ほとんどの教員が早朝から働き,昼の休憩も十分にとれずに,放課後も生徒指導や保護者との面談や生徒の相談,部活動指導などを行っています。その他,地域の行事やPTA行事の協力などもやっています。
これらの中にはあきらかな残業があります。この時間については,残業手当を出してもいいと思います。


⑤学級担任手当の支給
→おおよそ賛成です。
中学校では,担任と副担任とでは,仕事量や精神的なプレッシャーは違います。大変なのです。
ですから,せめてお金で割り切りたいという教員もいるはずです。
しかし,問題も起こりそうです。
いじわるな副担任が,手当をもらっているという理由で仕事を担任に丸投げするかもしれません。
2人担任制をとっている学校に勤務したことがありますが,これはこれで難しかったです。2人の連携がうまくとれればいいですが,年齢差が大きかったり,相性や教育方針が違ったりする場合は,若手教員がつらくなります。


どうにかして,学校現場を良くしたいという文部科学省の気持ちはわかりますが,この素案通りに進んだとしても,現場は良くならないと思います。

とりあえず,勝手に考えていることは,

①教員の数を増やす(常勤)
→生徒数減を見越して,増やすことをためらい,非常勤でなんとか凌ごうとしていように見えます。現在,困っている学校が多いのです。現在を変えないと未来はないです。

②年間総時数を減らす。
→現在の1015時間を980時間にして,1日当たりの空き時間を2時間は確保する。

③研究指定校をなくす。
→多くの時間がとられ,生徒に向き合う時間が減ります。2年間の研究をしたらオワリというやっつけ仕事観が強いと思います。
また,研究の成果が生かされているのかは疑問です。

全国学力調査をなくす。
→全国平均などと比較されて,生徒の学びのモチベーションが下がります。調査後の分析や研修などで教員の仕事が急増します。
「学力向上」ばかりが強調され,型にはまった授業を要求される場合もあります。
授業の自由度が下がっているように感じます。
つまり,教員の授業に対するモチベーションが下がっているのです。

⑤定年を60歳に戻す。
→62歳になる非常勤講師の私が実感していることです。体力的に厳しいです。若い頃の情熱を維持することが難しいです。
生徒との年齢差が大きいことで,生徒理解が難しくなってきています。
65歳定年なったことで,ベテラン教員のため息が多かった現状をしっかりと見て欲しいです。
私は60歳で定年退職しましたが,これが65歳まで働くとなったら,定年まで働く自信がありません。おそらく身体を壊して早期退職したと思います。

教師は,子どもの未来に直接関わることができる素晴らしい仕事です。
どうか,多くの若者が教師を志す根本的な改革を急いでほしいものです。

「機動戦士 Zガンダム」のクワトロ・バジーナシャア・アズナブル)の名言です。

「新しい時代をつくるのは,老人でなはない」

その通りです。