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エチオピアはグローバルビジネスの多くの視点と日本の出遅れ感を教えてくれる

1月19日(金)から21日(日)にかけて、エチオピア正教最大の祭りの1つ「ティムカット(公現祭)」が開催されました。

エチオピアは、国民の6割以上がキリスト教徒であると言われており、イエス・キリストがヨルダン川で洗礼を受けた日を祝う祭りが行われます。
行事としては水に関係した様々な催しです。

4世紀頃からキリスト教が広まって独自に発展しました。

12世紀から13世紀に建造されたと推測されるラリベラの岩窟教会群は世界遺産です。巨大な一枚岩をくりぬいて築かれた11の聖堂からなります。

ギョルギス聖堂

ギョルギス聖堂は、建物自体がギリシャ十字型につくられています。

諸説あるようですが、この聖堂群が築かれた時代は、キリスト教の聖地エルサレムはイスラム勢力に占拠されており、信徒は聖地巡礼ができないので「第二のエルサレム」にしようとしたという説が最有力なようです。

驚くことに、今の現代の科学を持ってしても、どうやって建造物を造り上げたのかは、わかってはいないそうです。


昨今、エチオピアは国家的な取り組みと活動的なスタートアップの組み合わせによって、顕著な変化を遂げています。

この進化は、国の経済的・社会的な構造を再形成するだけでなく、地元のニーズとグローバルなトレンドをバランス良く組み合わせ、伝統と現代性を調和させることで、エチオピアを独自の進歩と発展のモデルとして位置づけています。

その一部を紹介します。

革新を牽引する国家的取り組み


エチオピアの革新の中心には、戦略的な国家的取り組みがあります。
技術進歩と起業家精神に焦点を当てた政策を通じ、政府は革新を促進する環境を育ててきました。

「グランド・エチオピア・ルネッサンス・ダム」
「アディスアベバ・ジブチ鉄道」

といった大規模インフラ開発プロジェクトは、接続性と電力供給を強化する上で重要です。

エチオピアの特徴は、教育と研究への注力です。

国内における大学や研究所の設立と拡大により、才能を育成し、革新を促進する肥沃な土壌が作られました。
これらの機関は学習の中心だけでなく、新しいアイデアの孵化器としても機能し、エチオピアの若者を革新の最前線に押し上げています。

活動的なスタートアップへの注目


Gebeya

Gebeya(アムハラ語で「市場」という意味)は、アフリカで自立したデジタルマーケットプレイスを育成するというビジョンのもとに設立されました。

このプラットフォームは、IT専門家を入念に審査し、高いスキルと専門性を確保しています。Gebeyaを通じて提供されるサービスの範囲は広範であり、ソフトウェア開発、データサイエンス、AIなどを含んでいます。

スタートアップから大企業までのビジネスや組織は、特定のプロジェクトニーズに合ったこの人材プールにアクセスできます。

クライアントにとっては、プロジェクトに最適な才能を効率的かつ信頼性高く調達できる手段で、IT専門家はさまざまなプロジェクトで働くチャンスとスキル向上が出来ます。


ZayRide

地元の交通課題を深く理解し、エチオピアの都市移動を革命的に変える野心的なプロジェクトとしてZayRideはスタートしました。

ZayRideのビジョンは明確でした。

エチオピア人に便利で安全、効率的な交通手段を提供するとともに、ドライバーに持続可能な収入源を提供すること。

従来のタクシーサービスが支配的でインターネット接続が課題となる状況の中で、Uberのようなグローバルモデルに触発され、画期的なタクシー配車サービスとして登場しました。

インターネット接続不安定なことを理解し、ZayRideはオフライン予約オプションなどの機能を導入。低接続エリアでもライドを呼ぶことが可能です。

さまざまなお客様のニーズに合わせた車両オプションが提供されており、標準のセダンからグループ旅行向けの大型車までがあります。

経済的には、ZayRideは地元のドライバーにとって大きな恩恵となっており、多くのドライバーがサービスに加わって以来、収入が大幅に増加しています。

M-BIRR

M-BIRRは、エチオピアの金融シーンを変革するモバイルマネーサービスです。従来の銀行業とは異なり、M-BIRRではユーザーが携帯電話から直接様々な金融取引を行うことができる革新的なプラットフォームです。

エチオピアでは、銀行口座を持っている人は 5 人に 1 人だけですが、成人の半数が携帯電話を所有しています。

M-BIRRのユーザーエクスペリエンスは、シンプルでアクセスしやすいように設計されています。
インターネット接続を必要としないため、遠隔地でも使用可能です。

例えば、農村地域の小規模事業主は、以前は考えられなかった便利さで、今では携帯電話で即座に支払いを受け取ることができます。



エチオピアの多様性と多角性


エチオピア暦では、1年は『9月11日』からスタートします。
(閏年は1日ズレて『9月12日』になります。)

エチオピアの1年は、30日/1か月の13か月です。
(13番目の月で5日分の端数(閏年は6日)調整)

そして1日の始まりは、朝日が昇る時間=午前6時前後
(日本での午前0時=エチオピアでは午前6時)

エチオピアには80以上の民族が住んでいるそうです。
オロモ人(40%)、アムハラ人(33~35%)、ティグレ人(7%)、ソマリ 人(4%)など南部地域には、独自の文化や習慣を維持したまま発展してきた民族がいます。
エチオピアの公用語は”事実上”「アラハム語」です。
(多数の民族と言語があるので”事実上”としました。)

首都アディスアベバなどでは、作業言語として「英語」が指定されているので、小学校から英語を勉強するそうです。

アディスアベバ

首都アディスアベバは、標高2400mの高地にあります。
富士山の5合目から6合目あたりの高さになります。
年間平均気温は、最高21℃~25℃、最低8℃~13℃で、年中ほぼ一定です。
陽射しは強いですが、暑いどころか涼しくて、時には寒いと感じるでしょう。


アフリカ統合(大陸・地域・国の三重構造)


アフリカ連合(AU)

アフリカ統合は、大陸全体の経済的、政治的、社会的発展を目指す重要な取り組みです。これは、アフリカ諸国間の協力を促進し、より強力で統一された地域コミュニティを構築するための努力の一環として重要です。

アフリカ統合の背景には、植民地時代の影響からの回復、経済発展の加速、地政学的な位置付けの強化、および国際舞台でのアフリカの声の増大などがあります。

この統合の過程において、「アフリカ連合(AU)」と8つ「各地域経済共同体(Regional Economic Communities 略してRECs)」が、大陸全体の統合と発展のために重要な役割を果たしています。


それぞれの組織の詳細は別の機会に説明するとして、大陸全体を纏める「アフリカ連合(African Union 略してAU)」は、エチオピアの首都アディスアベバにあります。


イノベーションを生む鍵は「建設的な意見の対立」をいかにつくるかであって、多様な個性を持ったメンバーが集まって、異質なビジョンを組織全体で戦わせることが不可欠です。

想像ですが、多民族・多言語が存在して、植民地化されなかったエチオピアがアフリカ諸国のハブとして機能することがベストでしょう。


日本はアフリカからもっと学ぶべき


エチオピアの地元のニーズに根ざしつつグローバルなトレンドに調和する革新へのアプローチは、日本にも大きなインパクトを与えると思います。

資金援助に重点を置いたアプローチの限界

日本のアフリカ支援は、資金援助や技術移転に偏重しており、これらはアフリカの自立的な発展に必ずしも寄与していないとの批判があります。

単なる資金提供ではなく、アフリカの持続可能な発展と地域統合に貢献するためには、日本の民間企業の参入促進、技術協力の強化、教育および人材開発への投資など、より具体的かつ戦略的なアプローチが求められます。

 
そして日本で殆ど知られていないアフリカの中位年齢(0歳から順に並べてちょうど中間となる人の年齢)に驚かされます。

2020年のデータによると、日本は48.4歳ですが、アフリカ全土で19.7歳なのです。


アフリカをイメージすると、灼熱の台地、眩しく照りつける太陽、ライオンやキリンがいるサファリ、そして「戦争」や「飢餓」、「貧困」、「感染症」などの負の要素が強調されがちです。

これはメディアが報道する情報が主にこれらの問題に偏っているためで、これらの問題は確かにアフリカの多くの地域で存在しますが、アフリカ全体を代表するものではありません。


実態を知らないのに、アフリカの人々を見下していませんか?


いまだに残っている理不尽な差別は、アフリカ人のイノベーティブ発想の素晴らしさを知っているからくる”怖さ”の表れかもしれません。



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