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この一年の自分の「差分」を捉えてみる: キャリアにおけるアンラーニングの重要性

割と大きな外資企業で10年ほどキャリアを積んで、国内スタートアップ企業であるRightTouchに転職して1年が経ちました。日々アツくてシンドイ仕事を楽しんでいますが、入社後の結構長い期間は仕事がうまくいかないことが多かったかなと思い返しています。

キャリア成長目線で見た場合、今年のテーマになったのは「アンラーニング」でした。今回のnoteではアンラーニングを中心にして2023年の振り返り、棚卸しをしていこうと思います。

参考までに、前回入社してすぐの振り返り記事はこちらです。


このnoteで伝えたいことを簡潔に

長い経験や過去の成功体験に引っ張られると、目の前のビジネスで成果を出すための思考と試行が進まない。
これに気付けるか、気付かせてもらえる組織であるかが重要。
とはいえ、自分が自分として成長を積み重ねていくには抽象化された「強み」が必要であり、これを今のビジネスに適用させて「成功の再現性」を作り、かつ新しいインプットによる「知の再構築」が成功をより拡大させるためのスタートラインになります。
SaaSスタートアップにチャレンジする中でどのようにアンラーニングしてきたかをやめたこと、続けたこと、新しく取り組んだものの観点からまとめました。

<目次>
・そもそも、アンラーニングってなんだっけ?
・一旦手放してみたもの
・キープできたもの
・トライしてみたもの
・見えてきたもの


そもそも、アンラーニングってなんだっけ?

本題に入る前に、アンラーニングの重要性を考えるにあたって「アンラーニングそのもの」について確認しておきたいと思います。ここではパーソル総合研究所による北海道大学大学院経済学研究院 松尾睦教授へのインタービュー記事をもとに要点をまとめてみます。(パーソル総合研究所、アンラーニングしなければ、人と組織は成長を続けられない、公開日:2022/09/27、最終アクセス:2023/12/31)

アンラーニングは「知の断捨離」とも説明されるもので、硬直した知識・スキルを「ほぐし」て、要らないパーツは捨てて、新たなパーツを仕入れ、組み替えていくことと理解されています。アンラーニングには周辺的なスキルやテクニックのみを入れ替える表層的アンラーニング(浅い学習)と、基盤となる仕事の型やアプローチを変える中核的アンラーニング(深い学習)の2つのレベルがあります。

アンラーニングのレベル
(記事を参照して作図)


アンラーニングはピーター・ドラッガーの1964年の著書である「経営者の条件」の中で触れられ、その18年後の1982年にボー・ヘドバーグという学者が組織学習の観点からアンラーニングを初めて学術研究の立場として論じます。そんな背景のアンラーニングですが、組織の経験学習として論じられたものが個人のアンラーニングへと注目を集めるようになったのはそこまで昔のことではありません。

個人の経験学習を考えた時に、人は「経験する→振り返る(内省する)→教訓を引き出す→応用する」というサイクルを経ることで経験から学んでいます。しかし、成功体験によってそれ以上の学習サイクルが回らず成長が止まったり、成功した「型」に固執してしまうことがあります。これを打破するために、通用しなくなった知識やスキルを棄却する学習(つまりアンラーニング)を進める必要があります。これを聞くと、成功体験を強く持っている人ほどアンラーニングを意識しないと停滞するように見えます。

例えば、過去の成功体験を持つ人の成功後の3パターンを考えます。昔はすごかった敏腕営業パーソンが、今はあまり活躍できていなかったとします。この営業パーソンは時代の変化とともにノウハウを更新せずに固定化(固執)し続けた結果として、成功の罠に囚われて業績が上がりません。一方で、ノウハウを理解して、時代に合わせてチューニングできた場合はどうでしょうか。これは成功を再現させることを助け、変化に合わせた形で業績を維持していけるでしょう。さらに、過去のノウハウに固執せず、現在の状況で必要とされる新しいノウハウを取り入れることができれば成功はさらに拡張して業績を向上させることができます。VUCA(変動性: Volatility、不確実性: Uncertainty、複雑性: Complexity、曖昧性: Ambiguityの頭文字をとったもの)と呼ばれる変化の激しい現代のビジネス環境においては、外部環境の変化に合わせて組織も個人も過去の成功に囚われていては目の前に広がる未来を制することはできなくなっています。

成功体験後の3パターン
(記事を参照して作図)


新しい型、ノウハウに切り替えるのは当然スムーズにいくことばかりではなく、時間がかかります。そのため、切り替えた当初は一時的にパフォーマンスが低下することになります。この産みの苦しむを乗り越える部分が成功の分かれ目になります。上手に切り替える人は、まず小さな部分から実験的に切り替えていき、検証し、うまく回り始めたところで新しい型を適用する範囲を拡げていくなどしています。

組織のアンラーニング視点で見た時に、中途社員に自社の変なところを指摘してもらうというのは有効な手段です。その一方で、中途社員が「前の会社では〜〜〜」と言い続けるのはまた、過去のノウハウや成功に囚われている状態になるのでアンラーニングが必要な状態です。さて、この後の本論はこの中途社員が成功体験に囚われることなくアンラーニングしつつ、過去の経験を今の業務に昇華させていく過程を自分のケースとしてまとめていきたいと思います。


一旦手放してみたもの

私は10年ちょっと、2つの大手外資企業(ドイツの半導体製造材料メーカー→オランダの学術論文、データセットの情報分析企業)で営業キャリアを積んできました。特に直近の5年ほどは営業マネジャー、グローバルキーアカウントなどを歴任し、MBA卒業とともに転職して1年でアカウントマネジャーからキーアカウントマネジャーに昇進できたことで、結構自分の営業に対するmethodologyにも再現性がとれたと自信をつけていたところでした。そして、2022年10月に現職のSaaSスタートアップビジネス(webかつカスタマーサポート領域で多くの物事が初体験な世界)に転職して、見事に半年間は成果も出ずに打ちのめされました。

最初のうちは、これまでに積み重ねてきた営業手法(というよりは感覚的なところ)とSaaSスタートアップビジネスの違いに戸惑うことばかりで、このままでは組織に貢献できないと考え、徐々に自分のマインドや動き方を変えていくきっかけを掴めるようになってきたのは2023年の2月あたりでしょうか。具体的に何を手放すことでこれらのチェンジが果たせたのでしょうか。


スケジュールを短く刻む

これまでの私の営業キャリアは基本的に既存営業、リニューアルビジネスだったこともあり、定点観測的な顧客関係構築からフォーキャスティングの精度に注力するスタイルが多かっため、月次単位で顧客動向をつかむような活動をメインにしていました。SaaSビジネスで新規獲得を目指すにあたっては(当然)そのようなペースのやりとりでは顧客の心を掴むこともできず、意思決定がいつの間には知らぬところで完了してしまっていること(つまり返信が来ないと思ったらいつの間にか失注するようなあるある)が多く発生しました。

そこで、商談の終わりに次回の日程調整を提案し、その際に次週の予定を伺ってfixするように心がけました。これは私にとって最初は非常にチャレンジングで、次週など予定が空いていないのではないか、近すぎる予定で失礼なのではないかと思っていましたが、実際には新規の検討を本気で進める顧客の場合は喜んで予定を開けてくれることがわかりました。こちらとしても、商談の確度が自ずと高まるコミュニケーションになったので、今では基本的に近い日程の予定を合わせるように商談計画を立てています。

既存営業案件と新規営業案件の時間の流れ(極端に描写しています)


これには自分に降りかかるものも当然あって、早くスケジュールが回る分、商談の準備も効率化していかないといけないし、ハイペースに何件もマルチタスクで管理していかないといけません。これは一人でこなすのは難しく、チーム(といっても人数はかなり少なかったですが)でセリングする活動をしなければいけません。このようなハイペースな商談マネジメントでも初回→二回目→三回目と商談を継続して前進させるために何をやるべきか?も社内で(主に代表の野村と)議論し続けたものでした。その辺りの汗(と涙?)結晶が以前野村が出した以下のnoteです。


荒めに出してみる

過去の組織の場合は、プロダクトの担当者など社内調整の相手が海外にいることが多かったり、重要な顧客向けのアクションの合意形成を海外の上位者を行わなければいけなかったため、自分から何か発言するにもある程度の準備、質が高まった状態でないと相手は時間も確保してもらえない状況でした。そのため、最終的には顧客向けにより良い価値提案をするための社内リソースを確保できるのですが、根回し含め社内営業に多くリソースを割いてしまい、顧客に届くには時間が長くかかってしまうものでした。(これも数ある他国、国内のアカウントと競争して組織としてそのアカウントにアクションを起こす重要性を訴えた上で社内リソースを勝ち取るもの、この辺の社内営業がめちゃめちゃ大事)

現在の組織は全体でも15~20名程度(当時)の規模感であり、議論もスピード感が重視されるもので、これまでのスタイルとは全く異なるものでした。ツール面でも、初めて触れるslackのスピード感ある(かつ、いい意味で雑な)コミュニケーションスタイルに慣れるまで時間がかかりました。特に、商談の裏でslackのやりとりをして、次の質問や聞きもれているポイントをお互い指摘しあって商談パフォーマンスを最大化するような動きは、やっと最近になって使いこなせてきた感じです。

こういった土壌なので、煮詰めた意見ではなく荒めでもいいから早く出して早く失敗する(そして最速で練り直して積み上げる)ことが重要になってきます。「〜〜〜だと思うんだけど、どうかな?」、これを言い出せるかどうかです。日々の商談から得られる洞察をプロダクトに還元していくことがSaaSスタートアップでは重要な営業チームの役目になりますが、「自分のプロダクト理解が足りないだけではないか」「使いこなしが進めばできるようになることなんじゃないか」ということを自己ループしてしまうと、重要なVoC(顧客の声)をプロダクト開発にフィードバックできなくなります。最低限のプロダクト理解は当たり前としつつも、why?やhow?は早く投げていくことが求められます。


セミストであるという自負

これは前回の転職でも結構捨て去ったはずなのですが、前職が化学企業や製薬企業の研究開発部門を相手にしたビジネスモデルだったので、実は自分のオリジンがめっちゃ優位に働いていた営業ライフだったのだと改めて思います(もともと有機合成化学の研究者でした)。しかし、今回は先述の通り化学も関係なければ製造業や研究開発の世界ではありません。Webの世界でホリゾンタルに幅広い業界へビジネスを展開することになります。

Webサポートという特性上、弊社のビジネスは金融(特に証券会社や生損保会社)だったりインフラ(通信会社や電気・ガス会社)、ECの領域での商談が多くなります。FP2級を持っているとはいえ、金融の世界で働いたこともないし売ったこともない、インフラやECもユーザーではあれどよくわかっていないような世界です。ビジネスモデルの理解と価値ドライバーの理解が必要でした。

セミスト(化学者)としての知見が役に立つ場面はほとんどありません。研究開発やサプライチェーンの知見も皆無です。ビジネスモデルやバリューチェーンからして素人な世界でセールスをやっていくには脱ぎ捨てなければいけないものばかりだったのが自分の専攻領域ということでした。MBAで普遍的にビジネスを学んだことと、研究の中でも実験思考(というかattemptという意味で試行)は事業開発セールスのアプローチにはとても役立っているので、それだけは今でも捨ててはいません。


キープできたもの

捨てるものもあれば、守ものもあります。これは過去に執着するのではなく、自分のビジネスを行うアプローチの中で核となるものを自分で理解している状態です。端的にいえば「強み」です。ここでは大きく分けて3つの目線で自分の強みを振り返ってみたいと思います。


知的好奇心ドリブン

新しい技術(webの世界)は知らないことだらけでしたが、触れることで手元で実現できることも多く、自分達のプロダクト理解を進めるために触りまくればそれだけリターンがあります。半導体材料営業の時は、入社して最初はクリーンルームに入って、自分でシリコンウェハ上に化学材料を処理して電子顕微鏡で観測、評価したものを資料にまとめて顧客に提案していました。学術データベース営業の時は、自社の複数あるデータベースを駆使して統合データセットを分析し、技術トレンドの評価を行いながら自社プロダクトのケイパビリティをプロモーションしていきました。今回ももちろん、このアプローチは活かしています。


入社してすぐのタイミングでは、顧客の業界理解、ビジネス理解を優先してプロダクト理解が疎かになっていたように思います。そのため、商談をしていても具体的な提案が弱かったり、実現可能性を自分の中で信じきれていなかった(それが顧客にもきっと伝わっていた)ため、契約をスタートさせることがなかなかできずにいました。あるタイミングで、腰を据えてプロダクトを触り、顧客向けの提案をしっかり作り込む時間を取りました。触っていてわからない部分は社内のメンバーにslackで聞きながら、顧客のwebサイトを分析しながら価値提案を作りました。この案件は足が長くてまだ受注には至っていませんが、担当していただいている対面の方には弊社のプロダクトが実現できる世界も理解いただけたし、なんといっても自分自身が自社のケイパビリティを理解できたことが大きかったです。これによって、今では自社のケイパビリティと顧客の要望のギャップを正しく理解し、事例やユースケースでは解決できない(しかし、乗り越えることでリターンが大きいと判断される)要求をDevメンバーと共有し、早期に機能反映させたりプロジェクト的に機能開発を進めることでプロダクトが実現できる世界の拡張に役目を果たせているかと思います。ここには、自分自身がどうしたいか?という意志を乗せることも忘れてはいけません。


エビデンスベースな発信

学術情報を取り扱っている時から、今まで以上に発信する内容のソース(情報源)にはこだわるようにしています。これは、学術情報の世界では信憑性の担保が重要で、企業研究の世界ではビジネス意思決定によって1兆円を超えるような研究開発投資の判断が必要な世界だからです。カスタマーサポートの世界では、どちらかといえば社会科学的なアプローチがメインであるため、テクノロジーアプローチのような確固たるエビデンスを捉えることは難しいですが、政策立案でもEBPM(エビデンス・ベースド・ポシシー・メーキング)と呼ばれるように、その場限りのエピソードにではなく、政策目的を明確化したうえで合理的根拠(エビデンス)に基づくものを進められています。

このアプローチでは、「ただそう思ったから」とか「こういうトレンドだから」という表面的な二次情報や三次情報に頼って発信したり顧客を誘導することを避けます。同様に、ポジショントークを避けて客観的に議論を進められるようにしなければいけません。その時に情報源を多様に確保することが最低限必要になります。ここは今でも「完全な情報」を手に入れるのは難しいですが、コールセンター業界の第三者機関のデータを使うようにしたり、海外情報を参照するにしてもさまざまなソースから情報をキュレーション(精査してまとめること)して吟味した上で活用するようにしています。手法は相変わらずのGoogleアラートだったりするのですが、その中から記事の言い回しや調査レポートなどを知識ストックとして貯めて、データを見る際の審美眼を養うように日頃から心がけるようにしています。最近は改めて、学術情報としてコールセンターやカスタマーサポートを取り扱う論文を調べ直すようにしています。


顧客の顧客をみる営業

半導体製造を主戦場にしていた頃から、B2Bセールスの中で目の前の顧客でビジネスが完結するものはほとんどなく、顧客の顧客でどのように価値が発揮されるものを提供できるか考えながら営業活動を行っていました。具体的には、スマホ用のイメージセンサー開発において製造プロセスに求められる材料特性を議論して、新規材料を提案、提供するというものです。当時はまだスマホで距離センター(LiDARと呼ばれる技術で顔認証に使われるセンサー)が開発途中のフェーズにあるようなタイミングで、顧客が製造するデバイスに求められる特性をマーケットのアプリケーショントレンド(3Dのイメージを捉える、など)から把握した上で提案を作ることを心がけていました。

BtoBtoCと評される弊社ビジネスに置いては、この素養は最重要ポイントになっているかもしれません。つまり、顧客のビジネスモデルで弊社が提案させていただくものは、価値実現の場(価値ドライバー)が顧客社内の業務効率化などに止まらず、顧客がエンドユーザー(つまり我々消費者)に提供する顧客体験をドライブしなければいけません。ここで幸いなことは、顧客にとってのエンドユーザーである消費者は自分でもあることです。ある証券会社様への提案の場合には、自分は日頃使っている証券口座の利用体験がそのままターゲットになり得ます。このように、B2Bセールスの要素だけに着目した営業活動ではなく、顧客から見た時のB2Cビジネス視点を取り込むことがセールスパーソンとして差別化要因になり得ます。これを長年の営業活動で強く意識していたことは間違いなくプラスで、自分の営業活動における「強み」だと認識しています。



トライしてみたもの

時間が経てば、新しい環境にも慣れて成果もついてくるかと思いつつ、そんな悠長なことはいっていられない状況でもあったので今までのやり方を変えていかないといけないと感じるようになりました。ここまでに取り上げた内容とはまた別で、マインド的にもアクション的にも新しく取り入れたものがあったので、ここではそれぞれについてまとめてみます。


マインド的にトライしてみたもの

これまでのアカウントマネジメントスタイルでは、既に走っている売上をどれだけキープできるか?という立ち位置で売上フォーキャストを作ったり顧客コミュニケーションを行っていきました。極端に表現すると、保守的で関係構築に重きを置いた営業活動を心がけていたように思います。前職の際には年々データベースの価格を数%ほど加算していくモデルだったため、顧客内での利用機会を増やしたり、掲載する学術コンテンツの質の評価を提示することで価格アップの妥当性を納得させ、滞りなく価格上昇の予算を達成することが年間かけての営業ターゲットでした。新規顧客案件(Newlogo)を獲得することもパフォーマンス評価には含まれていますが、金額ターゲットもインセンティブへの影響も文字通り桁違いなので、力の入れ具合がどうしても既存顧客向けの予算獲得に偏ってしまいます。

現在の活動では、一部自分が受注させていただいた顧客のセールス担当には引き続き携わっていますが、9割以上の活動は新規顧客案件に費やしています。そのため、案件に取り組むマインドを自分の中で新しく構築することが必要でした。具体的には、過去にも増して商談の事前準備にこだわり、単なる質問表の作成(SPIN質問、詳しくはこちらを参照)ではなく顧客のwebサイトを分析して課題整理をするようなアジェンダとスライドを準備して打ち合わせに望むようになりました。この時に積極的に準備したのはAsIs-ToBe図です。現在の顧客の状況を事前に調べ、商談でヒアリングして、AsIs(つまり現在の状況)を整理します。これと同時に、顧客がやるべきことをヒアリングの内容+弊社のケイパビリティで実現可能な世界をToBe(つまりあるべき姿)としてまとめ、そこに向けたギャップの部分をクリアするプロセスとして弊社のプロダクトによる価値提案にして商談を進めていきます。この内容をアクションではなくマインドのトライとして取り上げたのは、過去にも要素としてはこのような取り組みをやってきてはいたものの、出しどころを掴めていなかったり商談を進める中で優先して浮かべることができていなかったためです。これらの準備、提案をマインドの中で高くシェアすることで今までとは違う先回りでの商談マネジメントができるようになりました。

AsIs-ToBe図の一例(そのまんまAsIsとToBeを書いている訳ではありません)


アクション的にトライしたもの

従来の商談でも、プリセールスメンバーや技術メンバーと商談同席して、商談前に設定したゴールを達成するための役割分担などを組み立てることは多々ありました。しかし、セールス同士でお互いの商談に出席して意見交換したり、フィードバックし合う機会はあまり多くなかった(みんな手元を隠したがっていた、、?)ように記憶しています。前職では稀に、私の商談に同席にして何をやっているか知りたいといってもらったり、プロジェクト的に私が他の営業メンバーの顧客案件に同席して付加的なアプローチを行う機会はありましたが定常的にやることはありませんでした。

現在弊社では、多くの場面で営業メンバーが2人参加して商談していることがあります。これは新任メンバーのオンボーディングも兼ねていますが、それに止まらない効果を出しているのではないかと思います。それは、商談中のリアルタイムなフィードバックと役割メンションです。従来、私は事前準備の中で決めたものを歩留まりよく実践することが商談のクオリティだと考えていました。しかし弊社での商談では、商談中に参加者同士がslackでリアルタイムにやりとりして、抜けている内容を指摘したり、考えを整理したり、調べ物をして援護射撃したり、商談に参加していない他のメンバー(Devメンバーや同業界でカスタマーサクセスを担当しているメンバーなど)をメンションしてアドバイスをもらったりして、商談を少しでも前に進めていくように動いています。これは最初慣れませんでしたが、今ではチームセリングに欠かせないアクションとしてフル活用しています。このおかげで、うまく進まなかった商談の反省会の数は減り、その場で軌道修正しながら商談のnext actionを切れるようになり、失注件数が大幅に減少しました。

見えてきたもの

この一年を通じて、営業キャリアの中でも大きなフェーズチェンジが達成できたと感じることができました。これは自分一人ではなし得なかったもので、主にベタベタに1:1を回してくれた代表のnomuさん(大感謝)、バディのごとく受注後案件で並走してくれたりプロダクトセールス戦略の相談に乗ってきてるBizメンバー、プロダクトのwhy?を投げても速攻でプロダクトを成長させてくれるDevメンバーのおかげです。自分がその気になれば、仲間はみんな私の成長を助けてくれるし、私の成長がそのまま事業の成長に関与する割合がまだまだ高いフェーズにいることをみんな理解しています。だからこそ、これまでのやり方や過去の成功に囚われるような動き方は捨て、意味のあるものだけを持ち越して、磨いて、もがいて、新しいチャレンジを自分にどんどん課すべきだと実感しました。

今度はこれを、チームとしてスケールする段階になってきています。弊社のセールスチームも徐々にメンバーが増えてきたことで、弊社のセールスパーソンとしてどうあるべきかを考える時間が増えてきました。ここには、何を型化してナレッジマネジメントしていくか、何をコンテンツとして拡張していくか、何をラーニングしてベースアップを測っていくのかという軸があるのだと思います。そうなった時に、改めて立ち返るところに「全員プロダクト担当」という弊社のValue, Cultureがあります。単にプロダクトセリングをするのではなく、プロダクトの可能性、ケイパビリティを自分の中にしっかりインストールすること。SaaSスタートアップでは最重要ポイントであるこの視点をより一層大事にしていかなければいけません。自分達のプロダクトに没頭する、自分達だからできるユニークな価値提案に熱狂すること、それを組織で体現することが今の弊社RightTouchの魅力だと感じています。(この話は自分の中でも重要度が高いのでNewsPicksでもまとめています)

(ちなみにバナー画像は前職のキックオフミーティングでドバイに行ったときの砂漠で撮った写真です、いい思い出)

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