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世界史を変えたスパイたち

📕『世界史を変えたスパイたち』池上彰
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まだ半分しか読んでいませんが、週末に読んだ本の内容に驚愕したので、紹介させていただきます。

この本の表紙では、著者の池上彰さんが、
映画のスパイのようなダンディなファッションをしています。
しかし本に描かれた世界各国のスパイの歴史は、背筋が凍るようなものです。

冷戦時代、共産主義勢力、または資本主義勢力を「つぶす」ため、
●有力者の歯磨き粉に毒を仕込んで暗殺を図る
●証拠が見つからなければ「証拠を捏造する」→逮捕に追い込む
●国際法に触れない方法で捕虜を拷問する
…など、想像を絶する酷いことが続けられてきたと分かりました。

そんな中、私があっと驚いたのは142ページ。
池上さんの言葉を引用します。

「これまでのように、『ソ連の理念に反する現実に絶望した』というKGB工作員が、自分からスパイになる、スパイ用語で言うところの『ウォークイン』のようなことは、イスラム過激派に限ってはありませんし、カネや酒、女性などを使って籠絡することもできません。
CIA職員をテロ組織に潜入させるべく、アラビア語やペルシャ語の教育を始めても、現地で違和感を持たれずに活動できる状態に育てるには時間がかかります」

…この池上さんの説明を読み、目から鱗が落ちました。

例えば、冷戦下でイギリス人スパイがKGBに潜入したり、
ロシア人スパイがCIAに潜入したりすることは、頻繁にあったようですが、
それは白人同士、外見にも語学に問題がなかったから起こり得たのでしょう。

私が好きな香港の映画に『無間道(Infernal Affairs)』があります。これは、
「警察官だが、実はマフィアからの潜入スパイ」
「マフィアの幹部だが、実は警察からの潜入スパイ」
…という二人が主人公で、彼らは演技にのめり込むうちに、自分が誰なのか、どのボスのため、何の理想のために働いているのか、
だんだんとわからなくなってしまい、アイデンティティの危機に陥る
…という巧みな心理描写がされている映画です。
(そこには、もう一つのテーマ「香港は中国なのか、否か?」という、香港人のアイデンティティも重ねて描写されていました)

この映画も、主人公の二人が香港人で、外見面でも言語面でも問題がなかったから、
敵対勢力への潜入捜査が可能だったのです。

しかし、例えば白人の西洋人が、アラブ系の国にスパイを送ろうとしても、まず顔でバレるでしょう。

万が一、顔を完璧に整形したとしても、ちょっとでもアクセントがおかしかったら、
少しでも言葉を話しただけで、正体がバレてしまいます。

仮に、淀みないアラブ語を操る白人スパイがいたとしても、
イスラム圏の文化や風習はとても複雑で難しく、
現地で育たないと分からないことが多いのではないでしょうか?
とてもじゃないけど「西洋人がアラブ人になりすまして諜報活動を行う」なんて
不可能に近いと思いました。

だからこそ、西洋世界とアラブの世界に深い溝ができたし、
CIAはアラブ諸国の情報収集や事前のテロ事件の察知が満足にできず、
寝耳に水のような形で9・11同時多発テロ事件が起こってしまったのでは?…と、池上さんは指摘しています。

※ちなみに、KGBスパイ・レフチェンコが日本で諜報活動をしていた時、
「日本はスパイ天国」と言い残している…とのことで、震撼しました。

最後になりましたが、
informationとintelligenceの違いは、

★information:ただの情報
★intelligence:情報を系統立てて分析し、未来予測に役立てるもの

…だと知識では知っていましたが、
情報があふれる現代、スパイでなくとも
intelligenceが必要とされることを痛感しました。

3枚目と4枚目の写真は、ニューヨークのスパイ博物館です。
スパイ活動について調べていたら、この博物館のWebページにたどり着きました😃

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