海外だけでなく、国内も自由に旅ができなくなって、1年以上が経ちました。

ワクチン接種は始まっているけれども、マスクは必要だし、旅行やコンサートなどのイベントに行くとなったら、やっぱり、ワクチンを打ったとしても検査は必要だよなぁとか思ってしまいます。

旅がテーマの本は、自由に動けない今だからこそ読みたくなるのかも知れません。

近藤史恵さんの『たまごの旅人』は、行ってみたいという場所ばかり登場します。

あらすじ

旅行が好きで旅行代理店に転職をした新人添乗員の遥が、アテンドした先での出来事が描かれています。最初にアテンドをしたアイスランド、クロアチア、スロベニア、フランスのパリ、中国のツアーの後には、遥が個人で行く沖縄が登場します。

『スーツケースの半分は』や『ときどき旅に出るカフェ』など、旅にまつわる小説も多い近藤さんらしい物語です。

感想

第一章は、タイトルの「たまごの旅人」で、どこをアテンドするのだろうと思ったら、なんとアイスランドでビックリしました。

私が、はじめてイタリアに行った時に参加したツアーでアテンドをしてくれた添乗員さんは、デビューが中国だったと言っていたので、アイスランドはちょっとマニアックですよね。

遥も戸惑っていたようですし、何よりも失敗しちゃいけないという緊張感が伝わってきます。

ツアーに参加する人もいろんな人がいて、予想をしないトラブルも発生します。周りの人に助けられながら、必死で解消しようとする遥の姿に「頑張れ」と声援をおくりたくなります。

また、仕事に慣れてきたところで、流行り病の影響も。最後の『沖縄のキツネ』も、全く想定していない展開でした。

誰もがうらやましいと思う旅の物語が一転として、全く別のものになってしまう。そこでも、面白い出会いがあったりして、ただでは転びません。

新人添乗員の遥の物語は始まったばかり、だからこそ次はちょっと成長した姿も読んでみたいですね。『ビストロ・パ・マル』や『清掃員キリコ』のようにシリーズ化を願います。

去年の春から、ずっと先が見えなくて、不安なことが多い毎日が続いています。明けない夜はないと信じたいけれど、いつになるかはまだわかりません。ワクチンを接種しても、海外に行くのはまだ少し先なのかなと思いました。

※ちなみに私は今週末に1回目を受ける予定です。