第二十話 スペシャル料理

「さあ!おまちどうさま、私の特製『鳥のからあげ』だ!」
ルーカスは、両手の料理をテーブルに並べながら言った。

「からあげってリナガリの街のアオイヤの食堂にもありましたよね?」
オリビアが聞いた。

「そうなんです!ルーカス様はアオイヤのほとんどの食べ物のレシピを教えた方なのだそうですよ!」
何故かケイトリンが誇らしげに返事をした。

「えっ!そうなのですか?ということは、あの『テゴネンチ』とか『角切りステーキ』もルーカス様が?」
ブレンダが聞いた。

「そうなんですよ!おねぇさま!私ここにいる間にお料理もルーカス様に教えていただきます!!ね、お師匠様!!!」
何故かケイトリンが元気よく答えた。

「あ、ああ、まぁ、そんな大した物じゃないんだが、大昔にね、私の《《故郷》》の食べ物のアイディアをちょっと出しただけだよ」
ルーカスはケイトリンの勢いに驚きながら答えた。

「うおー!じいちゃん!今日は気合い入ってるな!こんなにからあげを作るなんて!いただきまー!!!」
ユウキは箸をもってからあげを取ろうとしたときにピシャリと手を叩かれた。

「ユウちゃ〜ん、まだ『いただきます』を言ってないでしょう?」
マヤが笑顔で言った、笑顔なのになぜかみな寒気を感じた。

「さ、さあ、じゃあ、みんなで『いただきます』をしよう。
私たちは『箸』を使うのだが、皆は『フォーク』でいいな」
ルーカスが言った。

「『箸』ですか、珍しい食器ですね」オリビアが言う。
「ああ、これも私の《《故郷》》の食器だよ、ステーキのように硬いものは難しいこともが、切る、刺す、持つができる優れた食器だよ、まぁ、フォークとナイフでも良いのだけどね、ライスには箸が一番使いやすいのだよ」
ルーカスが答えた。

「では、私にも『ハシ』をお願いします。ルーカス様こだわりの食べ物をこだわりの食べ方でいただきたいです。」
オリビアはそのようにいい、ブレンダとケイトリンも同意した。

「ふむ、『郷に入りては郷に従え』だな、いい子たちだ」
ルーカスはにっこりと微笑むと用意しに席をたった。

「ルーちゃんはなぜか、ライスにこだわっていて、食器も専用のものを用意しているのよ。私もすっかり虜だけど」
マヤは笑顔で言った。

「『箸』は俺も生まれたときからずっと使っているけど、ライスも含めてじいちゃんの作る食べ物は、街のどの食べ物よりもうまいよ、特にこの『からあげ』はアオイヤにも教えていない特別なレシピらしいぞ」
ユウキがからあげから目を話さずに言った、今にもよだれを垂らしそうな顔だ。

「さあ、お米はお茶碗で、手と手をあわせてみんなで『いただきます』だ」
ルーカスが持ってきた食器を配り、手をあわせた。

「いただきます!」
すっかり日の落ちた森の中の食卓に大きな声が響いた。

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