機会発見。一人の天才のひらめきではなく、組織でイノベーションを起こす方法
・どんなことが書かれている本?
・機会とは何か?
・読んで思ったこと
こんな疑問や内容を書いている記事です。
今回ご紹介する本は、機会発見 - 生活者起点で市場をつくる です。
機会とは何か
この本のタイトルは 「機会発見」 です。
本書で 「機会」 とは、次のように説明されます。
機会とは
・事業領域の設定と、製品企画の間にある橋渡しの役割
・製品・サービス・事業を生み出すための見立て
・議論や判断基準の拠り所になるもの
読んで思った機会の理解は、市場創造や新しいビジネスのための 「着眼点」 や 「切り口」 です。平たく言えば 「目の付けどころ」 です。
今はまだ人々が気づいていない、またはアイデアは他の人も持っているが実現されていない、市場を創るための着眼点です。
機会の例
本書で紹介される機会の例を、ノンアルコールビールとカメラ・写真からご説明します。
フレームは、生活者の視点で見る機会に対して、ビジネスとしてどう捉えるか、価値を提供するかです (事業の機会) 。
ノンアルコールビールの例
・生活者起点の機会:ビール気分は味わいたいけど、夜にネイルをする時に酔うとうまくできないので、お酒は飲みたくない
・事業の機会:ビールの気分で飲めるノンアルコール飲料
カメラ・写真の例
・生活者起点の機会:自分で自分を撮りたい。ツーショットを自分で撮りたい。撮ったものを見せ合ったり、シェアしたい
・事業の機会:自分撮りができ、撮ったその場でシェアできるカメラ
読んで思ったこと (2つ)
ここからは、本書を読んで思ったことです。2つあります。
読んで思ったこと
・MECE ではなく 「枠外」
・デザイン思考 × マーケティングリサーチ
以下、それぞれについてご説明します。
[思ったこと 1] MECE ではなく 「枠外」
機会発見で興味深いと思ったのは、新しい着眼点を得るために、既知の枠内ではなく枠の外に目を向ける考え方です。
MECE が成立するのは、あらかじめ枠があってです。機会の観点で言えば、枠の中でどこに市場があるかを探すことになります。
しかし本書で書かれている機会発見は、いかに枠を出るか、枠を壊すことができるかです。どれだけ既存のものの見方、当たり前や常識から離れ、全く新しい着眼点を得ることができるかです。
創造力や発想の転換が求められます。本書を読んでいて思ったのは、人間の創造力や共感力への可能性です。機械やロボット、AI ではなく、人間だからこそできることです。
この本がおもしろく読めるのは、夢物語で語るのではなく、再現可能な方法が具体的に書かれているからです。機会とは何か、新しい着眼点をどうやって得るのかをわかりやすく詳細に説明しています。
[思ったこと 2] デザイン思考 × マーケティングリサーチ
機会発見のやり方は、デザイン思考とマーケティングリサーチの掛け合わせです。私がマーケティングリサーチを専門の1つにしているので、興味深く読みました。
デザイン思考は、人への共感を起点にし、常に共感を拠り所にしながら問題解決や創造をするアプローチです。
マーケティングリサーチにデザイン思考の考え方が取り入れられることによって、マーケティングリサーチだけでは難しかったことができるようになります。
今までになかったビジネスチャンスである、着眼点・切り口・アイデア・仮説を得ることです。一人の天才によるひらめきではなく、市場を創造するというクリエイティブなことを再現性のある具体的な方法です。
機会発見の1つ1つのやり方はオーソドックスなものです。デスクリサーチ、インタビュー、エスノグラフィー調査、ユーザーマッピングによる可視化です。
これらを総動員し、アイデアの発散と収束を繰り返しながら機会発見の5つのプロセスに従い、発散と収束を繰り返しながら、新しい着眼点を見い出します。
最後に
本書は、新しいビジネスチャンス、市場創造という正解のないことに、具体的にどのような方法で取り組めばよいかをわかりやすく説明する本です。
イノベーションの起こし方を、属人的で組織での再現性が低いやり方 (例えば一人の天才のひらめきから) ではなく、組織で再現できるように、具体的にわかりやすく解説しています。
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