子育て中の親が年収高くなると失うもの一覧:「子育て罰」「罰ゲーム」

最近、「子育て罰」「罰ゲーム」なる記事を見かける。

高年収層「子育て罰」
https://president.jp/articles/-/66596?page=1

「第3子に1000万円支給を」高所得者が子育て支援から外される"罰ゲーム"はなぜ続くのか
https://president.jp/articles/-/44270

以前にはなかったように思う。

「高所得者は納税という点ですでに義務を果たしているのだから、そこで終わりにしてあげて、本気で少子化対策を考えるなら子育て環境こそ平等にしてあげればいいと思います。」


”消費税が10%になる際、これまでの高齢者中心から、子育て世代にも拡大する財源にするという名目で増税されました。
新たに加わった消費税の使途は、
1.幼児教育・保育の無償化
2.待機児童の解消
3.高等教育の無償化
などで、ここに「待機児童の解消」も含まれています。
ならば公約通り、消費税できっちり予算確保しろよ、と言いたくなります。マスコミはこういうところを指摘してほしいものですが、”
高所得者はすでに多額の税・社会保険料負担をしているのに、
子育てするとなるとさらに相対的に多くの支出を、可処分所得から支払うことになる。

記事を読むと、論点はこういうところ↑ですね。

通常、高所得者の仕事は、責任が重く労働時間や拘束時間が長いと思う。

子育ても、時間も手間もかかり、責任重い。

それなら意図的に仕事はほどほどにしよう、と思う親は結構いるのではないか?それは結局日本の経済成長を止めるドライブになるのではないのか?と思うんですけど、政治家の皆様はそういうことを考えるわけではなく、いかに民衆を分断して、少数の「恵まれた」人々を痛めつけて、それを多数の民衆が見て溜飲を飲むことで支持率アップを狙っているんでしょうかね。古典的なやり方ですが、人類は進歩しないですね。。

ライフステージ順に発生する「子育て罰」をまとめてみました。

●罰その1:児童手当

生まれてから中学生まで
 3歳未満は1人あたり月1万5000円
 3歳以上は月1万円(第3子以降は3歳から小学校卒業まで同1万5000円)
がもらえることになっています。
が、対象は、子どもが2人いる会社員の夫と専業主婦(モデル世帯)の場合は夫の年収が960万円未満で、ちょっと前までは、960万円以上は特例給付として児童1人あたり月5000円に減額された支給されていました。
 が、さらに改正法となり、この特例給付は、世帯主(世帯合算は導入せず、主たる生計維持者の所得で判断)の年収が1200万円以上は、特例給付が廃止され、令和4年(2022年)10月支給分から適用され「年収1,200万円」を目安とする高所得者世帯における児童手当の特例給付が停止。 対象から外れた子どもの数は約61万人(全体の4%)で、年間で約370億円の公費削減になったとみられている。

ちなみにこのルールがくるっているのは、

「片方が年収1200万円なら支給停止となるのに、夫婦ともに年収1000万で世帯年収2000万あっても停止とならない」

という点。
これを修正せず、実行している岸田内閣、男前すぎませんかね。

●罰その2:保育園

無料ではありません、負担金(利用料)を払います。所得が高いと毎月の負担金も高くなります(給食費も高所得だと支払うとか)。おおむね都市部は高く田舎が安い傾向があります。高所得者の子供一人の場合、横浜だと月7.75万円、札幌は7.59万円、福岡は8.32万円、京都は9.44万円。2人目はおおむね3万円前後となる(札幌や福岡はゼロのようだ)
https://www.sumai-surfin.com/columns/mansion-knowledge/hoiku2


 小中は国レベルで明らかな罰はこれといったものは見つけられなかったが、給食費は所得に応じて違うところもあるようだ(ここら辺は市町村)。

●罰その3:高等学校等就学支援金


返還不要の授業料支援がある


https://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/mushouka/20210317-mxt_kouhou02_1.pdf

世帯の年収が590万円未満だと最大40万円程度の補助がもらえる
世帯の年収が910万円未満だと最大12万円程度の補助がもらえる(公立高校授業料免除)
=世帯年収910万円以上だと何ももらえない

基準が共働きなのか、労働者が一方だけなのかで異なるのもおかしな話。

https://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/mushouka/20210317-mxt_kouhou02_2.pdf

これは、(特に地方での票のボリュームゾーンである)公務員共働きでも支給対象となるように調整しているようにしか思えないなぁと。

都市部子育て年収1000万円くらいが一番きつい?


まぁいずれにせよ、年収1000万円を超えると支援がゼロになる。
年収1000万円って日本では高所得の象徴のように言われたりするが、昔はそうだったのかもしれないが、社会保険料も爆増している現在では言うほど手取りはない。

https://www.musashi-corporation.com/wealthhack/annual-income-net-income

 上の通り、年収1000万円でも手取りは700万円ちょっと、ボーナス無で毎月イーブンにもらっている人でも、毎月の手取りが60だけ。ボーナスで多くもらっている人は、月の手取りは40~50とか。
 地方で家賃負担が小さいならまだいいかもしれないが(と言いつつ地方には自家用車や持ち家という金食い虫がいる・・・)、東京で家賃が月に20くらいになればそれだけで半分が吹き飛ぶ。そんな状況で、東京周辺で、私立の授業料全額払って、塾などの習い事、みんなのお小遣い・携帯料金・・・とか払うとなると背筋が冷えますね・・・。なので、子供が高校生くらいでお父さんついに年収1000万円に到達した!という人は結構いそうだが、実はこうなるとキャッシュフローがきつくなるともいえる?それくらいになると、会社でもそれなりのスーツを着てそうだし、断るわけにいかない付き合いもいろいろありそうだし、会社関係でお金が出ていきそう。

実際そういうこと書いているエッセイはたくさん見かける。

・年収1000万でも子育て世帯なら裕福じゃない現実
https://toyokeizai.net/articles/-/609287

・年収1000万でも豊かに暮らせない…地獄のような街、東京で子育てを続けるワケ
https://gendai.media/articles/-/115500

・年収1000万じゃ全然足りない…「子供3人とも私立+一浪」50代夫婦の大誤算
https://president.jp/articles/-/42427?page=1


そして無事高校が終わり大学に合格しても地獄は続く。。。

●罰その4:大学授業料免除

住民税の非課税世帯は大学授業料免除(後から返済とかはない)
年収270万円に満たない世帯は、おおむね住民税の非課税世帯とされ、年間の学費が70万円免除
さらに生活費として日本学生支援機構(JASSO)から返還不要の給付型奨学金が年間91万円支給される

●罰その5:日本学生支援機構の奨学金(という名の学生ローン、単なる借金)

大学生の約3人に1人が利用している、日本学生支援機構の「奨学金」ではない学生ローン。
これも高所得世帯は奨学金を利用できない
高校で申し込む予約採用の場合、貸与奨学金の4人世帯の年収の上限(目安)は、会社員等の給与所得者は、
 無利子の第一種奨学金が747万円
 有利子の第二種奨学金が1100万円

とのこと。

返済不要の給付奨学金は、約380万円未満の世帯の生徒が対象。

●罰その6:「国の教育ローン」


高所得世帯は「国の教育ローン」も利用できない
「国の教育ローン」は民間の教育ローンに比べ、金利や返済期間など有利な点が多い
扶養する子ども2人の世帯年収の上限は原則890万円

「国の教育ローン」を利用できない場合、金利の高い銀行等の教育ローンを利用せざるを得ませんので不利になります。

●罰その7:大学独自の給付奨学金


高所得世帯は「大学独自の給付奨学金」も利用できないことが多い
大学独自の給付型奨学金の多くは「経済的困窮度」と「学業成績」を採用の基準としている

例)
慶應義塾大学「学問のすゝめ奨学金(入学前予約型給付奨学金)」
 父母の「令和○○年度の所得証明書」記載の収入・所得金額を合算した金額が
  給与・年金収入金額1000万円未満(税込)
  事業所得金額514万円未満(税込)
 の者

上智大学修学奨励奨学金
 家庭(父母合計)の年収が給与収入で 700 万円(税込)
  または営業所得等で 400 万円を超える場合は採用が難しくなります

●罰その8:医療費自己負担


子育てに限った話ではないけど、人間が存在すれば、医療が必要になることもでてくる。
入院などした場合、一部負担が大きくなってしまうが、日本には高額療養費制度という素晴らしい制度がある。
しかしこの制度年々悪化して、高所得者では結構な自己負担が必要になる。
高所得者は、この制度が適応されても月に26万円の自己負担が発生しうる。

https://www.shiruporuto.jp/public/document/container/kogakuiryohi/

 これに加えて、差額ベッド、食事代、などなどがさらに乗ってくるので、月30万円以上支払うことも十分あり得る。


●まとめ:日本の子育て「高収入世帯」に希望はないのか?

 こんな感じで、日本は、子育ての親が所得を増やすと、どんどん罰ゲームを課してきます。政府もマスコミも「少子化だ!やばい!みんなに産んでもらうにはどうしたらいいんだろう??」「働き手も足りない!男性も女性も仕事やって!」と口では言いつつ、実際やっていることは、仕事も子育ても頑張っている親には罰ゲームの嵐。正直、都市部で、夫婦でバリバリ働いている人たち、日本政府には恨みしかないんじゃないでしょうか・・・。そういう家族に希望はないのか?

 あります。

ここから先は

881字 / 6画像

¥ 300

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?