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次男の鳴き龍

以前、
うちの長男には録音再生機能がある
という話をご紹介した。

長男は録音再生機能だが、
次男には
カメラ機能が搭載されている。

彼がまだちっちゃかった頃、
そのカメラ機能は未完成で、
よく逆さ文字を書いたりしていた。


小さい頃から
大好きな生き物の絵が
とびきりうまいなと思っていた。
チラッと見たものが
脳に写しとられて
紙の上に美しく再現される。

幼稚園時代には
クレヨンで書いたシャチの絵を見て
担任の先生が
「おかあさん!!この子は天才です!!」
と絶賛してくれた。

先生の絶賛がなくても
わたしは
かわいい次男の絵が大好きで、
いつも
目がハートになりながら
次男の絵を鑑賞していた。

本人は
自分の作品にたいして
全く無頓着で、
描いてはそこらにポイっと捨てる…
みたいな感じだったのを、
わたしは
宝探しのように拾い集めて
コレクションし、
お気に入りの作品は
額に入れて飾ったりしていた。

小中学校で美術展に入選するも
本人は
絵の道に進むつもりはさらさらなく、
バスケ三昧の日々を送る。

高校時代も
美術の先生が絶賛して学校に掲示するくらいの
美しい鉛筆画を描いた。
肖像権に触れるんじゃないか…
というくらいの
再現度の高い肖像画。

が、
本人は
絵は趣味だと言い、
高校ではバスケを楽しみ
大学は数学科に進む。


そして今、
大学生になったかわいい次男は、
大学生活を謳歌していて
遊び回っている。

度が過ぎて
わたしの機嫌の雲行きが怪しくなると、
さすが次男、
さっと検知して
「絵でも描いてあげようか」
と言う。

わたしが
次男の絵の大ファンであることを
本人
よく分かっている。


先日も
年末年始にやりすぎた次男が
母ちゃんのご機嫌を回復しようと
「絵を描いてあげるよ!なにがいい?」
と言い出した。

すかさず
龍の絵をリクエストするわたし。

うちの天井は
一箇所
反響が強いところがあって、
そこで手を叩くと
「鳴き龍」のように
びいーーーん
と不思議な残響が聞こえるのだ。
ここに龍の絵を貼って
我が家で東照宮気分を味わいたい!


おーけー、わかったーー
と言って、
スマホで龍の絵を調べながら
シャーペンとコピー用紙を持ってきて
さらさら描き始め、
最後は筆ペンで
1時間弱で仕上げた次男。

本人はやはり無頓着だが、
立派な立派な龍の絵が完成した。

天井に飾ろうか…
いや
額に入れてもいいな…
と喜ぶわたしを確認し、
また次男は
安心して
遊びに行ってしまったのだった。

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