見出し画像

桜の接ぎ木をついでいく

何年か前に
「桜の接ぎ木をやってみませんか?」
という募集を見つけて、
ビビッときたのでエントリーした。

樹木に詳しい
地元のおじいちゃんが先生。
接ぎ木の「つ」の字も知らないわたしに
親切に丁寧に教えてくれた。


習うまでは
全然知らなかったんだけど、
園芸用の桜は
種を撒くんじゃなくて
接ぎ木で増やすんですって。

台木に
接ぎたい桜の芽をカットしてくっつけて
ぐるぐる巻きにしておくと、
しばらくしたら
そこがくっついて
芽が伸びてくる。
(植物って、すごい!)

ポイントは
カットした芽を乾かさないことと
維管束をしっかり合わせてやること。
よく切れる清潔な刃物で
カットしてやることもだいじ。

そうして成功した接ぎ木苗は
もとの木のクローン。
だから
学校とかで見かける
ソメイヨシノは
ぜーーんぶ同じ遺伝子のクローンなんですって。
(植物って、おもしろい!)


わたしは
おじいちゃん先生に習いながら
いらない枝で
何回か練習し、
ドキドキしながら本番。

自分で接いだ苗は
おみやげとして
もらって帰ってきた。

うまく成功していれば
何ヶ月後かに
接いだ芽が伸びてくるはずだが…
うーん
ざんねん
そう簡単には成功しないようだ。


それ以降、
年に2回の接ぎ木シーズンには
地元のおじいちゃん先生に習いながら
たびたび
桜の接ぎ木にチャレンジするようになった。

学校の敷地内にある
老朽化した桜の子孫を残そうと、
生徒たちと一緒に
接ぎ木会をやってみたりもした。

そうして現在、
わたしの背丈くらいに育ったソメイヨシノと、
まだ細くて小さいシダレザクラと、
昨年接いだばかりの
芽が出たての苗とを
育てている。

なんどもやってきたので
わたしの接ぎ木の技術も
生徒たちに教えてあげられるくらいになってきた。



今年、
わたしに接ぎ木を教えてくれている
地元のおじいちゃん先生が
体調を崩された。

検査と入院で
なかなか会えない。

電話すると、
まだまだ死ぬわけにはいかないからねーー
と元気な声を聞かせてくれたが
なかなか
体調思わしくないようだ。

おじいちゃん先生は、
桜を接いで
子孫を残す活動をしながら、
わたしという
なんにも知らないシロウトにも
惜しみなく知識を伝えて
育ててくれているのだよなぁ…

ひょろひょろの苗で
ひとりだちできないわたしだが、
しっかりと
学んだことをついでいかなくては
と思った。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?