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強風の中で生きた日々

風の強い日には
あの家での暮らしを
思いだす。


あれは
結婚してすぐに住んだ
茨城のマンション…

茨城といっても
千葉寄りの地域で、
利根川の河川敷から広がる平地。
見晴らしがよくて
開けたよい土地だったが…
なにしろ
風の吹き抜け方が凄まじいところだった。

川のそばだから
風が吹き抜けやすくて
風の通り道になっていたのかもしれない。

はるか向こうに見える筑波山から
筑波おろしが吹き付けていたのかもしれない。

ほかには何にもないところに
マンションの建物がふたつ
建っていたので
ビル風みたいなのが発生していたのかもしれない。

とにかく
茨城には初めて住んだのだが
こんなに風の強いところがあるとは
知らなかった。


冬は
とんでもない強風が
ずーーーーーーーっと吹いている。

たまに少し風の弱い日もあるが
ほとんどいつも強風。

強風具合もひどくて、
ものが飛ばされるとか
自転車が倒されるとかのレベルじゃなく、
まず
玄関ドアが開かないくらい(笑)

力いっぱいドアを開け
玄関を出た途端に
マンションの廊下を
だーーーーっと流されるくらいの
強風。

うっかり
玄関とベランダの2箇所を同時に開けると
家の中を
すごい風が吹き抜ける。
リビングのドアにはめ込まれたガラスを
割ってしまった友人もいた。

そんな
命の危険を感じるような強風が
毎日
朝から夕方まで
吹き続ける。


冬の関東平野は
からっ風が吹くから
東京の親戚も
ひどい風に吹かれているのでは?
と思って連絡してみると、
今日は風吹いてないよ
と言う。

え?ここだけ?
なんという土地なのだ…
とショックを受けた。


当時
車も自転車もなく
ネットスーパーもなく
生協もやっていなくて、
最寄りのスーパーまでは
バスも電車もなく
徒歩30分。

強風の中
一大決心で買い物へ行く。
行きはしんどい向かい風。
風に向かうと息もできない。
そして帰りは足取り軽くなる追い風。
全身
砂まみれほこりまみれ
そしてたぶん花粉まみれ。
(花粉症でなくてよかった)


そんな土地で
5年ほど暮らし
引っ越した。

引っ越してからは、
あれほどの強風にさらされることは
二度とない。

たまに風の強い日があっても
あははは
息ができるもん
かわいいもんだわ
と思えてしまう。


今日も
あの家のあたりでは
強風が吹いているんだろうか。

もう一度行ってみたいような…
いや
冬はやめとこうかな…

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