楽曲について

Folsom Prison Blues / written by Johnny Cash
1955年リリース、ロックシーンにも大きな影響を与えたカントリー・ミュージックの巨匠、ジョニー・キャッシュの出世作にして代表曲。
2005年の伝記映画「ウォーク・ザ・ライン 君につづく道」では空軍時代のジョニーが口ずさんでオリジナルとして書き上げるような描写がありますが、実のところは1953年のジャズ・ブルース「Crescent City Blues」のほぼ替え歌です。
ただ原曲が切ないラブソングなのに対し、主人公を囚人に置き換えたことで、楽曲にユニークさをもたらし、その後のジョニーのアウトローなイメージを決定付けたと言えるでしょう。ライミングもばっちり決まってお見事です。

曲を聴く前にイメージしたいこと

Folsom Prisonとは、カリフォルニア州サクラメントの北東に位置するフォーサムにある実在の監獄。
人殺しを犯してぶちこまれた、光が全く差し込まないその場所で唯一自由の日々を想像させるのは、遠くから聞こえる列車の音のみ。
ここで日本の可愛い鉄道をイメージしていたらとんでもない。アメリカの鉄道はとにかく走行音がデカくて、警笛(whistle blowing)も心臓破りの大音量です。
フォーサム周辺には鉄道が無いんだそうですが、それでも塀の向こうからかすかに聞こえる警笛を聞くたびに、主人公は囚われの自らの境遇を思い知り、頭を抱えて泣きたくなる。過ちを犯したから自業自得、それでも自由になりたいという囚人たちの気持ちを代弁しているかのようです……それではどうぞ!

歌詞と対訳

I hear the train a-comin', it's rolling 'round the BEND
列車が近づく音が聞こえる カーブを曲がってるんだろう
And I ain't seen the sunshine since I don't know WHEN
最後にお日様を見たのは ……いつだっけ?
I'm stuck in Folsom prison, and time keeps draggin' ON
フォーサム監獄にぶちこまれ ただ時間が過ぎゆくのみ
But that train keeps a-rollin' on down to San ANTONE
それでもあの列車は サン・アントンに向けて走っていく

When I was just a baby, my mama told me, "SON
ガキの頃 おふくろは言った 坊や
Always be a good boy, don't ever play with GUNS"
いつもいい子でいなさい 銃をオモチャにしちゃダメよと
But I shot a man in Reno just to watch him DIE
でも俺はリノで奴を撃った 奴の死に目を見たかったからな
When I hear that whistle blowin', I hang my head and CRY
それ以来 あの警笛を聞くと 頭を抱えて泣きたくなるんだ

I bet there's rich folks eatin' in a fancy dining CAR
きっと成金共ときたら 豪華なビュッフェ車で食事をして
They're probably drinkin' coffee and smoking big CIGARS
コーヒーでも飲みながら でかい葉巻をくゆらせてるんだろ
Well, I know I had it coming, I know I can't be FREE
わかってる 自業自得 俺は自由になれない身だ
But those people keep a-movin', and that's what tortures ME
だからこそ 金持ち共の振る舞いは 俺にとっては拷問だね

Well, if they freed me from this prison, if that railroad train was MINE
もしもこの監獄から抜け出せて あの鉄道に乗れるなら
I bet I'd move it on a little farther down the LINE
近い将来 ここを抜け去って
Far From Folsom prison, that's where I want to STAY
このフォーサム監獄から なるべく遠くへ行きたいね
And I'd let that lonesome whistle blow my blues AWAY
そしてあの孤独な警笛に 俺の憂鬱を吹き飛ばしてもらうんだ

  • Far From Folsom のように、語頭の子音を揃える技法を alliteration(アリタレイション)と言い、多くの songwriting において、ライミングと同様に用いている例を見かけます。


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