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私の作る、縞のこと。

あるご本には、日本語には縞模様の名称が270もあるとございました。
千筋、万筋、子持縞に双子筋、滝縞、鰹縞、弁慶縞、網代縞、等々等々。
そんな中で、わたくしは基本、「矢鱈縞」というものを作ります。
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矢鱈縞、やたら縞。

矢鱈縞とは、筋の配置に規則性がなく、元は織り残糸の始末に織られ始めた物で、主に女物として用いられたのが発祥なんだとか。
そうなんです、織りには必ず余り糸が出ますし、だからと言ってそれが丁度規則的な本数取れる訳でもなく。
とすれば、ランダムに配置した方がお洒落に…と今でこそ思いますが、初めて作って(いや自家用の着物ではそこかしこにあったんじゃないかと推測しますが)売りに出した人はすごいなぁと思います。
それを面白いとか、粋だと思った人が居て…だと思うのですが、どういう経路で広まったんでしょうね。
当時のマーケティング戦略として浮世絵美人画なんかを描いてもらったのか、偶然モデルさんが着ていたのか、とか。
インフルエンサーマーケティングとかSNSでバズったというような。
いろいろ想像してしまいます。

私の場合は残糸はもちろん使いますが、基本的には通常の織りと同じくデザインが先にあって、糸を用意して、となります。
正確に言うと、デザインがあって、必要な色を染めるのと、箪笥から取り出すのとをして、並べて色を見て、デザインを再調整して、でしょうか。
同じ色に2~3色の糸を使って、少し太めの縞に陰影というか変化をつけます。

双方糸は同じ。

こちらの布を例にとると、赤3色、黄色3色、緑5色、グレー3色、紫3色、オフホワイト1色の無染白1色、計19種類の糸を使っています。ただ時々失敗したなぁという時もあって、緯糸を入れるとたいした違いが無くなって、場合によってはそれが新しく染めた糸だったりして、「うわぁぁ私の時間を返せぇぇ!」という気持ちになることもあります。自業自得と言いますか、まだその辺の経験値が足りませぬ。こちらの布も、実は赤2種類の区別がすごーくつき難いです。

右2本の茜は違って見えますけども…

縞を作ると言うよりは、着物もしくは布の形の色彩構成をやっている感覚なので、少し変わった作り方かもしれません。

先ほどの布と同じ経糸(絹)に、手績みの苧麻糸を緯糸にしました。
19色中…15色入っています。
赤:インド茜(濃淡)、蘇芳
黄:黄檗(濃淡)、梔子
緑:黄檗×臭木(淡2種)、緑葉エキスパウダー、槐×藍(濃淡)
灰:コチニール(濃淡)、椚
紫:コチニール、紫根(濃淡)
オフホワイト:胡桃
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