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生の音楽に触れた話。

わたしは小学生のときから20年来、矢井田瞳さんのファンである。
(以下、矢井田瞳さんのことは愛を込めてヤイコと呼ばせてもらう)

父の運転する車ではヤイコのCDが流れていた。
当然良く耳にすることになるので覚えて歌う。
わたしは歌が好きだ。
歌だけでなく、バックバンドも好きだ。
だから中学生の時には合唱部であったが、
高校生で吹奏楽部にすんなり転身できた。
奏でること、奏でられる音が好きなんだろうなと思う。
ただ、合唱は吹奏楽をやっている間も自ら聴いていたし、
高校で合唱コンクールがあるときは誰よりも張り切っていた。
合唱はなによりも好きな音楽である。


豊中市出身のヤイコと、豊中市を拠点に活動しているプロオケである
日本センチュリー交響楽団がコラボするという夢の企画。
ヤイコのSNSを拝見していると、無料招待の告知があったので
ありがたく応募させてもらった。

今回、なんとそれが当選したのである。
わたしの家族は正直にいうとヤイコに興味はなかった。
だけど楽しいことが大好きで割と真面目なところがある夫は、
せっかく当選したのだから、と
その日からヤイコの楽曲を聴き始めて本番に臨んだ。
彼のお気に入りになった曲が演奏されることをとても楽しみにしていた。
子どもも一緒に曲を聴いては覚え、毎日口ずさんでいた。

ヤイコのライブに行ったことはない。
小学生の時にBSで放送されていたヤイコのライブ映像を
ビデオに撮っておいて何度も観たのは覚えている。
ヤイコは裸足で会場を駆け回る。
小さいカラダからにじみ出るパワフルさと繊細な歌声のギャップに魅了される。

待ちに待った当日、わたしは楽しみで眠れなかった。
遠足を翌日に控えて興奮して眠れない子どものようだ。

開場時刻になり、ホールに入ることができた。
自由席なのでできるだけ前の方へ向かった。
なんと今回はどセンター7列目。
双眼鏡なんてなくても肉眼で楽しめる。

オケメンバーがステージに上がり、チューニングが始まる。
あぁ。もうこのチューニングだけで幸せ。
これから始まるワクワク感。ドキドキ感。
オーケストラだけの演奏が始まる。
普段、オーケストラの生演奏が聴ける機会はめったに無い。
子どもの教育的にもとても貴重な体験になった。

一曲演奏を終えてヤイコが登場。
20年前と変わらぬ美しさと可愛さ。
子どもを生んでいるはずなのにどうしてこんなに華奢なのか。
同じ女性として甚だ疑問に思う。
そしてやはり憧れの人を前にすると、目頭が熱くなり
溢れる雫が抑えられない。
わたしはわたしの涙腺が弱いのを忘れていた。
ハンカチはカバンの中。
膝の上にセッティングしておくべきであったと小さく反省した。

オーケストラをバックに歌うヤイコは、
いつもより丁寧に口から出る音を操っている印象。
そんなヤイコも悪くない。
ヤイコのアコースティックギターとバックバンドで編成される、
普段聴いている音楽とは異なり、上品さがある。
上品さがあるのでヤイコは裸足にならないのか。
そう思っていた矢先、ヤイコの代表的な楽曲である
「My Sweet Darlin'」の前奏中にいそいそと靴を脱ぎ始めたので、
普段のヤイコが垣間見えて胸が熱くなる。

このオケとヤイコのコラボ演奏、なんと倍率5〜6倍だったそう。
「タダやから?」というヤイコ。笑いが起こる。
ヤイコのファンもいるだろうし、指揮者であるいくろうさんのファン、
交響楽団のファンもそれぞれいるので必然的に倍率は高くなるだろう。
今期放送されているドラマ「リバーサルオーケストラ」も
一役買っているのかもしれない。

長々と綴ってしまったが、やはり生の音楽はよいということを伝えたい。
自宅にいながらにして、スピーカーから流れるサブスクリプションの音楽は
とても気軽に聴けるし、最近はyoutubeでLIVE映像も観られる。
だけど生の音楽はその場でしか得られない臨場感や音の強弱、
演者の感情や表情が刺さるほどに伝わる。

わたしはこれからも音楽を愛していきたいし、
これからも音楽を奏でたい。歌うことが好き。
そして生の音楽に触れていきたいということを再認識したという話。
ヤイコ、センチュリー交響楽団、いくろうさん。
素敵な空間をありがとうございました。音楽は空気。
呼吸をするように奏でたい。
オーケストラはでっかいバンド、音楽は世界共通語。
本当にそのとおり。わたしもそう思って生きてきた。


子どもはヤイコのファンになったといい、翌日の朝起きて
「アレクサ、Look Back Againを再生して」と自分でヤイコの曲を聴いていた。
またライブに行きたい!と楽しみにしている。

夫のお気に入りの楽曲は演奏されなかった。
彼はとても残念がっていたが、
このコンサートで新しくお気に入りの楽曲を見つけたらしい。
収穫があったようでなにより。


つぐみ


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