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誰かに見せるための写真を選ぶことは、自分の好みと実力をあぶり出す作業でした。

先日こんなnoteを書きました。

ドイツに行く前からこういう趣旨でnoteを書こうと決めていました。でもいざ写真40枚を選んでnoteを書いていると急に怖くなりました。こんなことしないほうがいいかもと思いました。当時を振り返ります。

まず、現像するのは4530枚ぜんぶじゃありません。それじゃ大変すぎますよね。写真を現像するまでの流れは

①たくさん写真を撮る
②その中からいいなあと思ったものをセレクト
③セレクトしたものを現像

という感じです。

こうして現像した写真の中からnoteに投稿するものをさらにセレクトしていきます。ちょうど幡野広志さんとはSNS上でこんなやりとりをしていました。

言われた通り、4530枚から厳選だ! セレクトするぞおと腕まくりです。

結局30枚にはできませんでしたが、なんとか40枚をセレクトしました。でもいざその写真を見てみると、どうってことない写真がならんでいるような気がしてくる。現像していた段階では、いいねいいねと自分をほめるような気持ちでいたのに、いざ4530枚から40枚を選んで眺めてみると、急激に不安になってくるんです。自信がなくなってくる。

幡野さんに教えてもらったことを素直に実行して、それを伝えることが『うまくてダメな写真とヘタだけどいい写真』の編集担当として(ワークショップの受講者として)のぼくの役目だと勝手に考えています。だから今回は、幡野さんのいう「3%の偶然(100枚撮ればいい写真が必ず3枚はある)」を証明したいと思っていました。ドイツでたくさん写真を撮って、その中から写真を選んで、「ほらたくさん写真を撮れば、いい写真が撮れちゃうんです。だから写真たくさん撮りましょう!」と言いたかった。

それで前回のnoteはわざわざ「4530枚から40枚を選んだ」なんていうタイトルをつけました。でもいざ、記事ができあがっていくにつれて、

「これだけ言って、いい写真ないじゃんって思われたらダサくないか?」
「自分で自分の首しめてない?」
「やばい、ダサいと思われたくない」

という気持ちになってくる。ひさしぶりに自意識と真っ向から対面しました。自分が撮った4530枚の写真の中から40枚をセレクトして発表することは、自分の好みと実力をあぶりだす行為でもあるのでした。

きっとぼくは、だんだん写真に対する自信がついてきていたんだと思います。写真をはじめて10か月。いぜんよりは確実にレベルアップしているとは感じます。だからちょっと調子にのっていたんでしょう。「写真をはじめてまだぜんぜん時間が経っていない」という無敵モードでは徐々にいられなくなってきていたんだなあと思いました。

謙虚なつもりでいても、スゴイ人の近くにいると自分もスゴイ人の仲間入りしたような気持ちにしぜんとなってしまう(毎回こうして幡野さんのお名前を出してnote記事を書くこと自体がすでに虎の威を借りている状態とも言えるのですが……)。もっと調子にのってしまう前にこの写真厳選作業ができてほんとうによかった。初心に返って純粋な気持ちで写真を楽しんでいくぞと心に刻んだのでした。


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★幡野さんのワークショップはまだまだ続いています。
and recipe のHP(https://andrecipe.tokyo/store/5256/)や幡野広志さんのTwitterをチェックしてみてください。順次開催される予定です。心からおすすめです!


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