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一生の趣味ができました。~幡野広志さんの写真ワークショップに参加して~

「辻さんって、写真にご興味はありますか?」

写真家・幡野広志さんのマネージャーの小池さんからお電話がありました。
 
小池さんのお話は、
 
・幡野広志さんの写真のワークショップをはじめようと思っている。
・このワークショップがおもしろいものになりそうなので、ゆくゆく1冊の本にまとまったらうれしい。
・興味をもっていただける編集者の方を探している。
・その編集者の方がこれから写真を始める方だとなお良い。
 
というもので、
「もしよかったら写真のワークショップに参加してみていただいて、辻さんに興味を持っていただけそうだったら、書籍化の相談ができるとありがたいです。」とおっしゃる。

断る理由なんかありません。
「ぜひぼくにやらせてください!」とお返事しました。
ひとまず第1回目のワークショップに参加させていただくことに。
急な展開に驚きつつも、ぼくはふたつのうれしい気持ちを抱いていました。

ひとつはもちろん、幡野さんの写真の本を担当できるうれしさ。
もうひとつは、「写真をはじめられる!」といううれしさです。

 
ぼくはまえから写真に興味があったのに、その第一歩がずっと踏み切れずにいたのです。というか、ぼくなんかが写真を撮るもんじゃない、とさえ思っていました。

ぼくが通っていた大学には一眼レフで写真をとっている人がけっこういました。キャンパス内でカメラを首から下げて歩いている人もちらほら(他の大学と比較してないからわからないけどたぶん多い)。大学生だったぼくは、そんな人たちを見て、正直「けっ」と思っていました。ほんとに写真好きなの? ファッションじゃないの? と。(まじでイヤなやつだ……)
だからぼくがもし写真をはじめて、カメラを首から下げてキャンパスを歩こうものなら、他の人から「けっ」と思われるに違いない、と。そんな気持ちが90%。
 
でも残りの10%は、その人たちを見て「いいなあ」と思っていた。正直あこがれていた。ぼくもどうどうとカメラを持ち歩いて、写真を撮ってみたい。そんな気持ちも確実にありました。でも当時のぼくにはそんなこと到底できなかった。
 
小池さんのお誘いは写真をはじめる絶好のチャンス!
しかも幡野さんのワークシップに参加できるなんて最高じゃないか!
 
ワークショップ開催まであと2週間。新宿の中古カメラ屋までカメラを買いに行って、Lightroomをパソコンに入れて……そわそわしながらワークショップ参加の準備を進めました。

1月28日、ワークショップ当日。
表参道の会場まで向かいます。もちろん緊張しています。

ワークショップは10名の回と20名の回があります。こちらは10名のときの会場。

ぞくぞく集まってくる参加者の方々。20名。
初心者をメインに募集をしているのですが、その中で圧倒的にぼくがいちばん初心者でした。ぜったいそう。一瞬でわかりました。
 
みんなぼくのカメラより、ごつくていかついカメラ持ってるじゃん……!

みんないわゆる「いいカメラ」なわけです。 
さぐりさぐりまわりの人に話を聞いてみると、やっぱり前から趣味で写真撮っている人が多い。「ぼくはこのワークショップのためにカメラを買いまして~」なんてへらへらしつつ、自分はほんとうに初心者ですよ~とみずから発表することで精神の安定を保っていました。(いちおう断っておきますがワークショップはとてもあたたかい雰囲気です)
 
完全に怯んでいる中、10時になり、ワークショップはスタートしました。

幡野さんはどんな質問にも真摯に答えてくれます。

17時、ワークショップが終わりました。
あっという間の7時間。めちゃくちゃ楽しかった。
あとで振り返れば、この時間はきっとぼくの人生の転機になってる。
 
幡野さんの話はひたすらおもしろかった。
しかもわかりやすい。

「カメラは正直どうでもいい」
「見たものを撮ればいい」
「とにかく撮ればいい」

 
ワークショップの内容の詳しい紹介はしませんが、シンプルだけど経験と知識に裏打ちされた幡野さんの率直な言葉は、ぼくの心に強烈に響きました。

写真をはじめると考えたときに、ぼくは写真にたいする偏見や先入観を練り固めて何十枚もの厚い壁を心の中で無意識に作っていました。でもその壁が、幡野さんの話を聞いているうちにどんどん取り払われていくんです。最終的にぼくの「心の中の壁」は一枚もなくなりました。

ワークショップで撮った写真。「見たものを撮る」は魔法の言葉のようでした。
「見たものを撮る」。このアイスめちゃくちゃおいしいです。

「え、写真とるのって簡単? ぼくでも撮れるわ!」
 
そんな気持ちにさえなっていました。
(ぜひこの感動をみなさんにも味わってほしい!)
 
それから、会社に行くときも、ちょっと外出するときもカメラを持ち歩く生活に変わりました。いまではカメラを家に忘れたらちょっとそわそわしてしまうくらい。

「動物や物を撮るときも被写体への敬意を忘れない」というのも大きな学びでした。
うちの猫は3歳のチンチラシルバー保護猫です。出会ってからずっとかわいいです。
もっと近くで写真を撮りたかったけど、びびってお店の人に話しかけられず近寄れませんでした。
光がだいじだと知りました。
ぐうぜんいい感じに撮れていたおいしいパン
たくさん撮るといい感じのものが見つかることも。幡野さんの言う「3%の偶然」というやつ?
街で人を撮るのにも挑戦してみたり。
邪魔にならないように歩きながら。
甥と遊んで「おさるのジョージ」のすごさを知りました。
ピントが合わないときがあってもいいみたいです。
同僚にも敬意を忘れない!
距離感もなかなかむずかしい。
空が白くなってしまうのもアリなようです。
撮った写真を見ていると自分の好みみたいなものがあると実感します!
現像はやればやるほど楽しいし奥深い……

ワークショップに参加してから、あっというまに6か月。それからずっと写真が楽しいです。これは一生の趣味になると確信しました。
(ワークショップは開催が決まったらTwitter等でアナウンスがありますのでぜひチェックを!)

『息子が生まれた日から、雨の日が好きになった。』収録の幡野さんと古賀さんの対談
幡野さんのラジオ「#写真家のひとりごと」(stand.fm)も毎週金曜日更新しています。

そんなこんなで、いま幡野さんと写真の撮り方の本を作っている最中です。11月刊行予定です! ご期待ください!


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