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同人誌も作ったことがない人間が文学フリマに初参加するまで②【当日覚えた感動、誰かに読んでもらえるということ】

前回の記事はこちらです


2023年5月21日(日)に行わる文学フリマに初参加しました。

初めて印刷所さんにお願いして本を作ったのですが、その出来映え…!!本好きな人は一回何でもいいから書いてみて、印刷所さんにお願いしてほしい。

『生きててよかった』とすらきっと思うはず。

そして、イベントに参加しないと味わえなかった感動が、終わってから2週間経ってもずっと私の中に響き続けています。

『これから小説本を作ってみたい』『文学フリマ、興味があるな』という方にも参考になればと思います。

1.いざ執筆~原稿入稿まで

文学フリマに参加するぞ~!という意気込みのまま突入した2023年1月。

どんな物語にしようか迷いつつ、目標を2つに絞ることに。

・今の自分が書ける最大限のものを創る

・中高生~20代前半ぐらいの、生きづらさや苦しさの中にいる人に刺さるものにしたい

自分自身が苦しくてやるせなかった思春期の頃を支えてくれた小説と同じものを書けるようになりたい、というのがここ最近のテーマ。

読んでくれた人が、1行でも胸に響く小説が書きたい。

そんな決意を胸に、1~3月で全体の半分を書き、4月は仕事で忙殺され1字も書くことができず、5月のGWで何とか完成しました。

相変わらず、余裕をもったスケジュール進行ができない…。

そして、出来上がった原稿はシメケンプリントさんにお願いすることに。

正直、「どこの印刷所さんに頼めばいいのか全然分からない」「表紙を誰かにお願いしてもらった方がいいのかな…そんなツテもなければデザインアイデアもない」という悲惨な状態。

にも関わらず!!



ちゃんとした本になっている…!!!

本が届いたのは常に仕事から帰宅するのが23時~24時という繁忙期ハイだった時。

もう常にヘロヘロで帰宅=すぐにでも寝たいという思考回路だったのに、段ボールの中開けた瞬間に「うひょおぉ」と思わず漏れたほど。(本当にこんな言葉が口に出る時あるんだ、と思いつつ)

因みに、会場で表紙を褒めてくださった方が数名いたのですが、シメケンプリントさんの表紙デザイン集の中から選びました。

私のようなど素人でも入稿の仕方も分かりやすく、対応も素早く、神様のような印刷所様だと思っています。次回も絶対お願いします。

ということで、開催3日前に何とか本も到着。どうにかこうにか、文学フリマに参戦することに…!

2.本を買ってくれる人がいる

そんなこんなで、やってきました文学フリマ当日。

会場までのモノレールの人の多さに、ドキドキしながら会場入り。というか、会場前の行列を見て更に緊張。

「とりあえず遅刻しなかっただけ良しとしよう」という謎の低ハードルで自分を慰め始める事態に。

どうにかこうにか自分のブースにたどり着いたものの、周りのブースの皆さんの装飾レベルの高さ。

他方、本を書くので精一杯でそのようなものを何も用意していない辻村。


その結果、「小学生の学習発表会かな?」という出来栄えになりました。

因みに、依然としてあまりにも緊張していたので「D-38 辻村 いち」と書く時リアルに手が震えました。そのお陰で字がいつにも増して汚い。一番大事な作者名なのに…。

次回は絶対事前に装飾物作るぞ、ということを胸に秘めつつ、耳に飛び込んできたのは会場に響くアナウンス。

『文学フリマ、始まります!』

始まってしまった…!!

会場入りからずっと挙動不審の辻村、更に動揺。

とりあえずパイプ椅子に座り、続々と入ってくるお客さんを見つめながら、「無名中の無名だし、1冊でも売れたらいいなあ…」と更にハードルを低くしていた時。

開始5分ぐらいで、お兄さんがブースに立ち寄ってくれた!

「こんなにブースがある中で立ち止まってくれるなんて、どれだけ良い人なんや」

九州生まれ九州育ちにも関わらず、エセ関西弁が生まれる程の感動と緊張を覚えながらも、「立ち読みだけでもいいので…」と本をそっと手渡してみました。

あの、目の前で自分の本を読んでくれた時の感動。

手に取って、私が書いたものを目で追って、咀嚼してくれている。

せり上がってくるような熱い感情が、一気に身体に染み渡っていく瞬間。会場入りした時と違う緊張感。

『伝わっているかな』
『少しでも面白いって思ってくれるかな』
『読みづらいって思われているんじゃ』
『買ってくれなくてもいいや、立ち止まってくれただけでも嬉しい―』

「あの…これ、買います」

あの瞬間の嬉しさは一生、私の身体の中に深く刻み込んで覚えていたい。

嬉しさのあまり、バッグの中に全部つり銭をぶちまけたこと込みで。

3.文学フリマで味わえた感情と、これから先の創作について



ということで、最終的に用意していた15冊全て完売できました。

お買い上げいただいた方、ブースに立ち寄ってくださった方、お話してくださった方、本当にありがとうございました…!

文学フリマに参加して、目の前の人に読んでもらい、その上お金を払って買ってもらうという、何とも言えない幸福感を味わうことができました。

普段、Web上で小説を発表していて、時々感想や反応を貰えると本当に嬉しくて嬉しくてたまらないのですが、それとはまた違う嬉しさ、緊張感。

ゆくゆくはプロになりたい、私の本を読んで少しでも心が救われたり軽くなったり、少しだけ生きるのが楽しくなってくれる人がいてくれたらいい。

そんな気持ちを最近抱えながらも、上手く書けない自分に苛々していていましたが、文学フリマで実際に販売したことで、何だか、違う覚悟ができたような気がします。

買ってくれた人を、本当に楽しませられる作品になっていたのか。
小説を書きだして日が浅い素人だからって、逃げてないか。

お買い上げいただく度に震えるぐらい感動して、その一方で「楽しんでもらえるかな」と同じくらい不安になる自分。

それを乗り越えるぐらいの作品を、これからも書いて行けるようになりたいと思った1日でした。

そして、感想まで送ってくださった方、本当に本当にありがとうございます。もっと、誰かの心に響く作品を書けるように、これからも書き続けていきます。

ということで、初参加の文学フリマは『参加して良かった!!』の一言に尽きました。

私も他のブース様の本を購入させていただいたのですが、震える程残業続きだったので全然読めておらず…。6月は少し落ち着くので、少しずつ感想等をTwitter等で発信していけたらと思っています。

文学フリマは、最高のイベントです!







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