一文は無文の師、他流勝つべきにあらず 昨日の我に、今日は勝つべし essay
柳生石舟斎の言葉である。昔は岡大空手道部でも「克己」という言葉で己を律し、自己の向上に努めてきたが、意味としては似たようなものだろう。前半は吉川英治の「我以外皆我師」に通ずるものがある。彼の作品のモデルである宮本武蔵本人は、五輪書に「万事において我に師匠なし」という言葉を残しているが、「師匠がいない」というのは「みんなが師匠」というのと結局は同じことを意味しているのだろう。人は一人では生きていくことはできないが、一人でしか生きることはできないのだ。
武道に限ったことではない