『13階段』の感想

※ネタバレ含むかもしれません。
※書きなぐった感想ですので、ご了承下さい笑

痺れた。引き込まれた。
ストーリーの構成、その巧妙さに見事だと思わされる。
主に二人の視点から語られている:純一と南郷。
序盤は純一が語り手をするのだと思っていたが、後半は
南郷が語り手の部分が多かった様に思う。
私が複数の語り手によって語られる小説が好きな理由は、
語り手の心情を深く知ることが出来るからである。
語り手が一人の場合は、あくまでもその人の目線を通して見た周りの登場人物のことしか分かりかねない。客観性には欠けてしまうのである。
しかし、語り手が複数居ると、それぞれの背景や考え、互いに対して抱く感情などが随所に書かれており、より引き込まれ、感情移入できると感じる。

純一や南郷が覚える葛藤や抱える悩み、予想外の展開、南郷の純一への
熱い想い、依頼人の正体や犯人の発覚の仕方など、全てが華麗、そして緻密であり、最後には涙する。

死刑制度、そして法律、正義についても勿論考えさせられる。結局は人間が人間を裁くのである。絶対的に正しい答えなどないのだ。犯罪などに巻き込まれずに生きていれば、法律や裁判などへはそこまで関心を向けないだろう。しかし、ひとたび自分の家族や友人、恋人などが被害者または加害者になると話が変わってくる。自分も一気に当事者になり、複雑な感情を持ち続けながら生きることになるのだろう。

さすが江戸川乱歩賞をほぼ満場一致で受賞した作品である。
これは多くの人に読んでいただきたい。きっと心に深く残る一冊になるのではないか。

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