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【音楽】アウトフレージング講座 (4) - モチーフのリズム展開2

こんにちは。ピアニスト塚本です。
ジャズのセッションなどで「アウト」という言葉は、「音が外れてる(けど、なんかかっこいい)」というときにしばし使います。本シリーズではアウトって何なんだろうか、というところから、アウトの要素について説明していきます。いわゆる「ジャズ」ができるようになることは目的としてないのでご注意ください。

前回のおさらい

前回はモチーフの反復ということで、決めたモチーフをリズム的に変形していきました。

今回もリズムにフォーカスして、もう少し発展させたいと思います。

今回のテーマも「反復」

前回はモチーフをほぼそのままで開始タイミングをずらすなどリズム的な変形を施して反復してみました。今回はもうちょっとリズム的な変形をしてみます。

酒バラの最初のモチーフは少し飽きてきたので、同モチーフの6度上行を拝借し、6度上行したら、2度上行して、6度下降を繰り返していく4音単位のモチーフにします。ダイアトニックに上がっていきます。

伴奏は「酒バラ」の進行を使い、上記のモチーフはこのような感じになります。

変形1 : 符割りを変える

上記演奏例は8分音符で構成されていますが、次にこれを3連符に変えてみます。単純に3連符に置き換えるのではなく、2音毎に1つ休符を入れます。

変形2 : 開始タイミングを変える

前回のアプローチを使って、開始タイミングを変えてみましょう。3連符1つ分後ろにずらす例と、2つ分後ろにずらす例です。

3連符ではなく、4連符(16分音符)で構成した例がこちらです。タイムがへぼくて3連フィールに近くなってしまってますが、譜面でご理解ください。

変形3 : ポリリズム

変形して、16分音符5つを単位としたものにします。以下のような感じです。

同様に3連符5つを単位としたものにしてみます。休符がなかなかムズくて悶絶してますけど、雰囲気だけ感じ取っていただければと思います。

実例 : 自分の演奏から

自分の演奏の中でもしばしばこういう機械的なフレーズが現れています。以下はJazz Standard 12Key Challenge という企画からの抜粋です。譜面をつけてみました。
途中、3連符で構成されるモチーフがあらわれ(赤で色付けしてます)、それが5個単位のモチーフに展開されています(青で色付けしてます)。

このようにモチーフを微妙に変形するだけで、リズム的に意外感を得ることができます。

まとめ

今回、モチーフの変形の要素として、リズムに着目し、以下のような変形を試みました。

  • 含まれる音符の長さを変える (8分音符のモチーフなら3連符にする、など)

  • 休符や音符を追加・削除する

  • ポリリズム(5つ単位のモチーフを4連や3連にあてはめる)

このようなリズムの変形はモチーフ展開の手段の一つであることには間違いないですが、アドリブの中では、無機質でメカニカルにならぬよう、そして、ただの数あわせに陥らないように注意する必要があります。
有機的な「歌」とするには、どのようにはじまり、どこに向かうか、という前後関係が重要に思います。

次回予告

リズムによる変形はこの辺にします。そろそろ、ハーモニーの話に入ろうと思いますが、上記の演奏例でエンクロージャが出てきましたので、ハーモニーの話の前に次回はエンクロージャについて少しだけ触れたいと思います。
(了)

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