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【2018年10月の旅行記】白馬八方の狩野英孝よ永遠なれ

目が覚めると、家を出なければならない時刻の30分前だったので慌てて飛び起きた。
昨晩は疲れ果ててパッキングの途中で眠ってしまったのだ。大慌てで荷物をまとめて歯を磨き、顔を洗う時間も惜しいので拭き取りローションで顔を拭き、日焼け止めだけ塗るという山仕様のスキンケアでなんとか帳尻を合わせた。そんなこんなでバタバタと、今回の旅は始まった。

「長野駅から白馬に特急バスが出ている」ことを知ってから、私の中で白馬がとても近くなった。それまでは、自宅から始発電車に乗っても白馬駅に着くのは11時7分、そこから八方や栂池に移動したところで行動開始は12時を過ぎると思っていた。
そうなると午前中の早い時間に白馬に着くためには夜行バスを使うしかなく、そのことが白馬に行くためのハードルを少しあげていたところがある。やっぱり夜行バスは疲れるし、それと白馬の場合、早く着きすぎるのだ。夜行バスだと朝5時ぐらいにはもう着いてしまうのだけど、八方や栂池のゴンドラやリフトは7時ぐらいにならないと動かないので、それまで早朝に2時間、時間を潰すのが地味につらかった。
でも、東京駅を6時16分に出る始発の北陸新幹線に乗って8時前に長野駅に着けば、そこからバスで白馬八方に9時30分、栂池にも10時前に着くことができる。

8時前に長野駅に着き、ニューデイズでサンドイッチとお茶とコーヒーを買い、東口にあるお土産屋さんでバスのチケットを買ってバス乗り場に並ぶ。乗り場にはかなり多くの人が並んでいたので座れるか心配になったが、たくさんの人が並んでいたのは白馬行きではなく、扇沢行きのバスだった。今日から三連休。今日の夜には台風が日本海を通過すると言うけれど、乗り場には山の格好をした人たちが大勢並んでいる。

連休だから本当は私も、山の上で泊まりたかったしできれば縦走したかった。でも、台風の通過で山の上は暴風が吹き荒れる可能性が高く、行動にも影響が出るだろうしテント倒壊の恐れもある。紅葉シーズンで山小屋はいっぱいなので連休中はテント泊!と決めていた私にこの天候条件はきつい。結果「山麓の温泉宿に泊まって、紅葉を楽しむゆる登山」が、今回の旅のテーマになった。そして、なるべく台風の影響が少なそうなところで直前予約で良さげな宿が取れたので、今回の行き先は白馬になったのだ。

今日は、午前中に白馬に着いたら少しどこか歩こうと思っていたのだけど、八方にするか栂池にするかはかなり迷った。でも、考えると八方は去年も紅葉シーズンに歩いているし、恐らく台風の影響で雲は多いと思われるので、白馬の山々は見えないかもしれない。そうなると魅力が薄いな……と思い、栂池にした。
9時30分にバスが八方バスターミナルに着いたときには、まだ麓からも山並みがしっかりと見えていたので「あれ?早まったかな?」と思ったけれど、10時を過ぎるとどんどん雲が湧いてきたので、恐らく八方を選んでも、リフトを乗り継いで八方池山荘に着くころには曇っていただろう。栂池で良かったんだよ、たぶんね。

実は、八方には何度も来ているのに栂池に来たのは今回が初めて!
ゴンドラリフトとロープウェイを乗り継いで標高1850メートルの栂池平へ向かう。

さんざんいろいろなところに旅をしていても、初めての場所というのは緊張するもので。特に今回のように、天候に不安要素がある場合は
「急に雨風が激しくなったときに逃げこめる場所はあるか?」
などといろんな可能性を考えてしまい、結局前にも行ったことのある場所のほうが安心!と思ってしまったり。それで今回も、お初の栂池か行き慣れた八方かで最後まで迷ったのだ。だけど今回栂池を選んだのは正解だった。と、現地に着いてみて改めて思った。
まず、八方に比べて明らかに人が少ない。長野からの特急バスに乗ってきた人も、八割以上が八方で降りていた。ゴンドラリフトにもまったく人が並んでおらず、スムーズにストレスなく到着することができた。
栂池では入場料のかかる栂池自然園を散策したのだけど、ここも連休中のわりには混んでいなかった。湿地帯の木道歩きなので、混んでいるとけっこうストレスがかかるのだが、前後に人がいない時間のほうが長い程度には空いていた。
ときどき雲が晴れて山並みを眺められることもあったし、自然園内の紅葉もなかなかのものだった。

散策を終えた後は、2軒並んでいる山小屋のうちの一軒、栂池山荘の食堂で天ぷら蕎麦と地ビールをいただく。地ビールは蕎麦粉が入った黒ビールで、お通しの野沢菜漬けもおいしく、天ぷらも揚げたてで温かい。観光客は車では来れない場所だが、関係車輌は山小屋の目の前まで入れるようで、食材の運搬が楽だからか栂池の山小屋のランチメニューはなかなか凝っていた。また違う季節にも来てみたくなった。

食堂でのんびりし過ぎてしまい、乗るつもりだったバスに間に合うかぎりぎりの時間にゴンドラリフトを降りた。足早にバス乗り場に向かいながら、日帰り温泉の「栂の湯」のそばで、何軒かの飲食店が営業しているのが目に入った。山小屋のメニューとはまた違った、凝ったメニューのお店もあり、ああ、時間があればここにも寄りたかった。。。次回は!と思いつつなんとかバスに乗車。20分ほどで八方バスセンターに着き、本日のお宿、しろうま荘へ向かう。

バスセンターから徒歩3分ほどのところにあるしろうま荘、宿泊するのは3回目か4回目。休前日でも1人泊のプランが出ているお宿なので、いつも1人で泊まっている。
玄関から中に入ると、見覚えのあるスタッフがフロントにいて、出迎えてくれた。
私は本当に、人の顔を覚えないことにかけては天下一品なのだが、この人は別だ。たぶん20代後半ぐらい?の若い男性なのだが、狩野英孝に似ているんだよね、なんか。
顔立ち自体はほんのり似ているぐらいかもしれないけど、いい意味での軽薄さというか軽そうな雰囲気がすごく似ている。私は狩野英孝大好きなのでこれは褒め言葉として言っているのだけど、たぶん本人に「狩野英孝に似てますね」と言っても喜ばれないだろうから伝えたことはない。だけどいつか「似てますね」とお伝えして「そんなこと初めて言われました」なのか「よく言われるんですよー」なのかを知りたい、というのがひそかな願いである。

英孝ちゃん(ちがうけど)の案内で2階のお部屋へ。しろうま荘は部屋の名前にお花の名前がついているのだが、今回泊まる部屋は「駒草」だった。高原植物の女王だよ!うれしい。
一昨日までは寒くて暖房を使っていたのに昨日から冷房を入れていること。急に気温が上がったからかカメムシが大発生していて、この部屋は二重窓だから大丈夫だと思うけど、もし出たらスプレーあるんで呼んでください、などとご説明いただく。
もしも深夜にカメムシが出たら、私1人で泊まってる部屋に英孝ちゃんを招き入れるのか?エロいなー……と思ったけれど、二重窓の効力でカメムシは出ませんでした・笑
なんか昔、ハッピーマニアという漫画にそういうエピソードがあってですね。あれは旅館に泊まってたら幽霊が出たとかそんなだったかな。漫画の読み過ぎですね、はい。

宿についての詳細はいずれブログのほうで書くとして、しろうま荘は、温泉は普通なんだけどこれは八方の宿全部そうだから致し方ないし、料理は普通においしいし、サービス良いし部屋でしっかりWi-Fi使えるし「ここがめちゃくちゃすばらしい!」ってポイントがあるわけではないのだけど(失礼)、すべてにおいてそつの無い宿という感じ。値段も高くはないので空いてると、他の宿にチャレンジするよりは……と思って泊まってしまう。

八方の温泉宿はだいたいどこも「湯口から出るお湯はすべて新しいお湯」だけど「浴槽内は循環・消毒有り」みたいな感じなのだけど「郷の湯」なる共同浴場だけは循環も消毒もしていない完全かけ流しのお湯を提供しているので、今回も夕食前にふらっと入りに行ってきた。しろうま荘から徒歩3分ぐらいなのもありがたい。空いてたし、いいお湯でした。しかし、冬はきっとスキー客で混むんだろうなあ。。。

翌日は松本経由で下諏訪に向かう予定だったのだけど、もしも晴れたら白馬を出発するのをお昼過ぎにして、八方尾根や岩岳に行ってみるのもいいなあと思っていた。
けれど台風一過の翌朝は、低いところは晴れているものの、山の上には厚い雲がかかり、風もけっこう強い。こりゃあ無しですな!と10時24分に白馬駅を出る大糸線に乗ることにした。
チェックアウトのとき英孝ちゃんと「思ったより天気悪くならなくて良かったけど、山の上のほうは風強そうですね」と話していたら、なんと今朝は強風でゴンドラリフトは運休しているとのこと。なんだ、それじゃあ八方尾根に行こうと思ってもそもそも行けなかったんですね。
「夜の間もこのへんは別に、風も強くなかったですよね?」と聞くと、白馬の山々に守られているから台風が来てもあまり、風は強くならないんだそう。
「それに地震が来ても地盤が固くてあまり揺れないし」と言っていて、そう言えば東日本大震災の直後に、長野県北部地震で白馬村は震度5強の揺れだったはずなのに、死者ゼロだったって聞いたことあるな。
しかし、前に来たときも思ったけど英孝ちゃんは白馬に誇りを持っているよね。すばらしいと思う。きっと白馬で生まれ育った人なんだろうなーと思ったけれど、案外、横浜出身で大学のときスキーバイトで白馬にやってきてそのまま住み着いた、とかもあり得そう……などと想像して楽しんでいた。(本人に聞いたらいいのに……)今回も楽しい滞在でした。ありがとう。

さて、電車を乗り継ぎ松本へ。
松本に下りた目的は、友人の経営するワインバー「peg」に立ち寄ること。
13時ぐらいに行ったら、連休ということもありほぼ満席!ギリギリ最後の椅子に掛けさせてもらい、まずはスパークリングワインを一杯。それからビールを飲みながらランチのみ提供のPegドッグをいただく。
おそらく天然酵母のパンと思われる、レーズンの練り込まれたずっしり重めのパンが、手作りのジューシィなソーセージにめちゃくちゃ合う。普通のホットドッグとは次元の違うおいしさですわ。。。

それから奥様の淹れるフルーティなスペシャルティコーヒーと「大人のパフェ」なるチョコレートパフェをいただいて、ごちそうさまでした。松本界隈の素敵なお店もいくつか教えてもらったので、次回はぜひ行ってみたい。

pegを出た後は電車で下諏訪へ向かい、そこからタクシーで毒沢鉱泉神乃湯へ。

もう何度も泊まっている、レモンジュースのように酸性度の高い、冷鉱泉の宿。
宿泊記録もブログに書いています。

大浴場には身が凍るほどに冷たい冷鉱泉と、その湧かし湯の浴槽が2つ、隣あっているので、多くの人は湧かし湯で体を温めた後、冷鉱泉に身を浸すことを繰り返す、いわゆる「交互浴」というやつを楽しんでいる。もちろん私も。
以前、2月に来たときは冷鉱泉が冷たすぎてまじで死ぬんじゃないかと思ったけれど、10月ならまあ、普通に入れた。
神乃湯は、館内がやたら線香臭かったり、ちょっと不思議な雰囲気のある宿ではあるけれど、あの酸性冷鉱泉はちょっとほかでは得がたい魅力があって、ついまた来てしまう。

でも、駅まで送迎してくれたらもっと頻繁に来たいんだけどなー。往復タクシーだとけっこうかかってしまうのでね……。

翌日は、2泊3日の旅の最終日。
9時にチェックアウトしてタクシーで下諏訪駅へ。そこから電車で上諏訪駅へ向かい、バスで霧ヶ峰に向かう。今年2回目!大好きすぎでしょ霧ヶ峰。。。前回は6月初旬だったので約4ヶ月ぶりか。

バスが車山肩に着いたら、いつもどおり、まずはころぼっくるひゅってに向かい、トーストをいただく。

今回はシナモントーストにしてみた。あとはコーヒー。
6月のときは外の席で食べたけど、今回は寒いので中で食べる。

食べ終わったら歩く。

紅葉シーズンは少し前に終わっていたけれど、まだほんのりと紅葉っぽい景色も残っていて、少しうれしい。人も少ないし。

霧ヶ峰散策後は、バスで上諏訪駅に戻り、中央線の各駅停車に乗って甲府へ。
ここで日帰り入浴して汗を流し、何か食べて一杯飲んで、帰るつもりだった。けれど、いつも日帰り入浴で利用する談露館に行くと「今日は宿泊のお客さんが多いから」と断られてしまい、しょんぼり。

気を取り直して銭湯を探し、徒歩圏内で一応温泉銭湯らしきところを見つけて入る。
日曜日の夕方、混みそうな時間帯なのに女湯には私のほかにお客はなく……なぜだろうと思いつつ湯浴みを終えて脱衣所で気づいた。なんか煙草臭い。

番台のおじさんが、かなりの勢いで煙草を吸うのですよ……風呂上がりにこれは、つらいわ。。。
脱衣所に「銭湯がどんどんなくなっている!銭湯を救え!」みたいなチラシが置いてあったのだけど、これでは救いようがないよ……と思ったりした。

「昔は当たり前に存在していたものが、どんどんなくなっていく。寂しい。このままではダメだ。○○を救う方法はないものか」

みたいな話ってよく聞くけれど、たとえば銭湯もそうだし、あるいは街の書店とかもそうか。案外、蓋を開けてみるとこういう

「そりゃあそうでしょ、昔はそれで良かったのかもしれないけど、今の世の中それはないわ!」

みたいなことが多かったりするのかなあと。考えたりしました。

甲府駅前の「魚の四文屋」で、酒ハラス焼きと刺身盛り合わせで日本酒を一杯飲み、かいじで東京に戻る。

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