見出し画像

「喫茶店と珈琲とエロスをひとふりと」の話

私は珈琲が好きだ。

スタバとかも良い。

けれどやはり、喫茶店が好きだ。

昔ながらの喫茶店も好きなのだけれど、珈琲館などチェーン店の気軽さがとても心地よい。

スタバと昔ながらの喫茶店の、いいとこ取りと言おうか……

ある程度のマニュアルと、程々の距離感。

お客さんの層も、サラリーマンやおっちゃん、マダム等……若い人は極端に少なく、とても、落ち着くのだ。

コーヒーの味の違いの分かる舌は生憎持ち合わせてなかったようで、ブラックでホットのコーヒーを美味しく飲める人を見ると

「カッコいい……大人じゃ……」

とため息がこぼれる。


私はいつもアイスコーヒーを頼む。

シロップもミルクも入れる。

「え?それなら最初からカフェラテ的なやつを頼んでは?」

と思った方……


ノン。

そうじゃないのだ。


私は何故年間通して、アイスコーヒーを頼むのだろうか、と自問自答した時、驚きの答えが返ってきた。

私はどうやら、アイスコーヒーのビジュアルが非常に好きらしい……


グラスに入った褐色の珈琲。

まず色が艶っぽい……

その中に浮かぶ氷たち……

柔らかい線で縁取られたその群れを縫って、私は徐ろにストローを差す……

少しかき混ぜると

「カラン」

と優しい音。

シロップを注ぐと得も言われぬ曲線を描いて、
底に沈んでいく……

(何か……エロいな……)

しばらくすると、グラスが汗をかいたように結露してくる。

(やだ、すごく色んな表情を見せてくれるわ……)

半分程飲んだ所で、味変。

ミルクの投入だ。

ミルクがゆっくりと沈んでいく……

しばらくその様子を眺め、堪能した所でゆっくりとかき混ぜる……

(うーむ、色っぽいとしか言いようがない)

そして、コーヒー牛乳の色になる。

最後に見せるのはあどけない少女の顔……


何だか、全てを文章にして客観視すると、改めて

(おぉ……私……しっかり気持ち悪いな?変態っぽいな?)

と思えて致し方ないのだが、これも隠しようのない私なのだ。

なので、初めて行ったあるお店で、アイスコーヒーを頼み、店員さんの持って来てくれたそれが

銀色のマグカップに入っていた時。


(こんなん……アイスコーヒー頼む意味ない)


絶望先生も驚く程に絶望した自分に……

絶望したのだった。













気が向けばサポートして下さると、大層嬉しいです!頂いたサポートは私自身を笑顔にする為に、大事に大事に使わせてもらいますゆえ、以後よしなに(๑•̀ㅂ•́)و✧