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【ツクルバ個人投資家向け会社説明資料解説Vol.1】中古・リノベーション住宅市場の市場規模・成長性

こんにちは。ツクルバIR担当の重松です。
実は、7月2日の神戸投資勉強会さんでの説明会で使用した「個人投資家向け会社説明資料」がツクルバのHPにて公開されています。

そこで、これから何回かにわたって、当該資料について、解説記事を書いていきたいと思います。

ツクルバのメイン事業であるカウカモは、オンラインを活用して中古・リノベーション住宅を仲介するマーケットプレイス型プラットフォームです。
初回となる今回は、最近WBSでも取り上げられて注目されている中古・リノベーション住宅市場の市場規模・成長性について解説していきます。

・この記事は約7分で読めます・

1.中古・リノベーション住宅市場の現在の市場規模

2022年7月期第3四半期決算説明会資料P33

カウカモは、投資用不動産ではなく「実需」、すなわち実際に住むための家を仲介しています。メインのターゲットとなるのは、
①40㎡以上で、
②リノベーションを行う必要が出てくる築20年以上で、
③購入前後にリノベーションがなされる物件
になります。

そのような条件で、売買原因の譲渡の不動産登記を基に年間の流通金額を推計すると、東京都だけでも年間1.4兆円の規模になります(詳しい計算の過程はこちらのnoteご参照)。

このように、中古・リノベーション住宅市場は、現時点でもすごく大きな市場であることがわかります。

2.中古・リノベーション住宅市場の成長性

(1)総論

以上のように、中古・リノベーション住宅市場は現時点でもすごく大きな市場です。そして、この市場は今後さらに拡大していくことが予想され、さらにカウカモがアクセスできる市場も今後拡大していくことが予想されます。

その理由について、以下説明します。

(2)中古・リノベーション住宅市場が成長する4つの理由

個人投資家向け説明資料P7

①理由1: 築古住宅の増加
マンションは一度作ると100年以上もつと言われています。建替えや取壊しがなされない限りは、マンション数は増えていきます。

図の左上に記載されているように、首都圏の中古マンション市場では、2005年には築25年以上の物件は22%でしたが、2025年には50%になります。これはほぼ確実な未来になります。
築20年を超えると、水回りのリノベーションが必要になり、そのタイミングでフルリノベーションを検討することも増えます。そのため、2025年には半分以上の物件が、住むためにリノベーションが必須となる物件になります。

②理由2:環境意識の高まり
SDGs等の環境意識の高まりにより、「壊して建てる(スクラップ&ビルド)」と考え方から、「既存のアセットをしっかり活用(サーキュラーエコノミー)」という考え方に変わりつつあります。実際、新築工事よりも再生工事を行った方が97%も二酸化炭素排出量を削減できるという調査結果もあります。

③理由3: 趣味趣向の多様化
新築マンションはマス向けに作られています。もちろん、オプションなどである程度の変更も可能ですが、新築について壁を壊すなどの大掛かりな変更はしづらいですし、元の金額も高いので、お金をかけてカスタマイズを行うことも難しい部分があります。
一方、中古物件は、金額もお手頃ですし、経年によりそもそもリフォームの必要性があるのでフルリノベーションなどの思い切った変更もしやすく、リーズナブルに自分好みの住まいに変えることができます。そのため、「自分の好きな環境に住みたい」という方に中古・リノベーション物件がウケています

④理由4: ライフスタイルの変化
過去に作られた物件はマス向け・一般向けな物件が多かったのですが、昨今のテレワークの普及や世帯構成の変化などにより、求められる部屋の間取りが変わってきています。
「部屋数は少なくていいので広くしたい」「ワークスペースにするため、小さな部屋がほしい」という様々な要望があります。このニーズに応えるため、リノベーションのニーズが増えています

(3)エリア拡大によるカウカモの成長ポテンシャル

個人投資家向け会社説明資料P38

カウカモは現在、東京都の一部と横浜エリアの一部の物件を中心に掲載しています。
実際の取引においては、お客様の要望により、カウカモに掲載されている以外のエリアでも仲介を行っていますが、掲載エリアを徐々に拡大していくことによって、より大きな市場にアクセスしていくことが可能になります。

2021年7月期におけるカウカモにおける流通総額が約280億円ですので、想定している東京都全体の中古・リノベーション住宅市場の約2%くらいのシェアしか獲得できていません。

逆に言えば、掲載エリアを東京都全体に広げたり、東京都以外のエリアの掲載も増やしていくことで、まだまだ実際にアクセスできる市場の規模を拡大してくことが可能になります。

ですので、カウカモのエリア拡大による成長ポテンシャルはまだまだあるということになります。
もっとも、エリアを拡大すると単価としては下がる傾向になりますので、今後は、業務効率性、社内人員や市場ニーズの状況等を見ながら拡大の判断をしていくことになります。

3.中古・リノベーション住宅市場に関するよくある質問

Q. 高齢化・人口減少で、中古住宅を買う人は減る(マーケットが小さくなる)のでは?

家の売り買いは、世帯ごとにされるので、「人口」よりも「世帯数」に着目する方が適切です。

世帯数は、東京都では2040年までは増え、特に単身世帯が増えると言われています。したがって、これから20年近くは市場が伸びます。さらにカウカモでは特に単身世帯の利用者が多く、カウカモが強みを持つ市場が拡大していくことになります。

また、上記2(2)で記載したように、今後中古・リノベーション物件は増えていきますし、反対に新築物件の供給は減ってきています。ですので、中古・リノベーション住宅市場は拡大していくことが予想されます。

さらに、東京は、そもそも世界主要都市の中で土地の価格が安く、さらに円安でよりリーズナブルになり、海外投資家からみると東京の物件は魅力的になっています。そのため、投機的な資本も入ってくる可能性があり、それが実需の需要に影響する可能性もあります。

Q. わざわざリノベするほどの価値ある中古物件はそんなにあるのか?

一般的に築20年くらいたつと水回りのリノベーションが必要になるとされています。そして、2000年前後には多くの物件がつくられていますので、今後これらの物件が築20年を経た物件としてリノベーション市場に出回ってくる可能性が高いです。ですので、リノベーションに適した物件は豊富にあると考えています。

個人投資家向け会社説明資料P36
2000年前後には多くの新築物件があり、これからそれらが中古市場に出てくる可能性

Q. 日本は新築好きが多そうだが、中古物件市場は本当に伸びるのか?

動産の分野では、メルカリさんなどを見ると中古市場は確実に伸びており、価格としても、新作の本等は定価の8~9割で売れている商品も多いです。このように、中古品の利用が一般化してきている中で、日本人の中古に対する抵抗感は薄れていると考えます。そして、このような中古に対する抵抗感の希薄化は不動産市場にも通じると思います。

また、中古物件に住む必要性が高まっているという状況もあります。新築物件は数がそもそも減ってきており、土地の値段や資材価格の上昇により新築物件の価格も上がってきています。つまり、人々が新築物件を仮に買いたくても買えない状況があります。
その中で、中古は資材価格の高騰の影響を相対的に受けにくく、新築に比べると値段的にはお得な状況です。また、3LDKで60㎡台の新築物件が主流になる中で、3LDKで80㎡や100㎡超となるバブル期の物件は、間取りや造りが相対的に贅沢かつ余裕があり魅力的に見えるという状況もあります。また、リノベーションを行うことで新築と同じかそれ以上の内装にすることが可能になります。これらにより、中古需要が増え、流動性(売買の数)が高まり、市場が伸びるとともに、物件に価値がつきやすい状態になると思っています。

4.編集後記

IR担当の重松です。
中古・リノベーション市場の市場規模ポテンシャルについての解説記事でしたが、いかがでしたでしょうか?

個人的には、日本の中古不動産市場はもったいない状況にあると感じています。
中古不動産の流通が盛んで、住宅資産額が住宅投資額累計を上回るアメリカに対し、日本は住宅資産額が住宅投資額累計を大きく下回り、1969年から2010年までで累計約500兆円が失われているという状況があります。

中古不動産の流動性が増えていくと、このもったいない状況が改善し、日本経済全体に影響を与えうるのではと個人的に考えています。

メルカリさんを例に出すと、3000円の本を買うときに、一回読むだけだと考えると買うのに躊躇しますが、一回読んですぐ売れば2700円で売れるということであれば、実質的に300円の負担で済むので気軽に買えます。
不動産の場合、賃貸物件に住んでいるだけだと、お金は資産として貯まりません。しかしながら、家を購入すれば今までの賃料相当分が資産として蓄積していきます。そしてライフステージが変わった場合でも気軽に適正な価格で売ることができれば、賃貸よりもお得ということになります。そうなれば、アメリカ型の資産蓄積型社会が近づいてくるのではと思っています。

カウカモのサービスを通じて、「いいものを手軽に」購入でき、「早く適正な価格で」売ることができることになれば、そういった社会の実現に貢献できるのでは?そう考えています。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

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