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1000字で戦国カテキズム | 『どちりな』の主題

こんにちは、躓くロバです。
今回は100ページ程の薄い文庫本をご紹介します。

タイトルは『長崎版 どちりな きりしたん』(以下『どちりな』)。 
キリシタンのをしへという意味です。

聞いてびっくり、安土・桃山期のカテキズムです。
カテキズムというのは「キリスト教の教義を平易に説いた問答体の書物」。日本語では公教要理(カトリック要理)とか教理問答とか呼ばれています。
つまり400年以上前に日本で書かれたカトリックのQ&Aなんです!

タイトルも性格もユニークな『どちりな』。
その主題を1000字でご紹介しちゃいます!

序文をざくっと読み解きます。
本文には触れません。悪しからず。

いざ、戦国時代へタイムスリップ!

『どちりな』の主題 (992字)

今回も引用多めにいくよ!
当時の雰囲気味わおう!
まずは序文の冒頭から!

御主Jxゼス キリシト御在世のあひだ御弟子達にの玉ふ事の中にとりはきなんだち汝達をしへけるごとく、一さいにんげんに後生をたすかるまことのみちをひろめよとの御事也。これ又がくしやたちのゝべけるごとく、みつの儀にきはまる也ひとつにはしんじ奉るべき事〔信仰〕。ふたつにはたのもしく存じ奉るべき事〔希望〕。三にはつとめをこなふべき事〔〕これ也。(海老沢有道校註 1950『長崎版 どちりな きりしたん』岩波., p.11、〔〕および太字はロバによる。)

ざっくり要約!
イエスは宣教を命じたよ。
ポイントは3つ。信仰、希望、そして愛。

このポイントを外したらどうなっちゃうんだろう?
次の引用行ってみよう!

しかるにしんじ奉るべきだいもくといふは人智にをよぶだうりのうへなる儀なれば、ヒイデス〔信仰〕といふぜんにあたる者也。これらの事をしらずんばごしやうのみちにまよふ事おほかるべし。又たのもしく思ふ事とはヱスペランサ〔希望〕といふぜんにあたる者也。……此ヱスペランサなくんばなんぎにあふべきとき、たのむところなしとちからをおとす事もあるべし。……さてつとめをこなふべき事とはカリダデ〔愛〕といふ大切の善にあたる事なり。これらの儀をこゝろえざれば、Dデウスの御をきてをたびたびそむく事あるべし。(ibid., p.11)

ざくっと。
もし信仰や希望や愛がなかったら困ったことになるよ。
(こんな要約あり???)

さて、信仰や希望や愛と、この本はどんな関係があるのかな?
最後の引用行ってみよう!

此三の善はキリシタンの爲にもつぱらなる儀なれば、がくしやと名を得られし善人これらにつゐてあまたのきやうをかきをき玉ふ者也。いまそのうちよりかんようなるところをえらびとりてはんをひらき、まよひをてらすかゞみとなす者也。(ibid., pp.11-12)

ざくっと。
この3つ、たくさん研究されたよ。その成果をここに示すよ。

なんと!
「後生をたすかるまことのみち」をわずか100ページで語るなんて!
税込638円で買えるなんて!たいへん!!!
(1000字で無料で語らんとするロバよりすごい!)

かなり駆け足でしたが、まとめるとこんな感じ!
主題:信仰・希望・愛を中心に「まことのみち」を語る。

今回はここまで!

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さいごに

ちなみに3つまとめてテヨロガレス神学的ビルツウデスって呼ばれます(ibid., p.115)。若干解説すると、徳はよい習慣づけによって形成される力で、なかでも神学的徳は神との関係の中で成立するものです。

さて、一体どんな習慣が求められるのでしょう?
次回は本文全体の構造を分析します。
題して『どちりな』の輪郭。

『どちりな』読みたい!次も気になる!!
という方はぜひ下の❤️でお教えください!
コメントも大歓迎です!!

それじゃまたね!


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