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アートと執筆の境界線 - {現代アートと出会う日@hotel koe tokyo で感じたこと}

つみたてNISAに人生を変えられた男、積立 てるぞう(@tsumita_teruzo)です!普段は自分自身と周囲の人たちで共に金融リテラシーを高め、情弱を抜け出すことを目標にInstagramメインで活動しています。

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アートと執筆は同質なのではないか

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- 2020年12月18日

hotel koe tokyo で行われていた、「現代アートと出会う日」に行って感じたことを綴ります。

▽hotel koe tokyo

▽現代アートと出会う日

現代アートと出会う日

一言で言うと、一般的に敷居が高いとされている現代アートを身近にしようというプロジェクト。

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↑アート性のない歪んだ写真ですみません

僕はここ半年くらいでアートと触れ合うようになった人間なのですが、このプロジェクトが最もアートとアーティストさんを身近に感じました。

今回のイベントでは、hotel koe の3階の客室をギャラリーとして用いており、客室ごとにアートが飾られています。
▽ここがギャラリーになってます

休業中のホテルの部屋をギャラリーとして用いることで、ホテルの定義を考え直すと同時に、ホテルの新しい価値を生み出すことも目的の1つとのこと。

そして何よりもすごいのは、各部屋にアーティストさんがいること。

「アートって美術館で静かに見るものじゃないの?」
「アーティストさんって気難しそうで話しづらそう」

僕は正直に言うとこのような偏見を持っていました。しかしその固定観念がこのイベントでぶち壊されました。作品への思い・どのような技法を使っているのか・次にやりたいことはなにかなど、様々なことをアーティストさんと直接話すことができます。

僕が話した方はどの方も質問に対して丁寧に回答し自分の思いを伝えてくれました。こんなにも身近にアーティストさんを感じたのは初めてで、最高の体験でした。

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「割れ」について話してくれた野田ジャスミンさん

今回のイベントは明日までで、なおかつ要予約です。アートに1ミリでも興味ある方はぜひ行ってみて欲しいです。行った方はnoteのコメントで感想を共有してくれると嬉しいです。

一般:2000円
中高生:1000円
小学生以下:無料

▽予約はコチラから(僕にお金は1円も入らないです!素敵だから広めたいだけ!)

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ここから特に心に残った8作品の紹介と、それらから得たインスピレーションを綴ります。「これから現代アートと出会う日行く!」という人で、初見のまま作品と触れたい方は《アートと執筆の境界線》の章までスクロールすることを推奨します。作品を見た後でこのnoteにもう1度戻ってきて、僕が受けたインスピレーションについても見てくれると嬉しいです。

また、僕は鑑賞と対話に没頭しすぎて展示されている全作品を見る事に失敗しました。それもまた一興かなと思いますが、全作品見たいという方はタイムマネジメントも気を付けることをおすすめします


石原梓 - 《ググッた場所へ》

88,000円(税込)

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今回の展示の中でもトップクラスに好きな作品。第一印象は人と釣りをしているくまのぬいぐるみのようなものがいる不思議な絵。

しかしじっくりとこの作品を見ていくと、人と自然の一体化を感じとりました。人のようで人でないような人型の生物、くまのような怪物のようなぬいぐるみのようなもの、そして彼らの口から出る"何か"。口から出た"何か"は回り回って"何か"を作り出す。今私たちが吐き出している水蒸気は空へ上り、雨となり、川を流れるのかもしれない。そしてまたどこかの誰かの体内、あるいは動物や植物に吸収されるのかもしれない。分子レベルで見れば物事には全て動きがあり、全てが1つの大きな生命体のような"何か"である。

じっくりと見ないと見えてこない、作品右下あたりのうっすらとした人のような水のようなもの。ぼんやりとした線で描かれたフードを被った人は人なのかもしれないし水なのかもしれない。「人」や「水」と定義するべきではないのかもしれない。世の中全ては抽象化すれば1つのものであると思えるようになればみんながみんな人に優しくなれるんじゃないかなと僕は思ってます。

僕は日々、抽象化することによる本質の抽出を意識して生きています。そんな僕に突き刺さる作品でした。

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作者:石原梓

作者の石原さんはとても物腰柔らかでなおかつ楽しそうに作品について話している様子が印象的でした。世の中を抽象化して見る話で共感できる部分が多く、お話していてとても楽しかったです。怪我をきっかけにグラデーションを作品に多く用いている方で、その技法などについても優しく教えてくださいました。

👇画像タップでインスタ飛びます(以後全て同様)

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酒井健治 - 《untitled》

12,000円(税込)

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投資家としてこの作品は好きにならざるを得ない。見ただけで興奮してしまうような右肩上がりの曲線。世界経済の成長を勝手に感じ取ってしまった。

一見シンプルでありながら線の背景には多くの物事が隠れているように見えました。実際の株価指数は、多くの物事や様々な人の感情が入り混じってできあがるカオスなものです。この作品はまさにそれを表したように見えました。赤色の部分の下にも隠されたものがあるような、そもそも赤という色も経済が動く中で流れた血を表しているような、そんな考えも湧いてきました。

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こちらは勝手に作品を撮った写真を回転させたものです(ダメだったらすみません)。このような視点で見ると、明らかな右肩下がりになります。同じ作品でも見方を変えるだけで印象が大きく変わります。今までは明るい未来に向かった作品のように感じましたが、この状態だとどんどんと悪い方向に世界が向かっていくように見えます。成功と失敗は表裏一体で、成長と衰退は少しのきっかけで巻き起こる。そんなインスピレーションも受けました。

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作者:酒井健治

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酒井さんは、アートを完成品でなく思想や思考のアウトプットとして扱っているように感じました。インプットしたものをアウトプットする形が今たまたまアートであるだけで、アートは1つの選択肢なのかな?と感じました。

気さくな方で、たくさんのことを話してくれました。全て手作りのアートブックを作成したお話を聞きましたが、凄まじい熱量とバイタリティを感じました。
▽アートブック作成風景

また、多くをインプットしていると、寝る前などの脳みそが休まっている際に膨大なアウトプットが湧き出てくるというお話をお聞きしました。この感覚は僕も日々感じている感覚だったので、納得しました。酒井さんは寝る前に脳に浮かんだイメージをイラストとして残すそうなのですが、僕は文字ベースでアイデアなどを残すことが多いです。もっと抽象度高いイメージをイラストとして残すのもいいかもと感じました。

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高畑彩佳 - 《線刻鏡》

25,000円(税込)

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この作品は光との兼ね合いが素敵だと感じた作品です。近距離かつ生で見るとわかるのですが、この作品は金色でできています。ですが写真でもわかる通り、見る角度や光の当たり具合によって色合いが黒や銀に変わります(生で見て欲しい!)。この作品は1つ1つというより、空間によって作品ができあがるような感覚を受けました。

この見方は照明がしっかりしている美術館の展示では味わうことはできないと思います。今回の「現代アートと出会う日」だからこそ、会場がhotel koe tokyo だからこそ味わえたこの感覚を大切にしたいです。

高畑彩佳 - 《隣人-愛》

25,000円(税込)

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隣人って言葉に色気やエロさを感じるのは僕がまだ若いからでしょうか。1人暮らしの経験がないからでしょうか。

人の形をとどめていない《隣人 - 愛》という作品。ただ人の形でないというだけでなく、なんだかどろどろに溶けているように見えます。なんらかの事情で隣人と愛し合い、複雑な感情が混ざり合いながらどろどろと溶けているのかななんて考えながら作品を見ました。

人の感情は言葉で表しきれない、言語化できないことだらけで、常にどろどろとした融点付近の液体のようなもの。愛情もその1つ。ある人に対する愛を彼氏彼女・パートナー・愛人・親友・ペットという関係性にまとめきることはできないのかも。法律や言語のないはるか昔では、これらの関係性すべてがひとくくりにされていたんだろうし、【愛情】という言葉もない状態だったと思う。

付き合うとか結婚ってなんなんでしょうね

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作者:高畑彩佳

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タイミング合わずお話できなかった...

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野田ジャスミン - 《ghost37》《ghost46》《ghost36》

180,000円 40,000円 180,000円 (税込)

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こちらの写真に写っているのは、《ghost37》(青)と、《ghost46》(赤)です。ホテルの浴槽の横に腰かけているような赤と青の陶芸品。作品の上品な佇まいからはどこか色気を感じました。この2つの作品がお風呂場にある様子は、男女が一夜を過ごす前、2人で風呂に入り、ゆったりと話すようにも見えた。男は自分を強く見せたがり、少し高いところに位置取りながら話す、女はそんな男の心情を読み取り、自ら低い位置を位置取る。

普段は絶対に見られない、見知らぬ男女のホテルでの入浴風景をのぞき込んでいるような感覚を感じ、胸が自然と高鳴りました。

また、空間づくりも凝っていて、画像右上に写っている白いものは目を惹くために貼られたそうです。ビジネスをやる際にも役立つような空間デザインだなと感じました。

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鏡越しに見るのもえっちですね。

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こちらは、《ghost36》。自然に、なおかつ人為的にヒビを入れた陶芸品。ヒビがらせん状になっているのは、叩き割ってヒビを入れているのではなく、製造工程で自然と入ったようなヒビだから。なんだかヒビが雷のようにも見える。僕はなぜかヒビの入ったものが好きだ。不完全なものに惹かれる。だから今回展示されていたジャスミンさんの作品・空間が好きだった。

この作品では、"用と美"という概念を学んだ。物事には、用(使用用途)と美(形や美しさ)の2つの側面があり、この作品ではヒビを入れることで"用"の要素だけを陶芸品から抜き取ったとのこと。そもそも陶芸とはなんなのか、器とはなんなのかという疑問を見る側に投げかけるような作品でした。

現代使われている言葉に直すと、"用と美"は"UI/UX"に通ずるものがあると感じました。人々が本質的に求めているのはどちらなのか、そこを突き詰めるとビジネスチャンスにも繋がる考え方だと感じました。

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作者:野田ジャスミン

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作品に対する思いを言語化・明確化できる方という印象を受けた。本質をとらえメッセージを投げかけるような作品を作っているんだなとも感じた。

作品にヒビを入れようと思ったきっかけは、某中華料理屋さんで出てきた皿にヒビが入っていた時とのこと。その際に、ヒビや破損に対する悪いイメージがガラっと変わり、作品制作の意欲へと変わったとのこと。

本質をとらえ叶えたいビジョンに向かって作品を作る様子が、カリグラフィーを世に広めたいためにマッキントッシュを作ったスティーブジョブズと被って見えたことから、一緒に見に行った美術解説するぞーさんはジャスミンさんのことを、陶芸界のスティーブジョブズと称していた。

ホテルみるぞーさんいわく、ツチーズジョブズらしい。(陶芸→土)

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森丈人 - 《shelf#6》

21,000円(税込)

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画像傾いていてすみません。

森さんの作品は閉館間際に滑り込みで見たため、じっくりと見ることができませんでした。この作品をお気に入りとして選んだ理由は、カネゴンのシルエットがかわいいからです。アートを見る際は深く考えなくてはいけないと考えてしまいがちですが、こんな感じにかわいい・かっこいいを軸に見るのも1つの正解だと僕は考えています。

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作者:森丈人

時間の関係で少しだけしか話せなかった。

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佐々木麦帆 - 《PAPA》

1,000,000円(税込)

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見た瞬間僕の中の小学生男子細胞が大興奮しました。男子はこういうの好きでしょ~!

第一印象は雄であり、力強い仏像のようなもの。見ているだけで筋肉がつきそうだし、エネルギーがもらえるような作品。

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置いてある土台もとても力強い。力強い作品を支えるのにふさわしい、力強い土台。こちらにも僕の中の小学生男子が大興奮。

しかし、この作品にはもう1つの側面が秘められています。

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この作品は、癌で亡くなった佐々木さんの父親をモチーフにしたとのこと(だからPAPAなのかも)。力強い風貌に隠されたスカスカの体内。強さに隠れる弱さ。佐々木さんは偉大で強い父親の弱さに気付き、作品作成をしたのかなあ、なんて感じながら鑑賞しました。

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これは左足のくるぶし部分。作品作成の際に大きなノミで一発で削り取ることができたので、お気に入りの場所とのこと。

作者:佐々木麦帆

お会いした際はイケてるスヌードを付けていた。マッチョイズムについて追及しているとのことで、男らしさや強さと、そこに隠れる虚ろさ・怪しさ・美しさなどを表現しているらしい。この方もとても話しやすく、自分の作品に対しての思いを余すことなく語ってくださった。

佐々木麦帆

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最初にも述べたましたが、タイムマネジメントミスで黒坂祐さんと吉見紫彩さんの作品を見ることができませんでした。今回作品を紹介した6人と、見れなかった2人の作品がホテルの部屋に展示してあります。ぜひみなさんも現代アートと出会う日に足を運んでみてください。(要予約)

アートと執筆の境界線

僕は最近、アートに積極的に触れ合うようにしています。その理由は、アートと執筆が似ていることに気付いたからです。

僕は読書が好きで、頻繁に本を読んでいます。たくさんの本に触れ合っていると、本の中でも抽象度が高い本と、抽象度が低い本(=具体性が高い本)があることに気付きます。抽象度が低い本というのは、いわゆるノウハウ本のようなもので、具体的でわかりやすいメッセージがビシバシ書いてあるタイプの本です。

抽象度が低い本は、すぐに成果が出やすいのがメリットで、知識が陳腐化しやすいのがデメリットです。抽象度が低い本が悪いというわけではなく、そういうメリット・デメリットを持っているのが、抽象度が低い本なのです。

抽象度の低い本は、多くの人に理解されるので世の中に広まります。ノウハウ本が自己啓発本として多くの人に読まれることや、わかりやすいビジネスYouTuberが世の中にたくさん登場しているのも、"多くの人に理解されやすい"ことが一因であると思います。

では、本の抽象度を高めていくとどうなるのでしょうか?

僕なりの答えは、「メッセージがわかりづらくなり、筆者の伝えたいメッセージが伝わらなくなる」です。

多くの人に伝わらず、読む側にどう受け取るかを投げかけるような本になります。

これって、アートに似ていると思いませんか?

アートは、基本的にノンバーバルな発信・メッセージです。言語化していないからこそ、抽象度が高く、見る人によってとらえ方が変わります。僕はこのnoteで様々な作品への考え・インスピレーションを綴りましたが、どれも正解ではないし、あなたが同じ作品を見た際に感じ取ることが全くの別物である可能性もおおいにあります。

僕はアートと執筆についてこのようなイメージを持っています

アートと執筆

アートの方が抽象度が高いものの割合が多く、本の方が具体度が高いものが多い。でもこれらって別のものとして分けるべきでないのでは?と最近思っています。

アートと執筆2

これらはどちらも本質的には、「メッセージを伝えたい」「自分を表現しただけ」「誰かに何か影響を与えたい」といったようなものであり、同質であると僕は考えました。正解はありませんが僕は冒頭にも書いた以下の質問を投げかけます。

アートと執筆は同質なのではないか

アートのような執筆

アートと執筆が同質であると考えた時、一般的に執筆活動と呼ばれるこのnoteも、アートであるということになります。

つみたてNISAという制度をわかりやすく解説するnoteを僕は以前書きましたが、これはかなり具体度の高いnoteです。

僕はつみたてNISAをベースに発信をしているので、誰よりもわかりやすくつみたてNISAを解説しようと思い上記のnoteを書きました。

こういったnoteももちろん世の中のためになるのですが、文字でアートし、思いを表現するのも楽しそうだなと思います。

具体的でわかりやすい=正解 ではない。

文字という発明

文字ができる前は絵画やジェスチャーなどで人々は意思疎通をしていたのでしょう。文字という発明をしたことで、多くの人が共通認識を持てるようになり、世代の違う人にも伝えたいことをわかりやすく伝えられるようになりました。

具体性と抽象性は行き来することができるようになるといい、というのが僕の考えです。文字という具体性を簡単に高められる武器を用いて今後も発信をしていこうと思います。しかし具体性の高い文字だけに囚われず、アートにも積極的に触れ合い、広い幅で、様々な媒体で、具体と抽象の行き来ができるようになります。

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今回のnoteはいつものようにまとまった読みやすい文章ではなく、あえて抽象化した、アートのような執筆を心掛けました。僕が伝えたいメッセージが伝わったら嬉しいし、伝えたいこととは別のことを感じ取ってくれても嬉しいです。なにも感じ取るものがなかったとしても、あなたの大切な時間を僕のnoteに割いてくれて嬉しいです。

あなたが感じ取ったことや、あなたに伝わったメッセージをコメント欄に投げかけて欲しいです。

たくさんのコメントが来ることを祈ってます。



(おわり)



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