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大河ドラマ「光る君へ」第十三話「進むべき道」所感

 四年経つと変わるね〜

 一条天皇は元服、定子ちゃんは入内して女御様、倫子さまは彰子を産み、まひろは倫子さまのところに通うのをやめていて、衣装も浅葱色にチェンジ。藤原三兄弟は出世して、実資とともに参議。兼家パパ以外は、みんな黒服で同じ会議に出ています。
 以前、天皇のお衣装について書きましたが、なるほど元服なさって花山天皇と同じものに。そういうことか。歴史的には色々とあったようなのですが、紫式部の人生に関わるものは多くない時期ですね。

平安のお買い物事情と、まひろの人生事情

 庶民のお買い物現場から物語が展開していくのは、時代劇あるあるですね。物々交換の時代、まひろが知ってか知らずか、針をカブでっていうのは……ちょっとわりに合わないと、私も思います。あの針売りが何も言えないのは、まひろやさわさんが貴族の衣装を着ていたからでしょうね。奥から声が聞こえてこなければ、取引せざるを得なかったのでしょうか。まひろがどう思っていようとも、彼女は貴族で、知らず知らずにその恩恵に浴していたということかもしれません。
 そして、人買いもあった時代だし、識字率の低い時代にあんな詐欺があったこともあったでしょう。平民の詐欺師が高級品の薄い紙をあんなくしゃくしゃにして持っていられたかは別にして、この詐欺事件でまひろは「やりがい」を見つけます。
 平民の、しかも女の子に字を教えること。騙されたり、嫌な目に遭ったりしないように。同時進行で女房にも出ようとするのですが、父の官職がないまひろは就職できず。倫子さまは自分の家の女房にと思いますが、道長と顔を合わせたくないまひろは「仕事は別で決まって」と誤魔化します。いや、結局会っちゃうんですけどね。おそらく三年経っても、まだお互いを忘れられない二人(道長もそうだとまひろは知ってしまったし)。ここで倫子さまの家に雇われるのか(彰子ちゃんのお世話がかりにでもなるか)と思ったのですが、そうはなりませんでしたね。確かに、まだちょっと早いな。

生まれてきた意味、探索中

 今回のまひろ、なんだか明治期のドラマのようです。当時、女子教育は「母親が賢ければ、育てる男の子も賢くなる」という男性の発想で始まるのですが、一般にあまり広がりはしません。私の祖母(80代)でさえ「女に教育は必要ない」と中学卒業後には女中奉公に出ています。そして、まひろが教えていたのは女文字であるひらがな、あの詐欺師が持っていた文書は漢字とカタカナ。探索中の思いつきでチグハグな感じですね。やりたいことはわかるけど、相変わらず突っ走り性質です。いとさんやさわさんの言うことが、多分常識なんでしょうね。

兼家パパと三兄弟も変化

 兼家パパ、今で言う認知症のような振る舞いです。当時としては少しばかり長生きですね。もはやお仕事に支障をきたすほど。
 隆家は、この時点で内大臣。関白への階段を順調にお登り中。でも「父上にはまだ働いてもらいたい」なんて、ちょっとへなちょこ発言に聞こえました。定子女御さまに男子が生まれるまでは、関白にはなれないから、直で継ぎたい隆家の本音、といったところでしょうか。それとも、いざ関白の座が目の前に来て、怖気づいたのでしょうか。「自分は後継者」の自信たっぷりだった隆家は、所詮父の後ろ盾がないと心細い、といったところでしょうか。妻は、とっくに覚悟できてますけれどね。
 兼家は、娘や妻には「ゆくゆく自分が天皇の皇子の祖父になれるよう入内準備しろ」みたいなことを言いながら、兄には「父には早く後継指名してもらわないと」と言いますね。表向きは「兄に」後継指名をはっきりさせてほしい、のようなことを言っていますが、定子女御さまに男児が生まれず、自分の娘に皇子が生まれれば、自分が兄を抜かして、いや最悪兄の後でも関白になれるかと目論んでいるようです。この政治的野心丸出しの道兼も、三年前の、あくまで父からの愛情をもらう手段として父の陰謀に加担していた道兼とは少し違いますね。弱ってことが分からなくなりつつある父の愛情は、もういいんでしょうか。公任と飲み会していた時も、父の愛より父の権力を継ぐことを重視していた感じがしました。
 道長も、あれだけほんわか男子だった感じはありません。まひろの望みどおり、民が悲惨な目に遭わないための政治を目指して、兄の決定にも意見するガシガシ男子に。実資に、いい意味で目をつけられていました。そして、父をなんだかんだ案じる姿も、なんだか変わったなと思わせました。

明子女王さまが笑顔を見せるとき

 当初の予定通り(?)兼家パパの呪詛計画を進める明子女王さま。道長も他の誰も見たことのない笑顔を見せたのは、なんと兼家パパの扇をもらったときでした。もう切ない〜!これしか生きる糧がないとでも言うかのよう。呪詛の効果あるなしに関わらず、兼家が死んじゃったらどうなっちゃうのかしら。毒気が抜けるか、それとも……。お腹の子に生きがいを見出してくれるといいのですが。

宣孝さまの心情は

 まひろを心配して婿と取らせたがる宣孝さまですが、自分の息子はだめ。どういうお心積りなのか。宣孝の有名な御嶽詣のエピが描かれました。世間からは理解されなかったし、為時パパも決して肯定的にはとらえていなかったようですが、まひろは楽しそうでした。賢くて自分のする突拍子もないことも受け入れてくれるまひろですが、ひょっとして宣孝の言うように彼の息子はそういうのダメな普通の平安男子なのかもしれないと思いました。まぁ、まひろの周りで、彼女の賢さや行動を驚きながらも微笑んで理解している宣孝が、やはり夫として良かったのでしょうね。

兼家パパの病、今度は

 お芝居かどうか、という問題です。個人的に、また下手な妄想をしようと思います。実は最初は、あるいは周りにはそう見せて引退しようとしていた兼家が、夜中に起きた晩に、本当に視界が危うくなって屋敷の者も一瞬分からなくなり、晴明にも何も言ってもらえなかったことで(晴明も自分の演技以外の本当の衰えを察知していると知り)自分が本当に衰えたことを実感して泣く、という回だったのでは、と思った回でした。明子女王さまに会った時も、本当は高明の息女とわかっていて、でも素面ではとても相対する事はできない、といったところでしょうか。「気の毒であったのう」と発言も、素面ではそんなこと言えないけれど、高明に対して少なからずすまない思いもあった。明子女王さまが、本当は自分を恨んで扇を呪詛に使おうとしていることも気づいていて、でもこの際やりたいようにやれ、と扇を渡した。だから道長との夜に「家を守れ」と言い残したのは、マジの遺言。だけれど、視界がぼやけた夜以外の言動は、少なからず演技も入っている、なんていうのどうでしょう。次回本当に具合が悪くなって亡くなってしまうのかな、と思うのですが、演技にしろ何にしろ、段田さんのげっそり具合がすごかったです。

今回もお付き合いいただき、ありがとうございました。

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