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大河ドラマ「光る君へ」第十五話「おごれる者たち」所感

兄上の暴走とブレーキ

 兼家パパの跡を継いだ道隆、この関白・摂政問題がややこしいとネットで噂になっていますが、とりあえず似たようなもんですし、特にドラマの進行に影響はない気がします。まだまだ一条天皇は若いわけですし。ただ、詮子皇太后様を遠ざけたのはなんだかよろしくないと、個人的には思いました。詮子皇太后様は元から道隆を良く思っていない、とはいえこれは危険行為。なんせ今回中宮となった定子様が入内したとき、「好きなもの」の筆頭に挙げたのはお母上でしたからね。それに、兼家パパのおかげで今の地位がある以上、兼家の身内は多少のことがあっても大事にしておかないと。一条天皇がもっと気の強いたちだったら、母親と引き離した道隆を疎ましく思い始めてもおかしくないですよね。道隆は兼家と同じようにしているつもりかもしれませんが、兼家ほどの政治力も人を見極める力も人を使う力もなかったと言うことでしょう。また伊周くんがそれに輪をかけてボンボン。もう、二年後には「体がだるい」なんて言い出したし、都では流行病が、なんてフラグまで立てて、や〜ね〜。
 一方、道兼の兄上は、公任のお屋敷に居座って。荒れてますね〜。「父上に騙されて」なんて言ってましたが、そもそもの原因はあなたでしょうが。それにしても情に脆いというか、心が脆い人なんでしょうね。道長は、やっぱり兼家パパの才を受け継いでいるというか、この兄上に何をいえばいいか、一番わかっている気がしました。道兼が、一番欲しかった「承認」を、家族として与えられるのは、兄弟だけ。本来なら道隆の兄上がするべきことなのでしょうけれど、昔一回やったことがあるはずなのに、ここでも放置というやらかしをしている気がする道隆の兄上。この兄弟、というか兼家ファミリーが、崩壊する直前で道長に救われているように見えました。
 前回までの段田兼家パパが一回り小さくなってしまったかのような圧巻の演技だったように、今回の玉置道兼の兄上が凄かった。シーンが切り替わって二年後になったらビシッとしてて。細くて脆い酔っ払いシーンとは、別人のようでした。お見事です。

二年経って

 このあいだ四年すっ飛ばしたと思ったら、今回二年すっ飛ばしました。相変わらずの暴走道隆と、子役脱出の一条帝と、為時パパの代わりに大黒柱になるかもしれない惟規くん。この弟くんの(おそらくちやはママ譲りの)明るさが救いですが、姉まひろは相変わらずの自分にもやもや。なんだか、身につまされます。一年半以上人生足踏みしている身には、しみじみと。おまけに、同じ漢詩の会や和歌の会にいたはずのききょうさんが、貴子さまの目に留って、念願の女房になる……。まっひーつらいね。琵琶行が沁みます。

清少納言

 中宮定子さまに一目惚れ。もう夫のあれこれなんてどうでもよくて、定子さまがつけてくださった名前ならなんでもいいってもんですね。「清少納言、爆誕」というのはネットで何度か見た言葉ですが、正確には「枕草子、爆誕」の気がしなくもない。

歴史をなぞった弓競べ

 このエピソード自体が、大鏡からの引用+アレンジらしいです。まぁ、実際伊周くんは関白にはなれないし、道長の孫は帝になるし、この先の歴史を「そろそろ出してもいいよね?公認ネタバレ」みたいな感じがします。それでも、道長にしては珍しく、甥っ子に張り合って。どう見ても実力は自分の方が上だから、後で頭かいかいしながら「バカなことをした〜」というところは、道長らしかったですが。道隆の無茶を全部下支えさせられて、ストレス溜まってたのね。

明子女王さま!

 なんと柔らかいお顔に!嬉しゅうございます。お腹を蹴ったなんて言ったときには、お顔に微笑みが!よかった!このまま幸せになってほしい!きっと高明パパもそれを望んでいるわよ!お兄さんも緑の服でお仕事できてたし。この先ドラマ上でどうなるかはまだわかりませんが、こんな幸せなひと時が見られて、ほんとよかった。

舅の、意地?

 雅信パパ、兼家パパに一歩遅れて身罷られました。この「婿殿の出世もこれまで」や「不承知」と言ったのが、ネットで謎だと話題になってましたが、個人的にはただ単に舅の意地だった気がします。愛娘倫子と道長の結婚は雅信パパの思うところではなかったはず。まぁ、この人ずっと思う通りにできなかったのに左大臣までやってたある意味すごい人なんですけどね。だから、せめて道長の出世は「兼家の息子、道隆の弟」としてではなく「源雅信の婿」としてだったと思ってもらいたい、折れて結婚させてやったのだから恩義を感じてほしいと、精一杯の意地を張ったのでしょうね。奥様は、分かっている感じでした。

さわさ〜ん

 もやもやなまひろがさわさんに心許せるのは、きっと彼女がまひろと同じように停滞しているから。彼女自身、それは気にしていないように見えていましたが、そうでもありませんでしたね。その引き金を引いたのが道綱くんだったのは、なんだか可笑しいような可哀想なような。
 継母や父に疎まれて、というのは落窪を連想させます。落窪ほどひどくはない感じですが、二年前までよりちょっともやもやが増えた感じ。ほわっと明るいさわさんが、ちょっと影を見せた回でしたね。
 それでも、一緒に石山寺に行くところまではよかったのに。読経に飽きるさわさんも可愛かった。なんか、寧子さんに会ってしまったことがあんまり良くなかった(さわさんにとって)気がします。まひろにとっては、何か得たものが多くあったようですが。
 さわさんは多分、蜻蛉日記も読んだことないし、そこに書かれている殿御を愛する切なさも知らない。それなのに、まひろは「痛いほど分かる」なんていうし(え?って顔してましたね)、息子はなんだか大らかで良い人っぽいわ(ハート❤️)と思ったら、彼はまひろと間違えて夜這いに来た上に自分の名前さえ覚えていない。散々。いや、さわさん、最後の「名前覚えていない云々」はあなたのせいじゃなくて道綱だから!それに、だからって一気に「死んでしまいたいっ」までいくのも、また極端な……。明るかったはずのさわさんの意外な一言に、川を流れる屍が、物語の最後を一気にピリつかせ、暗転するかのような終わり方にしていましたね。すごい演出でした。

長々とお付き合いいただき、ありがとうございました。


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