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大河ドラマ「光る君へ」第十話「月夜の陰謀」所感

 ネタバレアラートついでに。今年の大河、どうもイベントを一個で終わらせてくれないので、感情が忙しくなります。次回への伏線とかそんなレベルではなく、ドカンとメイン級のイベントが。これが50回近くまで続くか(どうかはわかりませんが)と思うと、ついていけるかしらん。
 その2。徒然で書いていますので、私の感想・妄想・空想オンパレードですし、ドラマの順番通りの話題展開ではないことが多くあります。ご了承ください。 

まさかのラブシーン

 びっくらこきました。攻めるね道長、攻めるねNHK。ただ、このシーンの前の遠くの国へ行こうかどうか問題の方が気になりました。っていうか「行けない」と結論づけてからのベッドシーンでしたから、なんか順番が……。平安時代は、こういうことのハードルが私たちより低いイメージですので、この順番かもしれませんが。
 何はともあれ、遠くの国へ行ける行けない問題。道長は、結局逃げ出したくなってしまったのかしら。「俺は全てを捨てる。まひろも捨てて俺と一緒に」って、まるで逆ロミジュリですね。ただでさえ、どこか貴族社会に引いた目で見ていた道長(しかも婿入りまで迫られてきた)。せめて、直秀たちを貴族として助けられたらその甲斐もあったかもしれませんが、そうはいかなかったわけですから、もう貴族社会から逃げ出したい。ところが、まひろはそのステージではない。この二人、共通の「大切な人の重い死」という体験を経て、深いつながりを持ってはいますが、まひろの方がずっと上のステージに進んでいて、今回はまるでまひろが道長を導いていっているように思いました。
 まひろは、母を喪ってからというもの、貴族社会に入っていこうとせず代筆屋として絵の師匠の裏の部屋に引きこもって生きてきました。父の仕事の場である貴族社会から逃げていた(ステージ0)けれど、まずそこと向き合い(ステージ1)、道兼に心を振り回されない宣言をして自分の人生を生きていこうとしている(ステージ3)状態です。道長は貴族社会からも、己が宿命からも逃げ出したいまだステージ0の心持ち。今回、道長を貴族社会・都にとどめ、政治の世界で力を持てと言ったまひろは、自分だけの幸せを手離しても、亡くなった人の死を無駄にしない世を目指す、ステージ4に入ったように思いました。
 それにしても、シーンを遡りますが、和歌に対して漢詩で返すまひろ、面白すぎます。そりゃ道長でなくても伝わりませんよ。そして、マープル並みに話聞いただけで的確アドバイスできる行成くんが素敵すぎます。あ、あと今回道長古今和歌集の和歌そのまま送りました?いつになったら自分で作るんよ。もう、和歌の力までまひろとレベチ。

ここで結ばれた意味は?

 このシーンがどうして必要だったか、前回の直秀の死が薄れるくらい(いや、あれがあったから今回これがあったんですが)衝撃的にこのイベントを起こしてしまったのか、前回の「理解者同士=ソウルメイト」説は簡単にひっくり返されてしまいましたが、めげずに妄想してみました。そもそも、こうなっては「ソウルメイト」とは何を意味するか?と思っちゃうのですが。
 道長は「また会いたい、これきりなんて嫌だ」みたいに言っていましたが、歴史的に道長は紫式部を「妻(通う先)」や「召人(身分の低いお手つきの女性)」としては扱っていないと思います。二人の恋愛を匂わせるあれこれはあるけれど、大っぴらにはしていない。つまり、今回のことは内緒になるわけですね。内緒でも、とにかく道長が「好きだ」という気持ちに「偽り」はないことの証明ではあるのでしょう。
 ただ、将来的に周囲、特に北の方になる倫子さまにどこまで知られるか分かりませんが、少なくとも「元カレカノ」くらいに収まるのかな、と予想します。そうでなければ、倫子さまが自分の娘である彰子中宮さまに、まひろをつけること、許してくれるはずないでしょう。女性として二人の関係をどう思うかは別ですが、大っぴらに自分の夫の他の相手という立場の女性では、道長の妻としてのメンツが立たないと言いますか、ちょっと変な感じに見えます。私だけ? ということで、さっさと結ばれるか、いっそ宮中で道長が権力を極めてからか、どっちかだったんでしょうね、この急展開。

三人のあきこさま問題

 源明子さまがチラと登場しましたね。昨年のNHK版男女逆転「大奥」(あれも「攻めた」シーンあったな)での阿部正弘がとっても良かったので、一気に大好きになった女優さんです。何より、瀧内さんの笑顔が素敵でした。平安ドラマだし、ほわっと倫子さまみたいに笑ってくれる役かと思いきや、それほどではないようです。もともと、ミステリアスで苦労している切ない役の多い女優さんだそうですが、うふふと穏やかに笑っているシーンがあることを期待します。
 ところで、ゆくゆく「あきこ」さまが三人になる、ということに今回気づきました。女性の名前を訓読みにする今回。歴史の授業では音読みで「詮子=センシ」とか「彰子=ショウシ」って習いますよね。周囲がどこまで本名で呼び合っていたかはわかりませんが、ドラマでは結構呼ぶので、ややこしやな感じになってしまわないかと勝手に心配です。私は記事で書いていますので漢字を使えばいいことですが、動画で大河解説や感想動画をされている方はどうなるんでしょうか。……楽しみです(こら)。

道兼ハイライト?

 先述の「大奥」で黒木さんだった道兼。なんだかんだ言ってこの方も、できれば早期退場はしてほしくないのですが、この人が退場しないと道長が頂点に立てない。今回の変で大活躍だった道兼ですが、どこまでも汚れ役として使われるんですね。つまり、何かあってことが上手くいかなかった時には、まず道兼が矢面に立たされることは間違いなく、一番重い処分を受けるでしょう。決して本人が思っているように「父上に必要とされている」わけではなく、後継の道隆と万が一の保険の道長が手を汚さないための人。「兼」の字受け継いでいるのになあ。
 まぁ「帝と一緒に出家しろ」と言われなかっただけ、まだマシなのでしょうか。それとも兼家パパ、まだ道兼にやらせる汚れ仕事があるのでしょうか。
 そもそも「道兼が愛着拗らせて暴力少年になったのは愛情に差をつけた兼家パパのせい」という意見をネット上で拝見しました。それも一因なのでしょうが、
本当に父親として子どもを愛していたのなら、道兼がちやはママを殺した時点で出家させるくらいのことはしても良かったのではないかと思いました。
 兼家パパ的に、道兼と同じレベルなのは道綱なんですよね。「誰かに見られたら、あとでそいつを」なんて、この変でワンチャン道兼がどうにかなるか出家してしまっても、その役割は道綱が……。そうなったら道綱母の激怒が目に見えるようです。そうはならず道兼は帰ってきて蔵人頭になったわけですが(純粋にこのシーンカッコ良かった)、歴史上の先を知っていると、もう最後が気になってたまりません。

 ところで、「月夜の陰謀」というタイトル。退位事件があくまでメインということでしょうか。道長とまひろの夜をわざわざ満月にしてあれだけキラキラ月明かり降らせたことは「陰謀」という言葉とはあまりに縁遠い気がするのですが。

次回予告が

 楽しみです。騙されて退位した花山法皇はなんだか魔力持っちゃった感。おっと道兼ここでも恨み買ったし、そんな呪詛とかのちのち怖いことになるのかしらん。そして、しばらくお目にかかれなかった蔵之介宣孝殿。「心当たり」ってなによ!とにかくこのドラマ、男性俳優陣の皆さまの演技が良すぎて、それも感情忙しいです。

長々とお付き合いいただき、ありがとうございました。

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