絶望と希望の狭間で

絶望と希望の狭間で


絶望して、絶望して、絶望を極めてゆくと、
ある時点で、絶望しきれない己に気付くことがある。

するすると、全ての希望の網をすりぬけて、
ただ一人、奈落の底へと永遠に落ちていくかのように思えたのに、

もう二度と、はるか上の方で笑いながら生きている人々の元へは
登っていけない、
あまりにも己は落ちすぎてしまったと思ったのに、

全ての気力を放り出し、
絶望に身を任せ、
暗闇へ、闇の奥へ、
なされるがままに落ちてゆくと、

はてしない無重力空間の渦の先に
どうにも絶望しきれない一点にたどり着く。

限りなく濃い 闇の中、あまりにも小さすぎる一点の光は、
しかしそれが希望であるがゆえに一本の道を指し示す。

落ちて落ちて、永遠に落ちていくかのように思われた己の魂は、
その刹那、全く逆の方向に、登り始めるのだ。

希望とは、宇宙の大部分を凌駕する絶望の闇の中に突如現れる、
たった一筋の仄かな光に過ぎない。

しかし、その一本だけの光の道は、決して闇に吞み込まれることはない、
究極に強固で絶対的な、
己だけの道なのである。

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