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乳がん治療 26-抗がん剤AC4回目 『血管外漏出』

最後のAC (4 /4)でまさかの血管外漏出* 



[AC4回目 血管外漏出]

いつもの通り、投与の準備が始まる。
左腕中ほど(後前腕部①)に入った針は痛く、逆血確認が出来ないため針を抜き、手首の甲に近い箇所②に刺し直し、腕は”ゆたぽん”の上に載せる。

投与
最初の吐き気止めのアロキシパック+デキサートから、赤いアドリアシン(ドキソルビシン)*に変わり、しばらくすると最初に刺した腕の中腹が痛み出す。

気のせい?・・・ではなくやはり痛みを感じナースコール。他の看護師さん、内科主治医が飛んで来て、アドリアシンの ”血管外漏出”を確認。続いてATCの当番医、他医師総勢5名+看護師さん数名に囲まれ再確認とオオゴト*

点滴を止め、血管漏れのあった箇所を保冷剤で冷やした後、手の甲の針を抜くが、まずチューブ内に残っているアドリアシンを注意深くシリンジで吸い出し、最後に針を抜く手順。

③の穿刺位置は写真では見えない

次に主治医が血管外漏出の針跡の周り5箇所に、麻酔薬1mlが含まれた炎症止めの注射を、皮膚に直角にチッ チッ チッと打っていく。こう書けば可愛いけど実際は激痛、借りてきた猫の如くオトナシクしていたのに、この仕打ちは一体何?!   老猫は涙ポロポロ、イタ イタタ イタイイイイ---ツと声を上げた。

その後、ATC当番医がルートの違う血管③に針を刺し直し、アドリアシンの投与再開。そしてシクロフォスファミド+ブドウ糖、最後の生理食塩水まで終わるが精神的ショック大。

それにこの経過観察のため、2日後も通院を余儀なくされ、本来は翌日の筈のジーラスタもこの日送りとなる。

[オオゴトになった理由]

 血管外に漏れた抗がん剤は組織障害を起こす可能性があり大きく3つに分類
① 壊死起因性抗がん剤 (vesicant drug -少量でも皮膚壊死や潰瘍形成を起こしうる)
② 炎症性抗がん剤(Irritant drug ー炎症や痛みを生じる可能性がある)
③ 非壊死性抗がん剤((non vesicant drug)

今回のアドリアシンは①に属し、重度な副作用が生じる恐れがあるため、医師が大勢やってきた。net で漏出例の写真を見て背筋が寒くなる・・・

今回は痛みに気付くのが早く、内科主治医の的確な判断と処置で大事に至らずに済んで良かったけど、明らかな医療ミス・・≡サワガナカッタケド≡
病院側も胸を撫で下ろしているに違いない・・・


[血管外漏出から学んだこと]

抗がん剤投与で針を刺し直す場合、素人には静脈の位置やそのルートが不明なので、せめて、最初に刺した箇所より心臓に近いかを確認し、不安なら説明を求めるべし。
今回は刺し直したルートが同じで、最初の穿刺箇所が完全に塞がっていない事から起きた事例。下記にあるように針を刺す箇所の鉄則を覚えておこう。

『 穿刺部位はより抹消側から 』 

抗がん剤の血管外漏出の予防と対応ガイド(国立がん研究センター監修)


* 血管外漏出:血管外漏出(extravasation;EV)とは、静脈注射した薬剤や輸液が、カテーテ ルの先端の移動など(に限らず今回の穿刺箇所の間違え含め)により、血管外の周辺組織に漏れた時に、組織の炎症や壊死をもたらすもの。抗がん剤の場合、血管外漏出直後は、他の薬剤と同様に無症状あるいは、軽い発赤・腫れ・痛みの皮膚症状が出現するが、数時間~ 数日後にその症状が増悪し、水疱→潰瘍→壊死形成へと移行していく。さら に重症化すると瘢痕が残ったりケロイド化したり、漏出部位によっ ては運動制限をきたして外科的処置(手術)が必要になる事もある。組織障害性は抗がん剤の種類によって異なるが、組織障害の起こりやすい 抗がん剤であっても、漏出初期は局所の違和感や発赤、浮腫がみられる程度であることが多く、患者自身も気がつかない事があるため、投与部位を注意深く観察し、変化にいち早く気づくことが大切。

抗がん剤の血管外漏出の予防と対応ガイド
(国立がん研究センター監修)から抜粋+加筆


【追記】
続編:血管外漏出その後→
乳がん治療の全て-30- 『血管外漏出』その後ー半袖はもう着ない

30でその後の様子を


#血管外漏出 #血管もれ #乳がん #抗がん剤 #AC #アドリアシン #シクロフォスファミド

<余談>さすがに寄り道せず帰ったけど、投与の悪夢はトラウマに



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