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【読書】リプレイ

ケン・グリムウッドの「リプレイ
うちの本はさんざ読み倒してしまってボロボロのシミシミになって写真で出すのはいかがなものだろうか。出しちゃったけど。
ネットからとった装丁写真も一緒にのせる。

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この本は世に云うタイムリープ物、何度も時間を遡ってしまうやつの原型じゃなかろうか。1987年作。
タイムマシーンみたいに意思をもって時間を移動するするのではなくて、いやおうがなしに過去に送られちゃうやつ。
乾くるみの「リピート」や佐藤正午の「Y」、日本の小説だがトム・クルーズ主演で映画化された「All You Need Is Kill」とかの元ネタか。

主人公の男は40代のある日、急に胸が痛くなり死ぬ。
すると彼は少年時代の彼として目覚める。記憶はそのままで、あの頃に戻っちゃう。よくみんなも妄想しなかったかい?この頭のまんま戻れれば俺天才なのに!
まさにそういう小説。

突然生まれ変わって最初はわけわからないが、なんせ一度生きたことあるんからそこそこうまくやる。が、また中年になったある日、そう同じときに彼は死にまたまた少年に戻る。
なるほどなるほどそうなりゃこっちのものだ、これから起きることは全てわかってるし今度はもっとうまく生きてやる。
そうやって男は株など経済の知識をつめこんで、やがて大々成功を納める。ちょーセレブだ。栄華の極みだ。
なんてハッピーな人生。

しかしもちろんそれでは終わらない。お分かりの通り、やはりまた同じ日に彼は死に振り出しに戻るわけだ。一からやり直し。
過去に失敗した恋愛も今度は成就させる。でも目を開けるとまた少年のころの相手が自分を知らない時代へ戻ってしまうのだ。
なんともむなしい。
どんな成功もゼロになるし、愛する子供たちも生まれていない。
ケネディが暗殺されないように歴史を変える。しかし次のループではやっぱり暗殺されるのだ。
なんともむなしい。
全能であるということは、とてもむなしいことなんだなあ。

そりゃ延べ何百年も生きてるようなわけだから、もう仙人だ。達観してしまうさ。
ということで、一度きりの人生だからとても尊いのだよと考えさせられるある意味哲学書

二転三転してハッピーな感じで終わるのも、何度も読みたくなるし、お勧めしたくなる理由。
少年少女にとくにオススメ。


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