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地域文化をつなぐツール・ド・NOMADO

皆さん、こんにちは!NOMADOプロジェクトnote編集部の藤田です。

突然ですが、読者の皆さんはお住まいの地域で開催されているイベントに興味関心がありますか?

「もちろん!いつも地元のイベントには参加しているよ!」という方、
「うーん、正直あんまり興味ないなあ…」という方、さまざまいらっしゃるかと思います。

今回のNOMADOプロジェクトに参加してくれた生徒たちは、どちらかというと後者のタイプでした。

そんな彼/彼女たちが、同世代の新しいコミュニティーとつながることで、地元文化への意識を変容させていきます。

今回の記事では、以前の記事でお伝えした「ツール・ド・九州」をテーマに実施したNOMADOプロジェクトの体験レポートをお届けしていきます!

日仏学生×NOMADO | 共通テーマでつながる国際交流

デジタルインスタレーションを使って、新たな関係創出を目指すNOMADOプロジェクト。

2022年11~12月に、「大分県」と「フランス」の二つの地域をつないだNOMADO体験を実施しました。

参加してくれたのは、大分県立日田高校の12人と、フランス・ノルマンディー地方にあるスルドゥヴァル中学校の17人の生徒たちです。

地方都市である双方の地域に共通する社会課題は、国際交流の少なさや、地元文化への興味の低さ

NOMADOプロジェクトでは、二つの学校で国境を超えたつながりを生み、体験をきっかけとした長期的な交流を育むことで、それぞれの地域の市民としてのアイデンティティの自覚シビックプライドの向上を図ります。

「自転車」がつなぐ二つの地域

さて、今回のワークショップは「自転車」が共通テーマ。

生徒たちは共同で「ツール・ド・九州」大分ステージの関連グッズ制作に取り組みます。

「ツール・ド・九州」は、福岡・熊本・大分を舞台に2023年秋に開かれる国際サイクルロードレース大会です。

欧米で人気の高い自転車レースですが、日本国内では、まだまだマイナースポーツ。

世界的に有名な「ツール・ド・フランス」を知っている九州の人々は多いものの、それに端を発した大会が自分の目の前で開かれる実感がわかないのが実情です。 

そこで私たちがNOMADOプロジェクトで提供するのは、自転車文化の聖地であるフランスと、ツール・ド・九州のホストシティである日田市を結び、こうした無関心の壁を打ち壊すこと。

言語の壁を超えて、国際的な大会に自分自身も関与するのだというマインドの種を植えること。

ひいては、自分の住む街への愛着や日々の暮らしに誇りを持つことです。 

また今回参加してくれたスルドゥヴァル中学校があるフランス・ノルマンディー地方は、首都パリから車で3時間ほどの地方都市で、日田と同じく異文化への接点が少ない地域と言えます。

日田との交流によって、自分たちの自転車文化が遠く離れた日本に根付いていることを知ることは、彼らにとっても驚きと発見に満ち、自文化理解を促します

ジェスチャーで楽しくコミュニケーション

NOMADOの「窓」でつながった、二つの国の生徒たち。

最初のセッションでは、日本とフランスの学生が一体となるチーム作りをしていきます。

一連のアクティビティを、楽しい雰囲気の中で進めてもらうべく、言葉のやりとりを極力減らし、アイコンタクトやジェスチャーを多用したコミュニケーションを取り入れました。

自分の好きなものを表すジェスチャーを添えた自己紹介や、ジェスチャー当てゲームなどのアイスブレイクで緊張をほぐしていきます。

「私達らしい特徴ってなに?」|共通点をさぐるロールプレイング

場の雰囲気に慣れたら、二つのチームに分かれて、自分たちを特徴付けると思う共通点を複数考えます。

たとえば、こんなふうに。

・活発的
・音楽が好き
・ユーモアがある
・山より海が好き

共通点が出そろったら、生徒たちは自分たちのチーム名をいくつか考えます。

そこから各グループで気に入った案を選んでいき、全員の同意のもとに最終的な名称を決定しました。
決定したチーム名は、「ゴールデンレオパード」と「ライトシャークス」です!

共創体験の集大成|デザイン制作

後半のセッションでは、デザインの制作に焦点を当てます

このセッションは共創体験を通じて、相手への興味関心、共感、尊敬の感情を引き出していくことを狙っています。

生徒たちは、前回決定した自分たちのチーム名から、デザインのイメージを発想・発散させていきます。

発想力を高めるトレーニングには、NOMADOプロジェクトで実践している思考のトレーニング方法を使います。

生徒たちは、「色」「形動詞」「素材・質感」などのカテゴリーごとに、前回決定した自分たちのチーム名から連想されるイメージのキーワードを言語化します。

ライトシャークス」というチームが表現したサメのイメージはこんな感じ。

・色:メタリックブルー、鮮血、ゴールド
・動詞:襲う、噛む、突き進む
・素材・質感:鮫肌、半透明、縞模様

チームのイメージから想起された初期ビジュアルは、AI(人工知能)を使って、その場でアウトプットされます。

制作したデザイン案

具体的な成果物の獲得で、生徒たちは達成感を得ることができました。

「もちろん応援する!」|参加者の感想

ワークショップ終了後、参加生徒を対象にアンケートを実施し、20人から回答を得ました。

国際交流を経て、異文化との交流意欲や国際的な意識が向上した生徒たちからは、こんなコメントが寄せられました。

・大好きになった、相手の国に住んでみたい
・相手文化を知るために現地に行ってみたい
・外国語を勉強して、もっと彼らと親しくなりたい

また、体験前と体験後で、ツール・ド・九州に対する意識の変化もあらわれました。

・体験前:ツール・ド・九州について「全く知らない」と回答した生徒は100%
・体験後:「ツール・ド・九州を応援したいと思いますか?」という問いにほぼ全員が「もちろん応援する(50%)」または「応援する可能性あり(45%)」と回答

共創体験によって、ツール・ド・九州への興味関心や、積極的に関わりたいという意欲が向上していることが分かります。

言語や距離の制約を超えて心理的距離を縮め、相手文化への興味関心が育めたワークショップとなりました。

そしてこれからも、つながりつづけていく。

NOMADOプロジェクトは、この体験だけで終わりではありません。

生徒たちの思いを市民へと広める取り組みとして、制作したTシャツを大分県内店舗で数量限定販売するほか、「スパークルおおいた」の選手団も同じTシャツを着用して大会時のパレードに参加することが決定しています。

さらにNOMADOプロジェクトでは、フランスの生徒たちがオンラインで「ツール・ド・九州」の大会を視聴する、といった企画も目下準備中。
日仏生徒たちのアイデアが詰まったTシャツは、完成次第、生徒たちの手元に届けられます。

生徒たちは、ツール・ド・九州を応援する際の「ユニフォーム」としてTシャツを着用することとなるでしょう。
国境を超えた二校の交流は、これからもつづいていくのです。



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