齋藤孝著『読書する人だけがたどり着ける場所』を読みました。

私にしては驚異的スピードで本を読めている。
自分で自分を褒めてあげたい。

こちらもとても読みやすかった！
色々なTVなどで拝見する機会の多い齋藤孝先生。
前に本読むの苦手ーって私の記事でぼやいていたようなことを
うまく言語化してくださっていた。
この「言語化」が自分にはできないことなので、
スパッと言語化できるひとを見ると感動する。

20万部突破のベストセラー。
私みたいに、本を読むこと自体が苦手になった人や、
モチベが続かない人にぜひ勧めたい。

ネットで文章を読むと、色々なことに
「分かった気」になる。
その人知ってる。そのニュースなんか聞いたことある。
…詳しくは知らないけどね。

そんな事柄が沢山ある。

だけど、本を読むことは、単なる情報の海に触れることではなく
「体験」だという。
ネットを否定するわけではない、ただ、知識の定着とかには繋がらない。
集中力が低下する。
衝撃的だったのは、今の人間が1つの物事に集中できるのはたった8秒だそうだ。これは、ほんの20年前の人類に比べても1/3になっているし、
なんと金魚より短いらしい。
え…現代人って金魚以下…この数字はちょっと衝撃的だ。
確かに、漠然とTwitter(X)→インスタ→ネットサーフィン→Twitter…ってスマホを見ている時
なにか知識を得られるかって言ったらそんなことない。
情報の海の浅瀬で水をパシャっとやって、
上がってきたら拭いて、海に行った記憶すら大して残らない。

だけど読書は違う。
ここ数日でちゃんと実感できたし、
この本も、通して読むことができて
色々な言葉が齋藤先生の言葉として響いて自分のなかに残っているのを感じる。
本は著者との対話だ。
逃げたくても簡単には逃げられないし、
話を聴く経験をするのと似ている。

きっとこの本は齋藤先生が長年感じたことや知識の本当にごくわずかのエッセンスを絞ったものなんだろうけど、
よく考えたら、今まで時間やお金をかけて得てきたであろう知見をたった1000円弱で得られるのってすごいことだよね。

インターネットやAI、SNSを否定していないことも良かった。
ただ、コミュニケーションは、人間だけじゃなくて、何らかの形で
猿も犬も虫もできる。
人間とそれらの動物の違いは、時代を超えても何を考えていたか残すことができ、それに触れて面白いとか感想を抱けるのは人間にしかできない営みだと書かれていた。

人には色々な尺度がある。
美人だったり、背が高かったり、スマートだったり、お金持ちだったり、おしゃれだったり。
だけど、知性は開かれている。
知識にアクセスすること、それを自分のものにするのに、センスや能力は関係ない。
私は子供の頃本を読むのが好きだったと、書いた。
齋藤先生が同じことを書いていた。
本が嫌いな子供はほとんどいない。ちょっと難しい本も、子どもたちはもっともっと！と読んでいくそうだ。
確かに、子供の頃って図書館や図書室にたくさんの子がいたよね。
根っからの素質に、本が読めるとか読めないとか、コツが有るとか無いとか、そういうことって関係ないそうだ。
これもまた、本嫌いだと言っている今の私に勇気づけてくれた。

もう一つ、本を読む時につい思ってしまうこと。
読んだって何も変わらない！と嘆いてしまう。
今までの私。
だけどそれは違う。知識って、別にたくさん持っているから偉いとかではない。
現実世界もそう。いくら特定の分野に詳しくても、
人との会話で知識をひけらかしたら
「え…何この人」ってなるだけ。
会話も深みもうまれない。
そうじゃなくて、知識って点と点が広がってってある時急に面のようになるものだって。
10冊本を読んだら10の知識がつく！と思いがちだけど
実際は違う。
1、2、4、8、16、32…という感じで、細胞分裂のように広がっていくものだと。齋藤先生だって、一つの分野には関連する本を何冊も読んで
あれとあれが繋がった！という経験を繰り返しているそうだ。
このことも、読書を続けてみようかなというモチベに繋がった。

現代は、アメリカナイズされた資本主義のゲームに勝つことが全てと思ってしまう。つまり経済的成功＝すべての成功と思ってしまう。
私はまさしくそんな仕事をしているし、営業職なので数字数字！って思ってしまう。数字が稼げる人が偉い。そうじゃない人は偉くない。って、恥ずかしいけど思ってしまう。
だけど、そうじゃない。文学者の生き様は、経済的成功とは程遠いことが多い。あえて経済的成功を選ばない人もいる。
これは答えが出ないけど、だけど、経済的成功という一つの尺度に過ぎないことだけを取り出して、自分や人を値踏みしないように気をつけなければならないと思った。
こう思えるのも読書で視野を広げてもらえたのかな、ちょっとだけ。

読書って、すごく主体的で積極的な知への関わり方だと感じた。
いつもなんとなく流すYoutubeも、いらない訳じゃない。
ドラマも見て楽しいと思う。
だけど、ドラマやアニメなどは、あくまで向こうのペースで物語が進んでいく。読書は、自分のペースで想像したり、わからなければ立ち止まったりできる。
だから、小さい子とかにはアニメばかりでなく本を読んでもらうのも大事。(きっと大人もだよね)
宮崎駿監督は、「子がトトロが大好きで、何十回も見ています」というお母さんに対して「そんなことをしてはいけません」と言ったんだとか。

この本にはおススメの名著も記載されていて、
ちょっと尻込みするような難しそうな本もあるけど、
時間をかけて私も読んでみようと思う。

読書って、人間が人間たる営みなんだ。ホモサピエンスとしての重要な営みなんだ！