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クマの住処で働く①

北海道のほぼ中央に位置する
大雪山

その東側にある秘湯、大雪高原温泉の隣に
ヒグマ情報センター」という施設があります。
私の今夏の職場だった場所です。

ヒグマ情報センター


ヒグマ情報センターは名前の通りヒグマの情報を発信する施設です。

と言っても学術的に研究して発信をするというよりも、

ヒグマが多く生息する大雪山の

沼巡り登山コース

という登山道を歩く登山者に対して、

事前にレクチャーを行ってヒグマのことについて知っていただく、

そして登山道を巡視しながらクマの痕跡を見つけたり、実際にクマの行動をチェックして、
人とクマが適切な距離感でいられるようにする、そんな業務を行っていました。


沼巡り登山コース 
大雪山麓の沼を巡る一周7kmのコース


登山道上のヒグマのふん
これを記録するのも業務の一つ


登山道の巡視では、クマの目撃が多い時期にはほぼ毎日のようにヒグマがいた痕跡を見ていましたし、
巡視の行きには無かった足跡が、帰りについていることもあります。


登山道にしかけてあるセンサーカメラを見ると、
登山者のいない時間に、
お尻をフリフリしながら登山道を登っていくクマの後ろ姿が写っていたりもしました。

もちろん実際に間近で会うこともありました。

木道にくっきりクマの足跡


なぜ山小屋で働いてきた私がそのような場所で働くことになったかと言えば、
山小屋にいた頃からクマが身近で気になる存在だったからです。

以前書いたクマに関しての記事がこちら↓


上の記事で書いた北アルプスはもちろん、
今春働いていた尾瀬でも小屋の近くに現れており、クマに会うことは決して珍しいことではありません。

山の中で生活するということは、
クマの住処に「お邪魔します」と入っていくことですから、

街と異なりクマがいるのは当たり前。
(元々はクマも里でも暮らしていたようですが)


その感覚は街にいた時のクマに対する世間の感覚とは大きく異なるものがありました。

それがなんだか不思議で、
もっとクマについて知りたい、

そんな思いで北海道のヒグマの住処に足を踏み入れたのでした。


最近はクマのニュースが毎日のように流れます。

駆除しろ!保護しろ!と
意見がありますが、


単純にその二項対立でよいのか?
別の視点も必要なのではないか?


私自身がクマたちの住処で働いてきて感じたことや学びを数回に分けて綴ろうと思います。


登山者にとって、
また山小屋を目指す方にとって、
そして山に限らずクマに対して漠然と恐怖を抱いている方にとって、

何か参考になったり、考えるきっかけになればと思います。

今回はここまで、次回から本題に入ります。




ヒグマ情報センターのサイト↓

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