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松本という街

長野県松本市に拠点を置いて7年になりました。

そしてこの度、パートナーとの生活を始めるために松本のアパートを引き払うことにしました。

山小屋の仕事などで離れている時もあるので、
実際に住んでいたのは7年未満ですが、

松本市は心の拠り所でした。


学生時代の部活で北アルプスを登るために
度々訪れたその玄関口の松本駅。

松本駅のコンコースは始発電車に乗るために寝袋を広げて駅寝(あるいはステーション・ビバーク)をした思い出の場所。


松本駅


大学卒業後、入社した会社の配属地も「松本」
面接で山アピールをしていたら、
ありがたく北アルプスのお膝元に。

10月入社の前にした北アルプスの山小屋バイト、

任期を終えて下山して、
そのまま配属先の宿に挨拶
(就職先は宿泊業です)

スーツなど持っているはずもなく、
山の格好で挨拶に行きました。

無事に入社して、職場から北アルプスを眺める日々。


そして上高地、美ヶ原、乗鞍高原、

松本の山の魅力をお客様に伝えたくて、
パンフレットを集めたり、
山の情報を発信したり
何度も、山はどんな様子か見に行きました。

上高地


美ヶ原・王ヶ鼻から松本市街地を望む


乗鞍岳


数年働いた後、
山小屋に戻りたくて会社を辞めた後も、
松本を離れるのが惜しくて、
借りていたアパートはそのままにしました。

山小屋にいる間は無駄な家賃を払うことになっても、それでも松本に拠点があることは、
私にとって価値のあることでした。


アパートからの景色


どうしてこんなに松本を気に入っていたのか、


それは山があるのはもちろんなのですが、
山と街のバランスが絶妙にちょうどいいから。


松本市は長野県のほぼ中央に位置しています。

人口は約24万人。

「24万人」というと他の地方ですと、

北海道函館市や
山形県山形市、
神奈川県大和市、
長崎県佐世保市

と同じくらいの規模です。

決して大きくはありませんが、
長野県では長野市に次ぐ人口の町。

その規模感がわたしにとってはちょうどよく、
過疎のような感じもしなければ、
都市部のように人でごった返すこともありません。


松本のメインストリートの一つ
左にパルコがあります


地方都市でもシャッター街が目立つ街もありますが、松本は比較的活気があるような気がします。

城下町ということで昔ながらの老舗の店もあれば、
新規オープンしたお店も多く、
毎年、山小屋で3ヶ月ほど過ごして
松本に帰るたびに新しい店を見つけます。 

チェーン店だけでなくて個人経営の店が多くて、街歩きが楽しい街です。

引越し作業で1ヶ月ぶりに松本に戻りましたが
こんなお店あったかな?


カフェもたくさん


以前、新規オープンしたお店の店主の方とお話する機会があったのですが、

松本で育ち、一度松本を離れても、
またUターンで戻ってきて、店を開く方が多いそうです。
松本市は地元の人にとっても魅力があるのだそうです。


街並みの奥に山



続いて登山をする人間として、
やっぱり北アルプスが近くいつでも眺められること。

日本百名山の常念岳、奥に乗鞍岳。
少し南の方から、あるいは高いところから眺めれば、
鹿島槍ヶ岳や白馬岳のほうまで、
延々と連なる山々を見ることができます。


秋から春にかけて山々は雪化粧します。
その変化を眺めながら、


今日は山の上はたくさん降ったのかな?

雪がだいぶ解けてきたかな?

夏の間暮らしている北アルプスの山上の様子を
厳冬期でなかなか登りに行けない時も、
想像することができます。

これだけの山並みを望むことができる
街は日本でも数えるほどだろうと思います。

松本駅前から北アルプスの山並み


もちろん登りに行くにも近いです。
私の場合、北アルプスの東側に位置する
常念岳や燕岳あたりは
家を4時台にに出発すれば
稜線の小屋には9時台に着いて、
ケーキを食べても13時くらいには下山できます。

ちょっと運動がてら、非日常的な2700mまで登ることができるのです。



そんな山があるからこそ山仲間も集まります。

山小屋の同僚たちも山小屋を経て、
より山に近いところで住みたいということで
松本に移住してくることが多いですし、

東京から北アルプスに登山やスキーに来ようとすれば、松本はその通り道にあたります。

松本に暮らしているだけで、山好きと会える、
そんな場所でした。




そんな私にとって特別な場所、松本。
拠点としては離れましたが、
山に登りに来るのはもちろん、
人に会いに、日々新しい風が吹く街を巡りに

これからも訪れたいと思います。

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