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変わったのは わたしか、aikoか、


aikoの新しいアルバムが出た。
3年ぶりだ。


中学のときにaikoに出会ってから、
私の世界はaikoの音楽に溢れていた。

『大きな鞄にも この胸にも 収まらないんじゃない?
 恥ずかしい程考えている あなたの事』
『見つめられれば 恥ずかしいけど 目を反らしたら気付かれそうだから』
『ただあなたの後ろ姿を ただ見てるのが好きでした』


好きで好きでたまらない気持ちと
だけど、怖くて伝えられない気持ち。

好きな人を思うことで
心が躍っていてもたってもいられない気持ちも、
胸を刺すつらく切ない気持ちも、
aikoの言葉で、メロディで、形を作っていった。


「私の好きな歌手は、ずっとaikoだ。」



だけど、大学生のとき
ぱたりと聴かなくなってしまった。

新曲が出ても共感できなくなってしまった。

曲としてはわかる、聴ける。
でも、私の中に入ってこなくなってしまった。



こわくなった。


もうaikoと交わることはないのかもしれない。

世界のすべてを包んでくれるような、
景色や気持ちに音楽が重なるような、
そんな経験がもうできないのかもしれない。



aikoの新しいアルバムが出た。
3年ぶりだ。


しばらくアルバムを買っていなかったが、
なぜかほしくなった。


最後かもしれない、と思ったから。
この先どんどんaikoと離れてしまったら、最後になるかもしれない
aikoはどんなときでも歌を届け続けてくれるだろうけど、私は…。

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1曲目の『ばいばーーい』
さよならの歌から始まる曲の組み方が何ともaikoらしい。


「すぅ」というブレスから始まる歌いだし。
「ああ。」と思った。


aikoの言葉がまっすぐにわたしの中に届いてくる。


『よくある幸せなんてどこにもない 君は僕の全てだ 特別だ』
『思い出にしても忘れてしまったら全部嫌だな 
ずっとこのままあなたを想っていられる』
『運命の糸が青で黄色でもひねくれた二人が向き合う部屋が世界』



『おかえり』

私は昔みたいに怖がりじゃなくなって、
好きな人を遠くから見つめてるだけじゃなくなって、

aikoはaikoで、まっすぐな好き/嫌いだけじゃない、
もっと曖昧で複雑な思いを感じて届けるようになって、

そうやって交わらなくなってしまった私とaikoが、
やっと繋がった。

aikoの綴る恋愛の世界は、ずっと私の憧れだった。
そして、今も


どんなに気のあう人でも、好きな人でも
すれちがうときはあって。
ずっと1番に大好きで思い続けていなくても、
心の中に必ず存在し続けていて。

私はようやく、私の中のaikoを取り戻すことができた。


『おかえり』

『ただいま』

どうしたって伝えられないから、
これからもaikoを聴き続ける。



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