見出し画像

と、ある採用に落ちて 〜狂おしいほどに必要とされたかった嵐の夜の記憶〜

それは嵐のような夜だった。天気でなく、わたしのこころの中が。
苦しくて、苦しくて、生きのびたい気持ちとそうでない気持ちがこころの中で暴れまくって。そしてどうにか、どうにかこうにか、そこから生還した朝が、まさにいまだ。

・・・ちょっと重い話になるが書いておこうと思う。
ハンドメイドともなにも関係ないけど。
こんな経験をしたこと、そしてそれを誰かと共有し、未来に繋がるため。
また歩き出すため。

タイトル通りではあるのだけど、
ちょっと、やってみたい仕事があったのね。
というか、どうしてもやってみたい仕事があったのね。
関わりたい仕事があったのね。

書類審査を通り、オンライン面接をし、
「明日中に連絡します、それがなければ今回は見送らせてください」
そう担当者に言われたのね。
で、落ちた。

それだけのこと。
それだけの話だ。

でも、一日中メールの着信画面を
見てしまう自分がいた。
待ってる一日は凄い緊張のなかにいた。
ジリジリ、ジリジリ、胃が痛くて。
さらに
ちょうど間の悪いことに、応募先の会社では
その夜イベントがあって。
その様子がSNSで流れてくるのが、辛くて。
とにかく心が軋んで。
でも、大丈夫、自分が全否定されたわけじゃないから。
メールが来なくても、大丈夫。
そう言い聞かせてた。

ところがである。

そして0時になり、ついにメールは来ず。
反動はドドッと怒涛の如くやってきた。

選ばれはなかった苦しみ
自分は必要でなかったという痛み

それが脳内で架空の声の形を取り響きだした。
「お前なんかいらない」
「お前なんかいらない」

それは自分が精神疾患の原因となった
数十年前にうけた精神的DVで言われたり
暗に伝えられたりした言葉だった。
または、精神疾患が会社にバレて、
退職を勧告されたときにも頭に浮かんだ言葉だった。

「お前なんかいらない」
「お前なんかいらない」

それに対してわたしは知った。
自分が狂おしいほどに
「必要とされたかった」ことを。
わたしにはあなたが必要
「お願いだから、そう言って」。
そういう想いが声と混ざりドバッと脳の中に満ち、
わたしは堪らず泣き出してしまった。

それが辛くて、つらくて。
つまりは自分の過去から聞こえる声、自分の今から聞こえる声。
「わたしにはあなたが必要」そう言って。
お願いだから、そう言って。

それが高じて、間も無くわたしは
「死にたい」と思い始めてしまった。
会社に必要とされなかったショックというより
自分が必要とされてない人間で
そうでなくとも
この先もこの葛藤と向き合いもがく自信が
持てなくなってしまったのだ。

でもまだ、理性はあって。
兎にも角にも、これはヤバイ、という理性はあり、
とりあえず、過去何回かかけたことはあるが
ここのところお世話になることもなかった
いのちの電話」を必死にネット検索して、かけまくった。
けどね、つながらないのよ。

何回も何回も泣きながらかけたけど
つながらないのよ。
吐き出したい想い。
助けてほしい想い。
叶わなかった願い。
それらがごっちゃになって息が苦しかった。
本当に辛かった。

だが、履歴の通話件数が凄いことに
なりつつあるころ
幸いにもわたしに眠気がやってきた。
とりあえず一度は抜け出た布団にもどり
涙をぬぐい、またスマホのメールを見て、着信がないことを確かめ、
また涙をぬぐい…

としてるうちに朝になってた。

朦朧としてるうちに、夫の出かけるよ、という声が聞こえ、
わたしは、しばらくしてからよろよろと起き上がり、
まだざわつく気持ちを押さえながら、リビングにいき、
大きなため息をつきながら、ソファーにへたり込んだ。
朝が来ていた。
新しい1日が、日常が
それらがやってきていた。
わたしは泣き腫らした目でそれを見つめた。
そこは何も変わらない、わたしの大切な世界だった。

そのまま、これを書いた。
わたしは、その会社に受け入れられることで
要らないと言われた自分と和解したかった
そして何よりそんな自分を排除した(主観です)社会と和解したかった

のだった。

一晩明けてそう思う。
そんな想いが強すぎて
採用されなかったんだろうなとも。
そこは反省点ではある。
そして自分の思い込みと
トラウマに翻弄されてしまった。

でも、嵐の夜をこえて
わたしはいま生きている。

わたしは弱い。
わたしはまだまだ、甘い。
けど、今ここに居る。
それだけでもよしとしようと思った。
そうすれば今後また何かを見つけられるから。歩き出せるから。
死ななかった自分を、よしとしようと。それだけで、それだけでいい。

いろいろがんばって日々の濁流の中生きてます。その流れの只中で、ときに手を伸ばし摑まり、一息つける川辺の石にあなたがなってくれたら、これ以上嬉しいことはございません。