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おとろし

その知名度に反して謎の多い妖怪である。

鳥山石燕のこの絵からは、長い髪の恐ろしい顔をした化け物が、手に鳩の様な鳥を握りしめて鳥居の上に鎮座している様子が見て取れる。

鳥山石燕『画図百鬼夜行』より「おとろし」

鳩には八幡宮の先触れと言う側面があり、加えてこの鳥山石燕の描くおとろしが鎮座する鳥居は笠木の両端が反っていない所から八幡鳥居と見られる。つまり、おとろしは八幡神と何らかの関係性がある事が見て取れる。

八幡神は15代天皇応神天皇と同一視されている。また応神天皇陵は誉田八幡宮(誉田は応神天皇の諡号)と隣接している。
前述した鳩は西洋文化でも神霊の使いとされ、また応神天皇は渡来技術集団である秦氏を迎え入れた天皇として知られる所から八幡神も渡来系の神であるのかも知れない。

15代天皇応神天皇

と、ここまでは分かっているのだが、なぜおとろしが八幡宮の鳥居の上で鳩を握りしめているのか分からない。
無理矢理こじつけるとしたら「八」幡宮の鳩(「九」+鳥)の上にいる「おと(十)ろし」という事かなあ。

…そう言われて見ると前髪と笠木がまるで漢字の十の様にも見える。

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