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やり抜く力:アンジェラ・ダックワース②


 
「やり抜く力が抜群の大谷翔平」
 
アンジェラ・ダックワースの強調する点を、簡単に言うと、「才能よりも努力の方が2倍重要」ということであり、例えば、大谷選手の活躍は素質だけでは説明がつかない、彼はプライベートの時間もほとんど外出しない、「投打二刀流でやる」という目標に集中し、あらゆる行動が首尾一貫して、その目標の実現に向かって、壮絶な努力を人知れず重ねているのだ、となるでしょう。
 
特別な趣味はない、野球が趣味であるという大谷選手はその二刀流の完成に向かって、人一倍の「やり抜く力」を発揮し野球に取り組んでいるはずです。
 
ある人が一つの事柄に興味を持ち続け、ひたむきに取り組んで、そこに粘り強さが加われば、たとえ、困難や挫折を味わっても、その人は諦めずに努力を続けるでしょう。
 
しかし、とにかく努力(練習)あるのみだと、がむしゃらに努力する(練習する)よりも、努力の仕方に工夫を加えることも重要です。
 
より効果的な努力を見出し、努力の仕方に改善を加えることです。努力に投入する時間の量も大事ですが、努力の質(練習の質)をアップさせることも重要です。
 
日々の努力の積み重ねは必ず習慣化させなければなりません。自分が取り組んでいる目標が重要であればあるほど、社会的な影響と意義を考えなければなりません。
 
「やり抜く力」が備わっている人は、幸福感が高いと言えますが、他者との比較で幸福感を感じるというよりも、自分の人生に満足しているかどうか、定めた目標に向かって毎日の活動がしっかりと繋がっているかどうかをチェックします。
 
自己の人生における目標の設定は、人のため、社会のため、他者のためになっているかどうかの観点がポイントとなるでしょう。
 
「やり抜く力は教育と深く結び付く」
 
やり抜く力をよりよく発揮するためには、興味ある事柄、好きなことなどを、やり抜く力の対象として選ぶことが重要であると、アンジェラは言いますが、これがまさに個性の問題、性格の問題になります。
 
人それぞれの才能は、その人の個性や性格と深く結びついています。
 
語学が好きな人は、当然、その先に翻訳や通訳の仕事を選ぶ可能性は高いでしょう。あるいは外資系の会社で働くかもしれません。また、語学の先生として教壇に立つかもしれません。
 
その人は自分の好きなことを仕事としてやっているのですから、満足度も高いし、結果も出しやすいと言えるでしょう。
 
語学習得に対する高い目標を設定し、日々練習し、上手くなるまで繰り返し、もっといい方法はないかと改善点を明確にして、突き進むはずです。
 
常にポジティブに、成功者は情熱と粘り強さで努力を積み重ねることで目標を達成します。目的意識を持つ所から始めて、生涯学習を続けていくのです。
 
アンジェラ・ダックワースが語ることは、ほとんどすべて彼女が実体験してきた内容であり、観念的な話はしていません。設定した人生の目標に対して、どのように取り組み、成功者となるかを述べています。
 
そこには、多くの心理学的アプローチもあり、心理学的アドバイスもあります。これは、人はいかに学び、いかに成長し、いかに目標に到達するかのテキストでもある故、GRIT理論は教育の現場と深く結び付いているのです。
 
「GRITは人間の原点の力である」
 
アンジェラ・ダックワースの「やり抜く力(グリット)」は、普通の才能の持ち主であっても、天才が成し遂げるような業績を達成できるという一種の成功哲学の理論であるとも受け取られるかもしれませんが、それ以上に、普通の才能でも、「やり抜く力」をつければ、思った以上の大きな達成があり、それによって、どんどん自信ができて、幸福感も得られ、ステップアップの目標設定を次々にクリアし、人生を豊かで満足感の高いものにすることができるということです。
 
このようなGRIT理論に従えば、人間としてのスキルアップと達成感は高くなっていくわけですから、見方を変えれば、これは、人間の成長(人格的側面と技能的側面)とその成長を通しての達成感を導く人間教育論と言うこともできます。
 
人間の自由意思は、怠けることもできるし、努力することもできます。あるいは、責任感を持つこともできるし、無責任でいることもできます。誠実であることもできるし、不誠実であることもできます。「やり抜く」こともできるし、「やり抜かない」こともできます。
 
しかし、決定的なことは、どんなことであっても、やり抜かない状態ではいかなる達成感もありません。
 
「やり抜く」ことによって道が開かれるのであり、その時、人間としての一定の成長が得られます。
 
一般的に言って、「やり抜く」ということは、極めて重要な内容を含んでいると言えます。アンジェラはこのことに徹底的にこだわりました。
 
アンジェラは、学校、企業、軍隊、あらゆるところに呼ばれ、「やり抜く力」についていろいろと教えてほしいと要請を受けています。大忙しです。
 
先進的なアメリカですが、それでも、なかなか「やり抜く」ことができない人々も多く、各界各層の指導者たちは悩みを抱えているわけです。
 
もしかしたら、「やり抜く力」は、人間が人間として生きていく「原点の力」であるかもしれません。「やり抜く力」には、意志と知性それに何よりも情熱が必要です。知情意、三拍子そろって心のエネルギーが投入される偉大な力が「やり抜く力」であると言えるでしょう。
 
「アメリカの役割」
 
現在の世界を見るとき、大きな目標を掲げて、人類の未来のための意義ある価値創造を目指す青少年がどのくらいいるのかわかりませんが、何だか心許ない気がします。
 
世界が大きく変わろうとしている現在の国際情勢を見ると、「しあわせ」「よろこび」「平和」という人間が追い求めている価値が、非常に危機的状況に置かれており、人間の「神聖性(平和・愛)」と「獣性(戦争・憎悪)」が激突しているようでもあり、今こそ、「しあわせ」実現のための「やり抜く力」、「よろこび」実現のための「やり抜く力」、「平和」実現のための「やり抜く力」という高次元的なGRITを総動員して、未来創造を目指すべき時であると感じます。
 
アンジェラ・ダックワースは、GRIT理論を通して、人類の未来をどのようにすべきか、思索を重ねているかもしれません。
 
それにしても、アメリカの責任は大きいはずです。戦争、戦争に明け暮れた現代アメリカの歴史、これからは平和創造へ180度の転換をなして、人類のために尽力してもらいたいものです。

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