貧血持ちにとっては身近な「溶暗(ようあん)」
光が少しずつ溶けていって、やがて真っ暗になる。
そんな感じの意味です。
より親しみのある言葉で表すなら「フェードアウト」。
昔お世話になった職場の先輩は貧血持ちで、倒れる前は視界に映る世界がモノクロになって、徐々に黒く染まっていくのだと言っていた。
私も過去に何度か倒れる直前、立っていられずに屈みこむところまでいたことがあるけど、視界の色がどうだったかは覚えていない。
私の場合は貧血というよりも過呼吸に近かったから、目の前の景色よりも、酸素を求めることに必死だった気がする。初めて発作が起こったときは知識もなかったから、闇雲に息を吸おうとして余計にひどくなった記憶がある。
だから、身近な経験としては、プラネタリウムや映画が思い浮かぶ。
どちらも徐々に照明が落ちていって、部屋が薄暗くなっていくあの瞬間の、「いよいよこれから始まる」という高揚感が好きだ。
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