「空空しい」世界から脱け出すために

 空には「からっぽ」という意味がある。ここから連想すれば、空空(そらぞら)しいの「言動の中身がからっぽ」、つまり「誠意や真実味がない」という意味に繋げやすい。

 中身の伴わない言葉や行動は、自分も相手も苦しめるものだとわかってはいても、常に自分の内側と外側とを一致させるのは、とても勇気のいることだと思う。

 人の反応は十人十色。十人いれば、十通りの受け取り方がある。たとえば、自分の好物について、「わたしは苦手」と率直な意見を返されただけで、自分を否定されたように感じる人も存在する。

 人間は学習能力が高いから、そうやっていろんな反応を受け取るうちに、どの言動がどの反応に結びつきやすいかをある程度把握してしまう。そして、一部の人間は、欲しい反応を得るための言動を取り始める。

 あっというまにこの世は空箱だらけ。中身のないものを投げ合って、痛みを感じない代わりに、言葉や行動の持つ「重み」を感じる機会も減っていく。

 そんな空々しい世界から脱け出すためには、ふたたび痛みを受け入れる覚悟を決めるしかない。

 さて、あなたはどちらの世界の住人だろうか?

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