「あまつさえ」に見る正しさの不確定性
言子「今日の言葉は『あまつさえ』、流行の大和言葉のひとつね。「その上」とか「さらに」といった意味合いで、悪いことが続けざまに起こる場合によく使われるそうよ。響きがうつくしくてすてきだと思うの」
万葉「でも、なかなか意味が覚えられないんだよな」
言子「そういうときは語源を調べてみるといいわよ。あまつさえは、もとは『余る』という言葉に『さえ』がくっついたものらしいの。それが誤って『あまっさえ』となり、近代以降は促音を大文字にして『あまつさえ』と読むようになったのだとか(参考サイト:剰え(あまつさえ) - 語源由来辞典)」
万葉「ああ、だから余剰の剰という漢字を使うのか」
言子「そういうことね。それにしても、間違った発音がいつのまにか正しいものとして使われるようになるなんて……」
万葉「正しさって、なんて不確定なものなんだろう」
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