「肉薄」の生々しさは見かけ倒し
見るからに生々しいのに、実際の意味は意外と真面目なのが「肉薄」。競争などで相手のすぐ近くに迫ることを意味する。
互いの肌と肌との間を隔てる空気が薄い、というイメージをすれば覚えやすいのではないだろうか。
意味を覚えてからも、文中にこの言葉が出てくるとギョッとする。「肉」という感じがつくと、どうしてもいやらしいイメージに繋げてしまうのだ。事実、肉欲や肉感など、肉のつく熟語には性的な意味合いを持つものが多い。
また、残酷な印象も同時に持ちあわせている。中国で清の時代まで行われていたという、生きたまま薄く肉を削いでいく処刑法(凌遅刑という)のことを思い出してしまうから。
ちなみに、最近だと、谷崎潤一郎の『痴人の愛』という小説の中で遭遇した。
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