二重籍

 なにやら凄いことみたいに思われるが、簡単に言うとアメリカの学校の通信教育課程にも籍を置いていたということ。日本の学校は行っていなくても籍は当然日本にある。しかし子供たちに少しでも堂々としてほしくてこの形をとった。

 不登校であっても子供が出歩くことに後ろめたさを持ってほしくなかったが、ある時知らない人に、「学校は?」と聞かれ「行ってない。」私は子供たちに堂々とそう言えばよいと言っていた。「親は知ってるの?学校に行くといってここでさぼっているんじゃないの?」という意味合いのことを言われたと子供から聞いたとき、不登校の子供は家からも出にくく、どこも出歩けないのかとがっかりした。

 東京シューレの通信をとっていたが、ある時アメリカの公的な学校の通信課程で日本語(日本人の担当がいる)でやりとりが可能なところを見つけて早々に籍を置いた。費用は1人だと当時年間15万円くらいだったかな?2人目からはほぼ無料みたいで2万円いかなかったと思う。なので我が家は3人くらい籍を置いていたと思う。記憶があいまいですみません。

 通信教育といってもなにも教材などあるわけでもなく、ひたすら親がやったことの自己申告を送るだけである。例えば公園で遊べば「体育を2時間」とか図書館に行けば子供が科学系の本を読んでいたら「地学1時間」などである。なので子供は全く勉強をしている感覚はなく、いつもと同じということ。絵を描いたので送ったらコメントや機関誌に載せてくれるのでかえって喜んでいた気がする。一か月分をまとめて親が報告するスタイルだ。勿論本人が報告するのがより良いと思うが我が家は私がやっていた。日本の学校制度も承知の上なので、小学校と中学校課程は塾扱いだが高校課程はもっと単位など要求が高くなるらしい。とりあえず少しでも明るく生活できる要素としてこの方法を選んだ。

 面白いエピソードがある。ある時、息子が目に違和感があるというので眼科に連れて行った。「学校の検診ではどうでしたか?」「受けていないので。」「そんなことはないはずです。」「行っていないから。」「去年の記録ではどうでしたか?」など、なかなか分かってもらえない。それでつい「アメリカの学校なので。」と言ってしまった。そしたら急に態度が変わって、「日本語通じますか?」「大丈夫です、通じると思いますよ。」と息子は日本語しか通じないのにそう答えてしまった。こりゃ便利だと痛感した。

 娘が高校からアメリカに行くことになり(この高校ではない)シューレで知り合った文通相手のお宅に最初お世話になった。偶然この学校が同じ市にあるということで一度連れて行ってもらったらしい。小さい学校だったよと教えてくれた。いろんな意味で今振り返ってもつながっていて面白いね。じゃあ今日はこのへんで。


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