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#107 False consensus

False consensus 「偽の合意効果」 という言葉を知った。

自分の意見や考えこそが世の中の多数派であり、それが正常であるという思い込み、のことだそうだ。

なるほど、これもまたCOVID-19災害における「医療従事者」や「専門家」にまさしく当てはまるものだと感じた。

感染症の撲滅を目指すことが当たり前。そのためには、感染対策をすることが当然であり、人間としての義務。ゼロコロナしかないんだ。

マスクをすることは常識。ワクチン接種も当然だ。

この考えが行きつく先では、「正義」を振りかざす。

自分の意見が正しい「と思って疑わない」。


この学歴社会。そこを生き抜いてきた勝者(もちろんそれは社会としての勝者ではなく偏差値教育という偏った社会という意)が医学部に入る。医学部でなくてもよい、偏差値の高い大学に入る。そこで自分の専門を決める。医者になる。研究者になる。官僚になる。政治家になる。自分の選んだ道、それは正当化したいに決まっている。自分の考えは間違っていないともちろん思いたい。

専門家はちやほやされる。医者が指示を出せば、(周囲がどう思っていようが)言うことを聞いてくれる。(たとえそれが裸の王様であっても。)

先輩医師から言われた教えは従うのが当たり前。それが医師としての通説になる。世代間で一つの「常識」が連鎖していく。ガイドラインが作成されれば、それはより早く伝播する。

また、他の職種とのディスカッションはめっきりない。医者の世界の常識が全て。それが社会の常識と勘違いする。挙句の果てには、医者の言うことを聞かないとはどういうことだとキレる者も現る有り様。

#92 で、批判的吟味 について書いた。EBM(Evidence Based Medicine)のためには、批判的吟味が必要だと教わった。それは、大いなる内省の過程だった。でも、COVID-19災害において、その内省には限界があったのかもしれない。

False consensusは、認知バイアスの一つだそうだ。

原子力災害の時には、リスクコミュニケーションの一つとして、こうした日論があった。

でも、COVID-19ではどうだろうか。そもそもCOVID-19を人災と思っていない方も多い。自然災害であって、みんな(医療従事者も)死力を尽くして戦ったのだから、それを労おう。それで終わってやいないか。戦争も、原子力災害も検証があった。COVID-19も大いに検証が必要な大きな社会問題だったはずだ。

ぜひ、さまざまな角度からの検証を期待したい。


付記。
もちろん自分は、批判的吟味を惜しまないお医者さんの存在を知っている。
False consensus ならぬバイアスの存在を(その言葉を知らないまでも、そして無意識だとしても)理解し、それを乗り越えようとしている専門家の方々を知っている。ただし、そうではなくて、従順に自らを正当化する方向に漂う流れの中に多くの専門家がいることを危惧しているということを示すために、上記のような一般化した記載をしたことをご理解いただきたい。