見出し画像

ある孫の日記 その7

「高野豆腐の煮物があるからお昼はこちらで食べませんか?」

「⚪︎日か⚪︎日行ってもいい?」とこちらから連絡を入れてやりとりしていたら毎度お馴染み高野豆腐の誘惑。よろこんでのる。小雨が降っていたのであたらしいレインコートとトレッキングシューズを履いて祖母の家へ。なんだかここ1ヶ月半くらい身体がいつもより疲れやすく、きもちもどんより&ぴりぴり&しくしくの波があり、外出の背中を押すきっかけとしてあたらしいレインコートを着た。そんなに雨は降っていなくて早々と手で持つことになった。

お昼ご飯は、海老名、ブロッコリー、ウインナー、水餃子、しいたけ、昆布、こんきゃく、高野豆腐、鶏肉、人参などなどが入った煮物(贅沢なラインナップ)と、さば、しじみの味噌汁。

貸してた本が5冊ほど返却される。そしてあたらしく3冊貸し出す。「読んでいるときはおもしろい、文字を目で追うのもたのしい。でも覚えられないね」と祖母。「そうだよね、時間をかけて読んで考えてを繰り返したり、何度も読まないとわたしも覚えられないかも。でも読んでいるその瞬間をたのしめていればそれはそれでよいのでは」とわたし。

そんなお喋りをしたけれど、なんだか自分のまわりに膜が張ってある感じがして、お喋りは続かなかった。お昼は存分に食べて、食べ過ぎて眠くなったので畳の部屋でお昼寝、祖母はリビングで新聞を読んでいた。お喋り少なめお互いの気配を感じながら各々過ごす時間だったのだけれど、それよりはこちらの膜が厚めで噛み合わずそういう過ごし方しかできなかったという感じが近い。むむむ、そんな日もあるよねと適当に言葉をつなげはじめた自分にちょっと立ち止まれと言いつつ、いつも以上にゆっくりゆっくりしておかないと膜がどんどん厚くなる気配を感じつつ、高野豆腐の煮物はたしかに美味しかった。うん。

いただいたサポートは書籍購入や機材費にあてさせていただきます。